「IwaiCosmo Weekly Letter」
2023年9月19日日本株~イベント控えのなか日本優位保てるか~
岩井コスモ証券投資調査部
■日本株~イベント控えのなか日本優位保てるか~
■予想レンジ(9/19〜9/22) 日経平均株価 33,100円~33,800円
先週の日経平均株価は926円高と週末に向けしっかり反発。欧米の利上げ打ち止め接近の観測を好感し各国戻り歩調を辿るなか、配当や割安修正への期待が高い日本株を選好する気運が強まりました。英アーム上場の良好な滑り出しも追い風に時価総額の大きい主力株の見直しが加速、TOPIXは連日で33年ぶり高値を付けました。
日銀政策変更の思惑から銀行が一段高、原油高を支えに資源株や商社、不動産・建設にはデフレ脱却期待、自動車は円安による業績期待が上値追いを支えています。企業統治改革の流れのなか、自社株買いや増配、設備投資活発化、積極的な中期計画なども相次ぎ、海外投資家の日本株買いが再度加速する観測を強めています。
今週は後半に日米で金融政策会合が開催されますが、ともに想定内の内容(変更なし)で、その織り込みも進んでいる感触です。高値圏でのイベント通過が手仕舞売りを誘う可能性もありますが、潤沢な待機資金を抱える個人投資家の押し目買い意欲は当面衰えない見通しで、年初来高値33753円を更新する可能性もありそうです。■日本株~週間注目銘柄~
・三菱UFJ(8306) 収益高水準、利回り等還元姿勢魅力。国内金利上昇も意識。A
・ソフトバンクG(9984) 英アーム上昇や投資事業改善期待が割安修正に。A
・三菱商事(8058) 資源安響くも想定超えの業績進捗で上振れ期待。高利回り・割安。A
・パンパシHD(7532) インバウンド拡大の取り込み期待、連続営業増益の期待。A
注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。
詳細はアナリストレポートをご参照ください。
■ドル円~日米中銀の金融政策会合を見極めへ~
■予想レンジ(9/19~9/22)ドル円相場 1㌦=146.00~149.00円
先週は、植田日銀総裁のインタビュー報道が円買いを誘う場面がありました。内容自体はこれまでの主張を繰り返した新味に乏しいものでしたが、岸田首相と対談して間もないタイミングだったことなどから、物価高を助長しかねない円安進行をけん制したと受け止められたことが背景です。
もっとも、円買いは長続きしませんでした。原油高や強い景気指標を受けて米金利に上昇圧力がかかる一方、好調な国債入札結果などを映じて国内金利には落ち着きがみられたことで、低金利の円を売って高金利のドルなどを買う「円キャリー取引」が息を吹き返したためです。
今週は、日米中銀の金融政策会合が焦点となる見通しです。FRBは利上げを見送る一方、FOMCメンバーの政策金利見通し(ドットチャート)などを通じてタカ派姿勢継続をアピールするとの見方が有力です。日銀の政策変更も見込まれてはおらず、定例会見における植田総裁の発言に関心が集まることになりそうです。■主な注目イベント
◇19日(火)
豪中銀理事会の議事要旨(9月開催分、10:30)、インド市場が休場、
8月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(18:00)、8月の米住宅着工件数(21:30)
◇20日(水)
8月の貿易統計(財務省、8:50)、8月の首都圏マンション販売(不動産経済研究所、13:00)、
8月の訪日外国人客数(日本政府観光局、16:15)、東証グロース上場=インテグラル、
9月の中国最優遇貸出金利(LPR、10:15)、8月の英消費者物価指数(CPI)(15:00)、
米FOMCの結果発表(21日3:00)、パウエル議長記者会見(21日3:30)
◇21日(木)
東証グロース上場=揚羽、
インドネシア中銀、トルコ中銀、スイス中銀、スウェーデン中銀、ノルウェー中銀が政策金利、
英中銀が金融政策委員会の結果と議事録を発表、南アフリカ中銀が政策金利を発表、
9月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(21:30)、8月の米中古住宅販売件数(23:00)
◇22日(金)
日銀金融政策決定会合の結果発表、日銀の植田総裁が記者会見(15:30)、
8月全国CPI(8:30)、スタンダードと名証メイン上場=笹徳印刷、グロース=ファーストアカウンティング、
8月の英小売売上高(15:00)、9月の仏購買担当者景気指数速報値(PMI、16:15)、
9月の独PMI速報値(16:30)、ユーロ圏PMI速報値(17:00)、英PMI速報値(17:30)、
9月の米PMI速報値(S&Pグローバル調べ、22:45)
(注)時間は日本時間■米国株~株式市場はFOMCの前向きな変化を探りたい~
■予想レンジ(9/19~9/22) NYダウ 34,100~35,000ドル
9月第3週の米主要株価3指数はまちまち。週間ベース(カッコは年初来騰落率)でNYダウが0.12%高(+4.44%)と反発となった一方、S&P500が0.16%安(+15.9%)、ナスダック総合が0.39%安(+30.97%)とそれぞれ小幅に続落しました。 S&P500の11業種・週間騰落は公益、一般消費財、金融、通信など中心に8業種が上昇した一方、情報技術、資本財、素材の3業種は下落、とりわけ情報技術はソフトウェアや半導体製造装置の下落が目立ちました。強い小売売上高などを受けて長期金利は高止まり、またNY原油先物が10ヵ月振りの高値となる90ドルを上回ったことなどを背景に株式市場の上値は重く、一進一退で方向感の乏しい展開となりました。注目された8月米消費者物価は前年同月比+3.7%と市場予想を上回ったものも、コア指数は約2年ぶりの小幅な伸びに留まりました。個別では証券会社が投資判断の引き上げを受けたテスラが急伸、会社幹部が広告収入の伸び悩みを発言したネットフリックスが下落。週末は台湾セミコンダクターの設備投資の遅滞に関する報道を受けて半導体設備装置関連が大きく値下がりしました。一方、14日にナスダック上場した英アームは公開価格を大幅に上回り、今年最大のIPOを実現させ、人気化しました。
今週は19-20日開催のFOMCが週内最大のイベント、政策金利の据え置きが予想されているものの、パウエルFRB議長の記者会見に加えて「ドットチャート」と呼ぶFOMCメンバーが示す政策金利・経済指標見通しが3ヵ月前と比べ同変化しているのか注目されます。金融引き締めが進み、インフレ率鈍化も確認されてきており、タカ派からハト派への政策転換のヒントを探りたいところです。市場では現在の高い政策金利の維持される見方が徐々に増えているだけに、株式市場ではインフレ率低下の予想などがあれば、ハト派色のサインと受け止める可能性があります。ほか22日の日銀金融政策決定会合やイギリスやスウェーデンやノルウェー、スイスでも金融政策会合を予定しています。
■外国株・週間注目銘柄
・アマゾン・ドット・コム(AMZN) 前回好決算、ネット通販、クラウドAWS共に良好見通し
・コカ・コーラ(KO) 飲料世界大手 S&P500配当貴族指数構成銘柄 自律反発に期待
・イーライリリー(LLY) 米製薬大手、アルツハイマー病新薬と肥満症薬適用拡大に期待