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「IwaiCosmo Weekly Letter」

2024年6月10日

日本株~積極的な還元策、好業績をより評価~

岩井コスモ証券投資調査部 岩井コスモ証券投資調査部

  • ■日本株~積極的な還元策、好業績をより評価~
    ■予想レンジ(6/10〜6/14) 日経平均株価 38,400円~39,200円

    先週の日経平均株価は196円高と3週ぶりに反発。引き続き38000円台後半でのレンジ相場が継続し、海外市場に比べてやや上値の重さを残す展開となりました。前週に一時13年ぶりの1.1%台を付けた国内金利の上昇が一服、銀行株などの高利回り銘柄に利益確定売りが膨らみ、業績懸念とともに上値を抑える格好となりました。

    米エヌビディアやNASDAQ総合指数が史上最高値更新するなかでも、日本の半導体関連株には上値の重さが残存。また自動車には認証不正を巡る悪影響が響いたほか、安値圏の中小型成長株にはポジション整理の売りが続きました。一方で38500円付近では強固な下値買いも観測され、底堅さも維持されています。

    今週は日米の金融政策会合が焦点となります。週末にSQを控えることも動きづらさに繋がりそうですが、先行き業績への期待や、継続する企業の還元姿勢強化などへの前向きな評価は途切れておらず、春先からの出遅れを取り戻す余地は小さくないと見ています。イベント通過で日柄調整が一巡、買い姿勢が強まる可能性ありと見ます。

    20240610日本株チャート.png






    ■日本株~週間注目銘柄~

    ・三井住友(8316)
    今期も最高益更新で増配・分割を実施。事業環境は好転へ

    ・TOWA(6315)
     メモリメーカーの相次ぐ増産投資でHBM向け需要拡大

    ・川崎重工(7012)
     V字回復で最高益更新、防衛関連や水素事業の成長期待

    ・丸紅(8002)
     非資源分野の強化進展、増配と自社株買いを継続


    注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。詳細はアナリストレポートをご参照ください。








    ■ドル円~日米の金融政策を探る展開~
    ■予想レンジ(6/10〜6/14)ドル円相場 1㌦=154.00~158.00円

    先週は、ドルが弱含む場面が目につく展開となりました。米景気の減速を示唆する経済指標が相次ぎ、米金利に低下圧力がかかったことが背景です。カナダ中銀に続き、ECBが4年9ヵ月ぶりの利下げに踏み切ったことで、「FRBの次の一手は利下げ」との見方が改めて強まったことも響いた模様です。

    もっとも、ドルの下値は限られました。5月のISM非製造業景気指数や雇用統計が上振れし、米景気のソフトランディング(軟着陸)期待を再浮上させた一方、30年物国債入札が「順調」な結果となり需給不安が後退するなか、日銀の中村審議委員の「ハト派」発言も伝わり、国内金利の上昇が一服したためです。

    今週は、日米両国の金融政策の行方を探ることになる見通しです。FOMCでは、参加メンバーの政策金利見通しにおいて、市場が見込む「年内1~2回の利下げ」シナリオが支持されるのか、日銀は金融正常化に向けて何らかの前進をみせるのかが焦点で、政策スタンスの違いが意識される可能性がありそうです。

    20240610円相場チャート.png








    ■主な注目イベント

    ◇10日(月)
    1~3月期GDP改定値(内閣府、8:50)、5月景気ウオッチャー調査(内閣府、14:00)、
    香港、中国(上海深セン)、台湾市場が休場、豪市場が休場

    ◇11日(火)
    5月の工作機械受注額(速、日本工作機械工業会、15:00)、グロース上場=D&Mカンパニー、

    ◇12日(水)
    5月の企業物価指数(日銀、8:50)、4月期決算=エニーカラー、
    5月の中国消費者物価指数(CPI、10:30)、5月の中国卸売物価指数(PPI、10:30)、
    5月米CPI(21:30)、米FOMC結果公表(13日3:00)、パウエル議長会見(13日3:30)

    ◇13日(木)
    4~6月期法人企業景気予測調査(財務省、8:50)、5月の投信概況(投資信託協会、15:00)、
    23年11月~24年4月期決算=神戸物産、5月の米PPI(21:30)

    ◇14日(金)
    日銀金融政策決定会合の結果発表、日銀の植田総裁が記者会見、
    株価指数先物オプション6月物特別清算指数(SQ)算出、4月第3次産業活動指数(経産省13:30)、
    東証グロース上場=Chordia Therapeutics、
    6月の米消費者態度指数(ミシガン大学調べ、速報値、23:00)

    (注)時間は日本時間








    ■米国株~FOMCやCPIの発表の12日が重要に、アップルWWDCにも注目~
    ■予想レンジ(6/10〜6/14) NYダウ 38,200~40,300ドル

    6月第1週の主要株価3指数は週間ベース(カッコは年初来騰落率)で上昇、NYダウが0.29%高(+2.94%)、S&P500は1.32%高(+12.10%)、ナスダック総合は2.38%高(+14.13%)とそれぞれ反発。6月ISM製造業景況指数や4月JOLTS求人件数等が弱い経済指標が景気鈍化を想起させ、米長期金利が4.6%台から4.2%台に急低下して週半ばまでの強材料となりました。週末発表の5月雇用統計は雇用者増加数や時給の伸びが市場予想に上振れ、利下げ期待が後退、長期金利は4.4%台に上昇し、週を終えました。S&P500業種別・騰落率(週間)では情報技術、通信、ヘルスケア等5業種が上昇した一方、エネルギーや公益、資本財等6業種が下落しました。個別では10日に1対10の株式分割を控えたエヌビディアが上昇、2日のCEOの台湾IT見本市の基調講演で次世代チップの名称をルービンと発表、製品スケジュールをアップデートしたことを好感、時価総額はアップルを抜いてマイクロソフトに次ぐ2位となり、一時3兆ドルを超えました。ほかEUV露光装置の台湾セミコンダクターへの年内出荷の可能性が報じられた蘭ASMLホールディングが急伸。また決算が市場予想を上振れたクラウドストライクも上昇しました。7日引け後にS&P500指数の四半期見直しではクラウドストライクをはじめ3銘柄が21日引け後に新たに同指数に採用されることが決まりました。

    今週はFOMCや5月CPIの発表がある12日が重要日となりそうです。今回のFOMCは四半期毎に提示されるFOMCメンバーの24年政策金利見通し・中央値が4.625%から0.25%引き上げられ、年内2回の利下げがメインシナリオとして示される公算が大きいと見られます。パウエル議長の今後の利下げに対する姿勢に、市場の注目が集まっています。5月CPIはコアCPIが前月比+0.3%と4月(同+0.3%)と同程度の伸びがコンセンサス。週内の決算発表企業はAI半導体を手掛けるブロードコム(12日)、画像生成AI製品を提供するアドビ(13日)が予定。またアップルが10~14日に年次開発者会議「WWDC」に開催され、AI関連が発表の中心になると見られます。ほか13日にテスラの年次株主総会があり、イーロン・マスク氏の高額報酬が承認されるのか注目されています。

    20240610NYダウチャート.png









    ■外国株・週間注目銘柄

    ・エヌビディア(NVDA)
    AI用半導体最大手、前回決算良好、6月10日付で1対10の株式分割

    ・アマゾン・ドット・コム(AMZN)
     AIスピーカー有料化模索、海外ネット小売事業が足下黒字化

    ・ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ) 
     配当利回り6%超、携帯電話解約率低下で収益安定




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