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「IwaiCosmo Weekly Letter」

2023年9月11日

日本株~各国上昇一服感、日本優位保てるか~

岩井コスモ証券投資調査部 岩井コスモ証券投資調査部

  • ■日本株~各国上昇一服感、日本優位保てるか~
    ■予想レンジ(9/11〜9/15) 日経平均株価 32,500円~33,200円

    先週の日経平均株価は103円安と3週ぶりに小反落。インフレ警戒再燃で欧米市場が軟調な一方、週前半は円安や配当期待を支えとした買いが日本株優位を演出、TOPIXは33年ぶり高値を連日で更新しました。その後は過熱警戒に加え、中国政府機関等でのiPhone使用禁止報道が嫌気、米中対立懸念からハイテク株売りに繋がりました。

    日経平均への寄与の大きい半導体、電子部品などへの逆風が重荷となりましたが、日本株見直しの牽引役である高配当利回り株、構造改革が進展する主力銘柄などへの物色意欲は継続しています。大手不動産の連日高値更新など長期デフレ脱却への期待も膨らみ始めており、早期に33000円台を回復する可能性もありそうです。

    今週は欧米の利上げ長期化への警戒くすぶるなか、米CPIやECB理事会が注目されます。ある程度インフレ懸念を織り込んだ感触のうえ、利上げ見送りの観測は揺るがないと見られることから、押し目買いの動きは維持されると見ます。12日のアップル新製品発表、英アームの新規上場(14日の観測)を経て、ハイテク株の調整に一巡感が浮上するかも留意したいところです。

    20230911日本株チャート.png






    ■日本株~週間注目銘柄~

    ・三菱UFJ(8306) 収益高水準、利回り等還元姿勢魅力。国内金利上昇も意識。A

    ・ソフトバンクG(9984) 英アーム上昇や投資事業改善期待が割安修正に。A

    ・三菱商事(8058) 資源安響くも想定超えの業績進捗で上振れ期待。高利回り・割安。A

    ・パンパシHD(7532) インバウンド拡大の取り込み期待、連続営業増益の期待。A


    注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。
      詳細はアナリストレポートをご参照ください。









    ■ドル円~CPI等の米経済指標に注目~
    ■予想レンジ(9/11~9/15)ドル円相場 1㌦=146.00~149.00円

    先週は、ドルが全面高の様相を呈しました。夏季休暇シーズンが終わり、企業の社債発行が活発になるとの観測が需給悪化への警戒を誘うなか、原油相場の上昇が重なり、米金利が大きく上昇したためです。8月の米ISM非製造業景気指数が改善し、欧州との景況感の違いが意識されたこともドル選好の流れを後押しした模様です。

    ドル円については、日米金利差の拡大につれるかたちで昨年11月以来およそ10ヵ月ぶりの円安水準を付ける場面がありました。低金利の円を売って高金利の他通貨を買う「円キャリー取引」の増加などが背景にあり、他方では、本邦通貨当局のけん制姿勢がヒートアップしつつあることへの警戒も着実に強まりをみせています。

    今週は、FRB高官らが金融政策についての発言を控える「ブラックアウト期間」に入るため、米主要経済指標、なかでも8月CPI(13日)に注目が集まる見通しです。ドル堅調地合いが続く公算が高そうですが、介入警戒感も無視できないことから、円は下げても緩やかなペースに留まると判断しています。

    20230911円相場チャート.png












    ■主な注目イベント

    ◇11日(月)
     9月QUICK月次調査<株式>、8月工作機械受注額(速、日本工作機械工業会、15:00)

    ◇12日(火)
     5年物利付国債入札(財務省、10:30)、グロース上場=ライズ・コンサルティング・グループ、
    8月の英失業率(15:00)、9月の欧州経済研究センター(ZEW)の独景気予測調査

    ◇13日(水)
     8月の企業物価指数(日銀、8:50)、7~9月期法人企業景気予測調査(財務省、8:50)、
    8月の投信概況(投資信託協会、15:00)、7月のユーロ圏鉱工業生産、 ・8月の米CPI(21:30)

    ◇14日(木)
     7月の機械受注(内閣府8:50)、20年物利付国債入札(10:30)、8月豪雇用統計(10:30)、
     欧州中央銀行(ECB)理事会の結果発表、ラガルドECB総裁が記者会見、
     8月の米PPI(21:30)、8月の米小売売上高(21:30)

    ◇15日(金)
     7月の第3次産業活動指数(経産省、13:30)、8月中国70都市の新築住宅価格動向(10:30)
    8月の中国工業生産高、小売売上高、固定資産投資、不動産開発投資(11:00)、
     7月のユーロ圏貿易収支、9月のニューヨーク連銀製造業景況指数(21:30)、8月の米鉱工業生産・設備稼働率(22:15)
     9月の米消費者態度指数(速報値、ミシガン大学調べ、23:00)


    (注)時間は日本時間








    ■米国株~13日の8月消費者物価とアップル等の個別イベントに注目~
    ■予想レンジ(9/11~9/15) NYダウ 34,100~35,000ドル

    9月第1週の米主要株価3指数は下落。週間ベース(カッコは年初来騰落率)でNYダウが0.75%安(+4.31%)、S&P500が1.29%安(+16.1%)、ナスダック総合は1.93%安(+31.48%)とそれぞれ反落しました。 S&P500の11業種・週間騰落はWTI原油の上昇を背景にエネルギー株が1.39%高となったほか公益が上昇した一方、資本財や素材、情報技術などを中心に残り9業種は下落、週後半に中国政府が政府機関や国有企業の職員に対し、アイフォーンの使用禁止を広げると報じられたことでアップルが週間で6%の急落。部品を供給するスカイワークスやコルボ、クアルコムなど軒並み下落、フィラデルフィア半導体指数は週間3.17%安となりました。

    ロシア・サウジアラビアによる減産継続報道を受けて、WTI原油先物は一時昨年11月以来となる1バレル=$88.00台にまで上昇する場面もみられ、エネルギー株の見直し買いにつながりました。経済指標では8月ISM非製造業景況指数や新規失業保険申請件数が市場予想より強いデータが示され、景況感が改善。FRBによる利上げ懸念が台頭し、短期金利が上昇したことが相場の重しとなりました。CMEのFed Watchでは先週末時点、9月19・20日のFOMCでの政策金利据え置き確率は92%、11月か12月どちらかの0.25%利上げ確率は約5割弱となっています。

    今週は13日の8月消費者物価や14日の同小売売上高が重要経済指標として注目されます。市場予想ではコアCPIは3カ月連続での前月比+0.2%の伸びに留まるとの見方であり、実現すればディスインフレ期待が継続すると見られます。また小売売上高では消費の持続性が衰えるのか裁量的支出に弱さが顕在化する可能性には注視したいところです。米国個別企業のイベントでは12日にアップルが新型のアイフォーンとアップルウォッチを発表する見込み、収益拡大期待が高まれば、先週下げた反動高が期待できそうです。また14日に画像生成AIサービスを提供するアドビが6-8月期決算発表を予定、サプライズ決算なら生成AI関連の再物色につながる可能性があります。


    20230911NYダウチャート.png








    ■外国株・週間注目銘柄

    ・アマゾン・ドット・コム(AMZN)  前回好決算、ネット通販、クラウドAWS共に良好見通し

    ・コカ・コーラ(KO)  飲料世界大手 S&P500配当貴族指数構成銘柄 自律反発に期待

    ・イーライリリー(LLY) 米製薬大手、アルツハイマー病新薬と肥満症薬適用拡大に期待





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