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「IwaiCosmo Weekly Letter」

2024年5月 7日

日本株~イベント通過で安心感、業績評価へ~

岩井コスモ証券投資調査部 岩井コスモ証券投資調査部

  • ■日本株~イベント通過で安心感、業績評価へ~
    ■予想レンジ(5/7〜5/10) 日経平均株価 38,400円~39,100円

    先週の日経平均株価は350円高と続伸。日銀の緩和的な政策スタンス継続や、介入実施と見られるなかでも円安地合いが途切れてないことが安心感を呼び、上下動を繰り返しつつも前週からの回復トレンドを保ちました。米国ではパウエル議長発言や弱目の経済指標を受けてインフレ警戒がやや緩和、一定の下支えに繋がっています。

    決算発表は引き続き、会社見通しの慎重姿勢が目に付く一方、価格改定効果や世界の製造業回復が増益期待を支える構図が確認されています。東証配当フォーカス指数がいち早く年初来高値を更新(4/30)するなど、日本株の強み(資本コスト重視、デフレ脱却)を評価する流れも戻りつつあるようで、昨年同様に海外投資家からの資金流入が膨らむ可能性もありそうです。

    今週は後半に向け企業決算が本格化、内外ともイベント端境期となるため、個別業績への注目度が高まりそうです。週末のオプションSQを控え、主要指数の方向感は掴みづらい可能性はありますが、好業績や還元強化を手掛かりとした下値買いも支えに、日経平均39000円やTOPIX高値(2813p)など節目トライが意識されそうです。

    20240507日本株チャート.png









    ■日本株~週間注目銘柄~


    ・三井住友(8316)
     今期も最高益更新で増配も、事業環境は好転へ

    ・TOWA(6315)
     メモリメーカーの相次ぐ増産投資でHBM向け需要拡大

    ・富士電機(6504)
     電力需要の急拡大で蓄電池や分散電源など伸びる

    ・岩谷産業(8088)
     コスモエネHDと資本業務提携、水素インフラ整備を加速


    注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。詳細はアナリストレポートをご参照ください。







    ■ドル円~介入警戒が一段の円安抑制へ~
    ■予想レンジ(5/7〜5/10)ドル円相場 1㌦=152.00~156.00円

    先週は円買い介入の観測が広がり、値動きの荒い展開となりました。東京市場が休場で薄商いとなった29日、円は160円台に下落した直後から急騰、一気に154円台半ばまで買われる場面がありました。その後は、米物価指標の上振れなどを受けて再びドル買いが強まりましたが、当局の介入は1回では済まなかったようです。

    1日には再び大規模な円買いオーダーが入り、一時153円ちょうど付近まで円高が進みました。FOMCの結果やパウエルFRB議長の会見を受けて米金融引き締めへの過度な警戒が後退し、ドル買い圧力が弱まったタイミングを見計らって実施した格好で、市場に少なからぬサプライズをもたらしたようです。

    ゴールデンウィーク後半に投機筋が仕掛け的な円売りを膨らませることをけん制することが狙いで、当局の本気度を窺わせる事象といえます。米雇用統計などを受けて米利下げ観測が再浮上していることとも相俟って、今週は円買い介入に対する市場の疑心暗鬼が一段の円安進行を抑える方向に作用することになると判断しています。

    20240507円相場チャート.png








    ■主な注目イベント

    ◇7日(火)
    3月期決算=JFE、任天堂、川崎汽、
    3月のユーロ圏小売売上高(18:00)、3月の米消費者信用残高(8日4:00)、米3年物国債入札

    ◇8日(水)
    10年物利付国債の入札(財務省10:30)、決算=ローム、三菱重、IHI、トヨタ、伊藤忠、郵船、
    米10年物国債入札、海外1~3月期決算=アームホールディングス

    ◇9日(木)
    3月毎月勤労統計(厚労省8:30)、日銀金融政策決定会合の主な意見(4月25~26日開催分8:50)、
    4月オフィス空室率(11時)、4月景気動向指数速報値(内閣府14時)、消費活動指数(日銀14時頃)、
    決算=富士フイルム、日本製鉄、神戸鋼、ダイキン、川重、スクリン、JT、SUMCO、花王、
    4月の中国貿易統計、英中銀が金融政策委員会の結果と議事録を発表、米30年物国債入札

    ◇10日(金)
    3月の家計調査(総務省、8:30)、30年物利付国債の入札(財務省、10:30)、
    4月景気ウオッチャー調査(内閣府14:00)、株価指数オプション5月物特別清算指数(SQ)算出、
    決算=資生堂、アシックス、大和ハウス、TOWA、コクサイエレ、ホンダ、東エレク、
    三井不、菱地所、NTT、KDDI、ソラコム、
    5月の米消費者態度指数(ミシガン大学調べ、速報値)(23:00)


    (注)時間は日本時間








    ■米国株~大型企業の決算一巡、ハト派姿勢の高官発言が続くのか注目~
    ■予想レンジ(5/7〜5/10) NYダウ 38,000~39,400ドル

    5月第1週の主要株価3指数は週間ベース(カッコは年初来騰落率)で続伸。NYダウが1.14%高(+2.62%)と3週続伸、S&P500が0.55%高(+7.50%)とナスダック総合は1.43%高(+7.63%)と2週続伸しました。FOMCと週末の雇用統計を通じて金利低下が進み、好決算銘柄中心に買われる展開となりました。S&P500業種別・騰落率(週間)では、7業種が上昇、4業種が下落、金利敏感な公益(3.35%)や不動産のほか、アマゾンやテスラの上昇の影響を受けた一般消費財、アップル上昇が貢献した情報技術の上昇が目立ちました。一方、在庫増加や中東情勢の緊張緩和の思惑から原油価格が急落、エネルギー(▼3.36%)の下げを筆頭に金融や通信が軟調でした。クアルコムやオンセミコンダクター、NXPセミコンダクターズの上昇が寄与し、フィラデルフィア半導体指数は週間2.41%高と続伸しました。

    4月30日~5月1日の開催のFOMCは政策金利据え置きと、QT(量的引き締め)の緩和が決定され、パウエル議長は追加利上げの可能性に否定的で年内にインフレ率が低下する見通し等を語り、ハト派的な印象を与えました。週末発表された4月雇用統計は非農業部門雇用者数が予想を下回る17.5万人増、失業率も前月の3.8%から3.9%へ上昇、弱い内容となり、長期金利の低下や通貨ドル安にも繋がりました。S&P500構成企業の第1四半期業績報告は5月3日までに397社が終え、77%の企業の利益が事前市場予想を上回り、上振れ企業比率は過去4四半期並みです。アマゾンやアップルの決算は予想を上振れ、1株利益増減率見通しは前年同期比7.1%増(4月1日時点:5.1%増)に上方修正され、エネルギー業種を除く同増減率は同10.2%増と株価反応は必ずしも良好とは言えませんが業績は堅調と言えます。今週は発言自粛期間明けのFRB高官発言が注目されそうでNY連銀のウィリアムズ総裁など他のメンバーも利下げに前向きな姿勢を示すのか確認したいところです。企業決算発表ではネットワーク機器のアリスタ・ネットワークスや半導体技術提供のアーム・ホールディングス、ゲーム開発ソフトのユニティ・ソフトウェア等が予定されています。

    20240507NYダウチャート.png











    ■外国株・週間注目銘柄

    ・エヌビディア(NVDA)
     AI用半導体の最大手、一時調整も好調なファンダメンタルズは不変

    ・マイクロソフト(MSFT)
     AIアシスタント「コーパイロット」等の商用化がアジュール増収に貢献

    ・ネクステラエナジー(NEE)
     環境配慮型の公益大手 AIデータセンター電力需要拡大の恩恵享受



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