「IwaiCosmo Weekly Letter」
2023年11月20日日本株~年初来高値更新の可能性~
岩井コスモ証券投資調査部
■日本株~年初来高値更新の可能性~
■予想レンジ(11/20〜11/24) 日経平均株価 33,000円~33,800円
先週の日経平均株価は1017円高と3週続伸、米物価指標の落ち着きを好感して各市場がリスクオン、一段高となりました。決算発表で本邦企業業績が上振れ、先行き期待も高まるなか日経平均は一気に33500円台を回復、ここ半年ほど上値の壁となってきた水準に到達し、週末に向けては高水準の利益確定売りがやや上値を抑えました。
日経平均ベースの予想EPSは史上最高の2250円台に上昇、PERは14倍台(過去数年の平均レベル)に低下しています。通期見通しに対する進捗率の高さに加え、足元不振の半導体・電子部品・中国関連にも最悪期通過の感触が浮上し、引き続き業績評価を支えとした日本株選好が継続しやすい環境と見ています。
今週は日米とも4日立ち合い、イベント的にも端境期にあたります。業績期待の強さや例年通りの年末高パターンへの思惑が支えとなるものの、年初来高値の33753円突破には一段の支援材料が欲しいところです。米AI半導体大手・エヌビディアの決算(21日)が好感されれば、上抜けの可能性が高まりそうです。■日本株~週間注目銘柄~
・三菱UFJ(8306)
最高益期待、低PBRで還元期待。日銀政策にらみ金利上昇を意識
・ミツコシイセタン(3099)
堅調な国内需要とインバウンド回復で増収増益
・アイシン(7259)
電動ユニットなどEV向け部品に注力。円安も恩恵。A
・イビデン(4062)
AIサーバーなど先端パッケージ基板の潜在需要が高まる。A
注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。詳細はアナリストレポートをご参照ください。
■ドル円~米FOMC議事録などに関心~
■予想レンジ(11/20〜11/24)ドル円相場 1㌦=149.00~152.00円
先週は、ドルが売られやすい地合いを辿りました。物価指標をはじめとする一連の米経済指標が総じて冴えなかったことから、FRBによる利上げ打ち止め観測が広がり、米金利に低下圧力が掛かったためです。もっとも円の先安観はさほど揺らいでいない模様で、持ち高調整が嵩むなかでも上値は限定的なものに留まりました。
7-9月期の国内実質GDPが3四半期ぶりにマイナス成長となったうえ、植田総裁のハト派的な発言も目立つことなどから、日銀の政策修正思惑が後退したことが響いた格好です。「低金利の円は売る通貨」との雰囲気はなおも支配的で、介入警戒感のないユーロなどに対しては円売りの動きが顕在化しています。
今週は感謝祭休暇を取る参加者が多く、FRB高官発言も途切れるなかで、改めて米金利の動向を注視することが肝要になると捉えています。米金融政策の行方を巡り、市場が楽観に傾き過ぎている感を拭えないことが背景で、21日のFOMC議事録などへの関心が高まりそうです。■主な注目イベント
◇20日(月)
10月首都圏マンション販売(不動産経研14:00)10月主要コンビニエン売上高(14:00)、
11月中国最優遇貸出金利(10:15)、10月米景気先行指標総合指数(21日0:00)、
米20年物国債入札
◇21日(火)
20年物利付国債の入札(財務省、10:30)、10月の米中古住宅販売件数(22日0:00)、
米FOMC議事要旨(10月31日-11月1日開催分、22日4:00)、海外8-10月期決算=エヌビディア
◇22日(水)
東芝臨時株主総会、10月全国スーパー売上高(14:00)、グロース上場=バリュークリエーション、
10月の米耐久財受注額(22:30)、11月米消費者態度指数(確、ミシガン大学調べ、23日0:00)
◇23日(木)
勤労感謝の日で東京市場が休場、11月の仏購買担当者景気指数速報値(PMI、17:15)、
11月独PMI速報値(17:30)、ユーロ圏PMI(18:00)、11月英PMI(18:30)、
スウェーデン中銀、トルコ中銀、南アフリカ中銀が政策金利発表、感謝祭の祝日で米全市場が休場
◇24日(金)
10月全国消費者物価指数(CPI総務省8:30)、10月全国百貨店売上高(日本百貨店協会14:30)、
11月独Ifo企業景況感指数、11月米購買担当者景気指数(PMI、速報、23:45)
感謝祭の翌日で米株式、債券、商品市場が短縮取引
(注)時間は日本時間■米国株~21日にエヌビディア決算、上昇しやすいアノマリーに期待~
■予想レンジ(11/20〜11/24) NYダウ 34,500~35,400ドル
11月第3週の米主要株価3指数は揃って3週続伸。週間ベース(カッコは年初来騰落率)ではNYダウが1.94%高(+5.43%)、S&P500が2.24%高(+17.57%)、ナスダック総合が2.37%高(+34.96%)といずれも3週連続で上昇しました。低調だった中小型構成のラッセル2000が5.42%高や、KBW米銀行株指数が6.91%高、同地銀株指数が9.22%高を演じるなど出遅れ修正が目立ちました。CPIやPPIが市場予想・前月比で下振れ、議会ではつなぎ予算成立が進展したことを好感して週前半に値を伸ばしました。15日には米中首脳会談を実施、軍事対話再開が決まった一方、半導体規制、台湾外交等では平行線を辿りました。経済指標の軟化を受けてCMEのFEDウォッチでは12月と来年1月FOMCでの政策金利据え置きの確率が週末100%となり、利上げ観測が大きく後退するなかS&P500業種別騰落では全11業種が上昇、とりわけ不動産、素材、一般消費財、金融が値上り率上位に並んだ一方、生活必需品やエネルギーの伸びは相対的に低い伸びにとどまりました。WTI原油価格は米週間在庫統計を嫌気して一時72.16ドルを着け、7月以来の安値を付けた後、値頃感の買いが入り、週末は75.89ドルで終えました。個別では小売決算ではターゲットが好決算を好感して急伸した半面、ウォルマートが悲観的な見通しを嫌気して下落。セキュリティのパロアルトネットワークスは顧客の契約更新期間の短縮化等が第1四半期決算で判明して一時的に下落しました。
今週の米国株市場は23日がサンクスギビング(感謝祭)のため祝日休場、24日は13時までの短縮取引となります。週半ばは持ち高調整が促されやすく、週末は閑散相場となりそうです。他方、米国では「祝日のある週は上がりやすい」アノマリーがあり、堅調相場を想定します。21日引け後にエヌビディアの8-10月期決算を予定、対中国規制の長期的影響の不透明感が後退するのか注目されます。週末は歳末商戦を象徴する「ブラックフライデー」であり、関連報道で好調がどうかで市場心理に影響を与えることが予想されます。金融政策を巡っては 21日に前回実施のFOMCの議事要旨が公表され、長期金利上昇に対するFRBメンバーの議論などに関心が集まりそうです。■外国株・週間注目銘柄
・アプライドマテリアルズ(AMAT)
直近決算は堅調、決算後の下落局面は押し目買い好機・ゼットスケーラー(ZS)
データ転送型セキュリティ企業 高成長継続 業界勝ち組の評価
・コカコーラ(KO)
バフェット銘柄、値上げと数量増を実現する7-9月期決算を発表