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「IwaiCosmo Weekly Letter」

2023年8月14日

日本株~円安、好業績支えに相対優位示そう~

岩井コスモ証券投資調査部 岩井コスモ証券投資調査部

  • ■日本株~円安、好業績支えに相対優位示そう~
    ■予想レンジ(8/14〜8/18) 日経平均株価 32,300円~32,800円

    先週の日経平均株価は280円高と反発。休暇シーズン入りで参加者限定のなか、米CPI(10日発表)への警戒もあり内外とも調整ムードが残存しましたが、好調な決算発表と1㌦144円台の円安が日本株への見直し買いに繋がりました。押し目買い姿勢を支えに心理的節目32000円を割り込ずに反転したことも安心感を誘いました。

    米インフレ懸念の燻りや米政府による中国への先端投資規制からハイテク株は冴えなかったものの、インバウンド期待の内需関連や高利回りの資源・素材株の決算評価が持続しました。TOPIXベースの予想EPSは148超えと史上最高水準を更新、今後の上振れ期待も保たれたことで、ここひと月程の株価調整に一巡感が浮上しています。

    今週は商いが一段と細ると見られますが、警戒感の強かった米CPI通過で米国株に業績評価の流れが戻る可能性があります。各国の主要経済指標を確認しつつ、日本株を巡るファンダメンタルズの優位性に再び注目が集まることも十分にありえそうです。25日線はじめチャート上節目が集中する32500円突破で心理改善に弾みが付くことが期待されます。

    20230814日本株チャート.png









    ■日本株~週間注目銘柄~

    ・三菱UFJ(8306) 収益高水準、利回り等還元姿勢魅力。国内金利上昇も意識。A

    ・ダイキン(6367) インドのエアコン需要拡大、成長期待のヒートポンプに強み。A

    ・レーザーテク(6920) 先端半導体向け部材強み。好業績確認で修正高期待。A

    ・OLC(4661) インバウンドも支えに業績回復本格化の期待。40周年も追い風。A

    注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。

    詳細はアナリストレポートをご参照ください。










    ■ドル円~日米金融政策の違いが意識されやすい展開~
    ■予想レンジ(8/14~8/18)ドル円相場 1㌦=143.00~146.00円

    先週は、ジリジリと円安・ドル高が進む展開となりました。日銀はYCCの運用柔軟化を打ち出して以降も、臨時の国債買いオペなどを駆使して急激な金利上昇をけん制する姿勢を示していましたが、6月の毎月勤労統計で賃金の伸びの鈍さが確認されたことで、当面は緩和姿勢を継続するとの観測が支配的となりつつあります。

    一方で、米インフレの粘着性への警戒はくすぶり続けている模様です。失業者を大幅に上回る求人が続くなど歴史的な人手不足が解消しておらず、「人員確保のための賃上げ→価格転嫁→物価高→賃上げ」というスパイラルがサービス価格の高止まりを招くなか、原油をはじめとする商品価格が再び上昇してきたことなどが背景です。

    今週も、日米金融政策の方向性の違いへの意識が働きやすい環境が続く見通しです。米物価指標を踏まえ、米小売売上高(15日)や7月FOMC議事録(16日)などを消化しながら落ち着きどころを探る展開が想定されますが、円安方向への動きを強めるようだと、本邦通貨当局の動きからも目を離せないことになりそうです。

    20230814円相場チャート.png











    ■主な注目イベント

    ◇14日(月)
    7月の投信概況(投資信託協会)、1-6月期決算=電通グループ、
    4-6月期決算=シチズン、凸版

    ◇15日(火)
    4~6月期GDP速報値(内閣府、8:50)、7月の中国工業生産高、小売売上高、
    固定資産投資、不動産開発投資(11:00)、インド市場が休場、
    8月の欧州経済研究センター(ZEW)の独景気予測調査、
    7月の米小売売上高(21:30)、8月のニューヨーク連銀製造業景況指数(21:30)、
    8月の全米住宅建設業協会(NAHB)住宅市場指数(23:00)

    ◇16日(水)
    7月の訪日外国人客数(日本政府観光局、16:15)、23年6月期決算=パンパシHD
    ニュージーランド中銀が政策金利を発表、7月の中国70都市の新築住宅価格動向(10:30)
    6月のユーロ圏鉱工業生産、7月の英消費者物価指数(CPI)、
    7月の米住宅着工件数(21:30)、7月の米鉱工業生産(22:15)、
    米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(7月25日~26日開催分)(17日3:00)

    ◇17日(木)
    岸田文雄首相が日米韓首脳会談のため訪米、7月貿易統計(8:50)、6月機械受注(8:50)、
    6月第3次産業活動指数(13:30)、7月首都圏マンション販売(不動産経済研究所、14:00)、
    フィリピン中銀が政策金利を発表、ノルウェー中銀が金融政策発表、
    8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数(21:30)

    ◇18日(金)
    7月の全国消費者物価指数(CPI、総務省、8:30)、7月の英小売売上高


    (注)時間は日本時間










    ■米国株~16日にFOMC議事録要旨、来週のジャクソンホール会合の関心高まる~
    ■予想レンジ(8/14~8/18) NYダウ 34,000~36,000ドル

    8月第2週の米主要株価3指数はまちまち。週間ベース(カッコは年初来騰落率)でNYダウが0.62%高(+6.44%)と反発した一方、S&P500が0.31%安(+16.27%)とナスダック総合が1.90%安(+30.37%)と共に続落しました。 S&P500週間騰落は全11業種中、エネルギーやヘルスケアなど7業種が上昇した半面、情報技術、素材など4業種が下落。またバイデン政権による対中投資制限発表などが半導体関連の悪材料視され、フィラデルフィア半導体指数は週間4.99%安となりました。アップルやエヌビディア、テスラなど上昇をけん引してきた大型グロース株が相次いで軟調となり、年初来で出遅れ感のある業種が循環的に買われる展開、好決算を発表したイーライリリーやディズニー、バークシャー・ハサウェイなどが高値を更新しました。10日発表の7月米消費者物価はほぼ事前予想通りの結果(総合+3.2%、コア+4.7%、前年同月比)となり、CME・FEDウォッチの9月FOMCでの利上げ見送りの確率は11日時点で1週間前の13%から10%へ低下しました。ただ長期金利は新発国債の入札低調などを受けて週末4.15%と高止まりして、米国株の上値を抑える要因として意識されました。

    S&P500構成企業は11日時点で456社(91%)が決算を終え、エネルギー業種を除く全体の1株利益増減率(前年同期比、リフィニティブ集計)は7月14日時点の▲2.6%から+2.5%へ上方修正され、S&P500の12ヵ月予想PERは19.3倍となっています。今週は15日の米小売売上高や16日の鉱工業生産などの主要経済指標のほか、16日に前回実施のFOMC会合の議事録要旨に注目されそうです。また8月中は24~26日に開催されるカンザス連銀主催のジャクソンホール経済シンポジウムのパウエルFRB議長の講演内容が最大のイベントとなりそうです。今年の議題は「世界経済の構造変化」であり、コロナ禍から3年半が経過して物価基調や労働環境等の変化についても触れ、金融政策のハト派姿勢の転換の可能性があるのか注目されそうです。個別材料では生成AIブームを象徴するエヌビディア23日引け後に発表する5-7月期決算が重要イベントとなる見込みです。


    20230814NYダウチャート.png












    ■外国株・週間注目銘柄

    ・パロアルトネットワークス(PANW)  統合型セキュリティ企業、8月18日に次回決

    ・ブロードコム(AVGO)  AI半導体(ASIC=特定用途向け集積回路)で再評価

    ・メルク(MRK) 米製薬大手、がん免疫療法薬「キイトルーダ」の成長続く






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