「IwaiCosmo Weekly Letter」
2023年8月21日日本株~イベント通過で調整一巡を期待~
岩井コスモ証券投資調査部
■日本株~イベント通過で調整一巡を期待~
■予想レンジ(8/21〜8/25) 日経平均株価 31,300円~32,300円
先週の日経平均株価は1022円安と大幅反落。景気懸念や金利高警戒から各国とも調整色を強めるなか、決算一巡後の材料難や夏季休暇入りに伴う買い手不足も重なり、下値模索が続きました。各種節目を抵抗感なく割り込み先行き不安が高まりましたが、好業績株への下値買いは健在で底値到達感も一部でくすぶり始めました。
米国等が4-6月期決算を減益で終えつつあるなか、日本の10%前後の増益や今後の上振れ期待継続は十分な株高支援材料と考えます。円安やインバウンドの更なる拡大等を支えに、割安感を含むファンダメンタルズ面での日本優位は保たれる見通しで、早期の修正高や上昇トレンド回帰の可能性は小さくないと見ています。
今週は週末ジャクソンホール会議が注目です。米利上げ懸念の織り込みが相応に進んだと見られるなか、商い改善とともに、日本株の調整一巡感や業績期待に着目した押し目買いが広がりやすいと考えます。米半導体大手エヌビディアの決算(23日)をきっかけに半導体関連に見直しが入れば、指数の戻りが早まる可能性もありえそうです。
■日本株~週間注目銘柄~
・三菱UFJ(8306) 収益高水準、利回り等還元姿勢魅力。国内金利上昇も意識。A
・ダイキン(6367) インドのエアコン需要拡大、成長期待のヒートポンプに強み。A
・レーザーテク(6920) 先端半導体向け部材強み。好業績確認で修正高期待。A
・OLC(4661) インバウンドも支えに業績回復本格化の期待。40周年も追い風。A
注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。
詳細はアナリストレポートをご参照ください。
■ドル円~パウエル講演を注視~
■予想レンジ(8/21~8/25)ドル円相場 1㌦=144.00~147.00円
先週はドル買い優勢の展開となりました。良好な米景気指標の発表が相次いだうえ、7月FOMC議事録は「タカ派的」と受け止められ、FRBによる金融引き締め長期化観測が改めて強まったことが背景です。NY連銀の自然利子率(景気を過熱も抑制もしない金利水準)に関するレポートが、米金利の先高観を強めた面もありました。
週末には、人民元安の加速に警戒感を強めた中国当局が「ドル売り介入を実施する」との見方が浮上しポジション調整を誘発、急ピッチなドル高進行にブレーキを掛ける場面がありました。もっとも米金利先高観はさほど揺らいでいない模様で、ドル売りも限定的なものに留まっています。
今週は、ジャクソンホール会合におけるパウエルFRB議長の講演(25日)が最大の焦点となる見通しです。「ハト派姿勢への転換」を見込む声はほとんど聞かれなくなっており、ドルを売りづらい地合いが継続することになりそうですが、「タカ派姿勢継続」への織り込みは相当程度進んでいることから、大きな波乱は生じないと判断しています。■主な注目イベント
◇21日(月)
8月の中国最優遇貸出金利(LPR、10:15)
◇22日(火)
基調的なインフレ率を捕捉するための指標(日銀、14:00)、7月の米中古住宅販売件数(23:00)
◇23日(水)
8月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(16:15)、独製造業PMI速報値(16:30)、
8月のユーロ圏製造業PMI速報値(17:00)、英製造業PMI速報値(17:30)、
8月の米PMI速報値(S&Pグローバル調べ、22:45)、7月米新築住宅販売件数(23:00)、
海外2023年5~7月期決算=エヌビディア
◇24日(木)
7月の全国スーパー売上高(日本チェーンストア協会、14:00)、
トルコ中銀が政策金利を発表、 韓国中銀が政策金利を発表、インドネシア中銀が政策金利を発表、
7月米耐久財受注、米カンザスシティー連銀主催経済シンポジウム(ジャクソンホール会議、26日まで)
◇25日(金)
8月都区部消費者物価指数(CPI、総務省、8:30)、
7月外食売上高(日本フードサービス協会、14:00)、7月全国百貨店売上高(14:30)、
8月の独Ifo企業景況感指数、
8月の米消費者態度指数(確報値、ミシガン大学調べ、23:00)、
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が講演(23:05)
(注)時間は日本時間■米国株~8月の重要週に、23日引け後・エヌビディア決算に期待~
■予想レンジ(8/21~8/25) NYダウ 34,000~35,200ドル
8月第3週の米主要株価3指数は下落。週間ベース(カッコは年初来騰落率)でNYダウが2.21%高(+4.08%)と反落、S&P500が2.11%安(+13.81%)とナスダック総合が2.59%安(+26.98%)と共に3週連続で下落しました。 S&P500週間騰落は全11業種が下落、裁量消費や不動産、金融、通信などなどの下げが目立ちました。週末は指数先物と個別株オプションのSQがあり、出来高は大型株中心にやや膨らみました。夏季休暇を取得する参加者が多い中、長期金利は昨年10月以来の高水準となる一時4.32%まで上昇したほか、中国不動産大手恒大集団の米破産法申請を含む中国景気懸念の高まりなどが株安要因として意識されました。S&P500指数は節目の50日移動平均を割り込むと下げが加速しました。ウォルマート等の小売大手決算や、7月小売売上高、鉱工業生産などの主要経済指標は市場予想に対して上振れました。指標の強さを受けてアトランタ連銀の3Q-GDP成長率予想は消費拡大がけん引する格好で+5.8%をとなっています。
今週は24~26日のカンザス連銀主催のジャクソンホール会合と、23日引け後の予定される画像処理半導体最大手のエヌビディアの5-7月期決算が注目されます。ジャクソンホール会合ではFRBのパウエルFRB議長は25日午前10時5分(日本時間同午後11時5分)に講演予定です。16日公表の前回議事要旨ではインフレ率が高止まりする著しいリスクに触れた一方、過度の引き締めを維持するリスクを警告する声があった点も明らかになりました。会合のテーマが「コロナ後の世界経済の構造変化」であり、中長期の金利水準に言及する可能性があります。パウエル氏の講演が極端なタカ派発言でない内容に終始することで、市場では短期筋のよる債券先物売りの解消買戻しが入り、長期金利が低下し、グロース株中心に反発する展開に期待します。エヌビディアの決算は前回ポジティブサプライズとなった5-7月期売上高・粗利益率見通しを超過達成した上で、市場では8-10月期の会社想定が5-7月期より強い数値が予想されおり、IT大手の投資急増を背景に生成AIブームが一過性でないことを示すことが求められています。
■外国株・週間注目銘柄
・アマゾン・ドット・コム(AMZN) 前回好決算、ネット通販、クラウドAWS共に良好見通し
・ブロードコム(AVGO) AI半導体(ASIC=特定用途向け集積回路)で再評価
・イーライリリー(LLY) 米製薬大手、アルツハイマー病新薬と肥満症薬適用拡大に期待