「IwaiCosmo Weekly Letter」
2024年7月29日日本株~好決算を支えに底入れ期待~
岩井コスモ証券投資調査部
■日本株~好決算を支えに底入れ期待~
■予想レンジ(7/29〜8/2) 日経平均株価 37,500円~38,600円
先週の日経平均株価は2396円安と大幅続落、米ハイテク株の一段安や日銀利上げを意識した円急伸を受け、手仕舞い売りが加速、約3ヵ月ぶりとなる37000円台まで売り込まれました。決算発表や日米の金融イベントを控える月末接近のタイミングで、押し目買い姿勢が弱く、半導体関連は週末まで軟調地合いが継続しました。
企業決算はニデック、富士通、キヤノンなど前向き評価優勢でスタート、自社株買い等の還元強化の積極姿勢も継続しています。日経平均予想PERは16倍割れ(2/1以来)に低下、バリュエーション魅力も高まるなか、史上最高値(7/11)から10%超下落、25日移動平均乖離▼5%超えなど、テクニカル面でも下値到達感が浮上しています。
今週は日米の金融政策会合のほか経済イベントが集中、主要企業決算も相次ぎます。需給悪が残るなか個別に強弱反応が分かれそうですが、全体としては大方の懸念材料を織り込み、アク抜けに繋がりやすい局面と見ています。株価調整を加速させた円相場が落ち着けば、業績期待と共に着実な値戻しに向かう可能性が高そうです。■日本株~週間注目銘柄~
・三菱UFJ(8306)
最高益更新が続く、金利上昇追い風、増配・自社株買い
・日立(6501)
再生可能エネルギーの送配電設備関連が収益をけん引
・HOYA(7741)
EUVマスクブランクスやHDD用ガラス基板の在庫調整完了
・寿スピリッツ(2222)
徹底した高付加価値戦略で収益性の向上が続く
注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。詳細はアナリストレポートをご参照ください。■ドル円~ボラタイルな地合い引きずる公算~
■予想レンジ(7/29〜8/2)ドル円相場 1㌦=151.50~155.50円
先週は円高進行が加速する展開となりました。米大統領選を巡る不透明感の高まりや世界的な株安の流れが投資家心理を冷え込ませ、高水準に積み上がった「円売り」ポジションのさらなる巻き戻しを誘ったことが背景です。ドル円は一時151円台に突入、ユーロや豪ドルなどに対しても水準訂正が進みました。
相場の変動率(ボラティリティ)の上昇を嫌う(低金利の円を売ってドルなどの高金利通貨を買う)「円キャリー取引」が逆回転を起こしたほか、日銀の政策正常化への思惑が強まったことも円買いを後押ししたとみられます。日本の低金利に着目した投機筋の戦略が修正を余儀なくされたためです。
今週は、日米両国の金融政策会合や週末の米雇用統計などに関心が集まる見通しです。国債買い入れ減額の具体策がまとめられる日銀会合に関しては追加利上げの有無、米国においては早期利下げ観測が揺るがないかが焦点で、いずれにしてもボラタイルな地合いを引きずることになりそうです。■主な注目イベント
◇29日(月)
東証グロース上場=Liberaware、決算=塩野義、コマツ、ファナック、さくらネット
◇30日(火)
6月有効求人倍率(厚労省8:30)、失業率(総務省8:30)、グロース上場=Heartseed
4~6月期決算=OLC、NEC、TDK、村田製、野村、日本取引所、JR東海、関西電
7月独CPI速報値、4-6月期ユーロ圏GDP速報、7月米消費者信頼感指数(23:00)、
6月米JOLTS(23時)、海外決算=P&G、メルク、ファイザー、AMD、マイクロソフト
◇31日(水)
日銀金融政策決定会合の結果発表、展望リポート、植田和男総裁が会見、6月鉱工業生産(8:50)
スタンダード上場=Faber Company、決算=第一三共、日立、ソシオネクス、アドテスト、
デンソー、りそなHD、みずほFG、JR東日本、商船三井、東電HD、九州電、北海電、
7月為替介入実績(財務省19:00) 7月中国PMI(10:30) 7月ユーロ圏CPI、速報値)、
7月ADP全米雇用リポート(21:15)、米FOMC結果発表(3:00)、パウエル議長会見(3:30)、
海外決算=ボーイング、クアルコム、アームホールディングス、メタプラットフォームズ、ラムリサーチ
◇8月1日(木)
決算=日本製鉄、京セラ、トヨタ、HOYA、丸紅、三井物、三菱商、三菱UFJ、
7月財新中国PMI(10:45)、英金融政策委員会結果、7月米ISM製造業(23:00)、
海外決算=アップル、インテル、アマゾンドットコム
◇2日(金)
7月国内ユニクロ既存店売上、決算=イビデン、エーザイ、任天堂、三井住友FG、三井不、JT、
7月の米雇用統計(21:30)、6月の米製造業受注(23:00)、(注)時間は日本時間
(注)時間は日本時間
■米国株~主要イベント消化の週、FOMCがハト派なら底堅い展開も~
■予想レンジ(7/29〜8/2) NYダウ 39,700~41,400ドル
7月第4週の主要株価3指数は、週間ベース(カッコは年初来騰落率)でまちまち。NYダウが0.75%高(+7.69%)で4週連続上昇した一方、S&P500が0.83%安(+17.42%)、ナスダック総合が2.08%安(+15.63%)と続落、7月に顕著となった大型株から中小型株へのローテーションやハイテク株からその他業種へのローテーションが継続、ラッセル2000指数は週間3.47%高で3週連続上昇しました。S&P500・11業種別週間騰落率では公益、素材、ヘルスケア、金融、資本財等の7業種が上昇した半面、通信(週間3.8%安)、情報技術(同2.4%安)、一般消費財、エネルギーの4業種が下落。前週急落したフィラデルフィア半導体指数は同3.1%安と続落。主要企業の第2四半期決算が本格化し、テスラやアルファベットが下げた半面、スリーエムやアッヴィ、RTXやロッキード・マーティン等の防衛大手の一角が上昇しました。政治ではバイデン大統領が21日に選挙戦離脱を表明、民主党ではハリス副大統領が次期大統領候補者指名を確実にしました。支持率や勝利者賭け率ではトランプ氏が優勢ながら、ハリス氏が急速に巻き返しています。株式市場の変動性を示すVIX指数は16.39ポイントと前週比僅かに低下したものの、高水準を維持しています。
今週は主要企業決算に加え、日米の金融政策イベント、雇用統計等の重要マクロ指標など、重要イベントが目白押しであり、これらを消化することになりそうです。31日には日銀決定会合とFOMC(2日目)が予定され、FOMCが利下げに向けて声明文やパウエル議長の会見内容がどの程度ハト派的になるのかが、最大の焦点と見られます。市場想定以上のハト派姿勢ならば、不安定な株式市場が底堅さを取り戻すきっかけになる可能性があります。2日発表の7月雇用統計(予想:雇用者数+18.5万増、失業率4.1%)が弱いと、9月FOMCの利下げの可能性を補強するデータとみなされます。企業決算はS&P500構成企業ベース171社が予定し、前半戦佳境をむかえます。30日にアリスタ・ネットワークス、マイクロソフト、31日にアームHD、メタ・プラットフォームズ、クアルコム、1日にアップル、アマゾン、インテル等が決算を予定しています。
■外国株・週間注目銘柄
・エヌビディア(NVDA)
AI用半導体最大手、6月台湾IT見本市で27年までの製品計画を公表
・ブロードコム(AVGO)
通信半導体とカスタム半導体の大手、アップル有力サプライヤー
・シスコシステムズ(CSCO)
配当利回り3%超、2013年以降、増配基調を堅持のバリュー株