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「IwaiCosmo Weekly Letter」

2023年8月 7日

日本株~好業績支えに32,000円付近の押し目買い期待~

岩井コスモ証券投資調査部 岩井コスモ証券投資調査部

  • ■日本株~好業績支えに32,000円付近の押し目買い期待~
    ■予想レンジ(8/7〜8/11) 日経平均株価 31,800円~32,800円

    先週の日経平均株価は566円安と反落、週初は日銀政策への警戒が和らぐ形で33000円台を回復して堅調ムードが広がりましたが、フィッチによる米国債の格下げを機に急失速しました。米景気堅調も背景に米金利が9ヵ月ぶり水準に上昇、今回は国内金利にも上昇警戒感がくすぶるなか、瞬間31000円台突入場面もありました。

    ヤマ場を迎える企業決算は想定以上に良好です。約半数が発表を終え、うち1割程度が通期見通しを上方修正、通期予想に対する1Q経常益の割合(進捗率)は30%超え(東証プライム)と、何れも過去を上回る内容で先行き上振れ期待が保たれています。節目の32000円攻防を乗り切り、自律反発気運が浮上しつつあります。

    今週も企業決算が相次ぐうえ、米物価指標の発表なども注目されます。夏季休暇シーズンで参加者減少が予想されるなか、週末3連休の前日(10日)にはミニSQを迎えることで、荒い値動きが継続する可能性も高そうです。内外金利が落ち着きを取り戻せば、厳しい下押しとなった日本株の修正余地は大きいと考えています。

    20230807日本株チャート.png










    ■日本株~週間注目銘柄~

    ・三菱UFJ(8306) 収益高水準、利回り等還元姿勢魅力。国内金利上昇も意識。A

    ・ダイキン(6367) インドのエアコン需要拡大、成長期待のヒートポンプに強み。A

    ・レーザーテク(6920) 先端半導体向け部材強み。好業績確認で修正高期待。A

    ・OLC(4661) インバウンドも支えに業績回復本格化の期待。40周年も追い風。A



    注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。

    詳細はアナリストレポートをご参照ください。










    ■ドル円~改めて米長期金利の動向に注目~
    ■予想レンジ(8/7~8/11)ドル円相場 1㌦=141.00~145.00円

    先週は、値動きの荒い展開となりました。日銀が臨時の国債買いオペを実施し急激な金利上昇を容認しない姿勢を示したことなどから、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール:YCC)の運用柔軟化を囃した円買いの動きに急ブレーキが掛かる一方、週末にかけては米長期金利の急上昇が市場のかく乱要因となったためです。

    財政の悪化を受けて米国債が増発されるとの見方が広がるなかで、格付け大手フィッチは米国債の格下げに踏み切りました。日本国債の投資妙味が増せば、ジャパン・マネーが流出しかねないとの観測も米国債の需給不安に拍車をかけた模様で、世界株安連鎖を誘発するなど徐々にリスクオフの色彩が強まる格好となりました。

    今週は、改めて米長期金利の動向に市場の関心が向かう見通しです。米景気の底堅さや2011年に一度経験していることなどを踏まえ、米国債格下げの影響は軽微かつ一過性との見方が支配的で、7月の米CPI(10日)やFRB高官発言などへの反応を注視していくことが肝要となりそうです。

    20230807円相場チャート.png











    ■主な注目イベント

    ◇7日(月)
    消費活動指数(日銀、14:00ごろ)、6月の景気動向指数速報値(内閣府、14:00)、
    決算=大成建、大林組、東レ、王子HD、日製鋼、住友鉱、ワークマン、東京海上、レーザーテク

    ◇8日(火)
    6月家計調査(総務省、8:30)、6月毎月勤労統計(厚労省、8:30)、7月貸出預金動向(日銀8:50)、
    7月景気ウオッチャー調査(内閣府、14:00)、7月の中国貿易統計、
    決算=明治HD、出光興産、太平洋セメ、神戸鋼、ダイキン、川重、IHI、大日印、東急、
    JR九州、ニトリHD、SBG、MS&AD、キリンHD、SUMCO、資生堂、ヤマハ発

    ◇9日(水)
    東証グロース上場=JRC、
    決算=石油資源、鹿島、富士フイルム、SMC、いすゞ、ホンダ、オリンパス、NTT、
    NTTデータ、SOMPO、INPEX、アサヒ、DIC、ブリヂストン、NXHD、
    7月の中国消費者物価指数(CPI、10:30)、7月の中国卸売物価指数(PPI、10:30)

    ◇10日(木)
    7月の企業物価指数(日銀、8:50)、株価指数オプション8月物の特別清算指数(SQ)算出、
    7月のオフィス空室率(三鬼商事、11:00)、
    決算=ENEOS、コスモHD、リクルート、OKI、三井E&S、東エレク、菱地所、住友不、
    東映、日本郵政、第一生命HD、住友生命、T&D、すかいらーく、楽天グループ、
    7月の米消費者物価指数(CPI)(21:30)

    ◇11日(金)
    東京市場休場 7月米卸売物価指数(PPI)(21:30)、8月消費者態度指数(速報、ミシガン大23:00)


    (注)時間は日本時間










    ■米国株~長期金利睨みの展開、10日のCPIの結果が重要に~
    ■予想レンジ(8/7~8/11) NYダウ 34,800~35,900ドル

    8月第1週の米主要株価3指数は揃って反落、週間ベース(カッコは年初来騰落率)でNYダウが1.11%安(+5.79%)、S&P500が2.27%安(+16.63%)、ナスダック総合は2.85%安(+32.89%)となりました。 S&P500週間騰落は全11業種中、エネルギーのみが業種が上昇した半面、公益や不動産、情報技術など中心に10業種が下落しました。 1日引け後に格付け会社フィッチが最高級だった米国債格付けを1段階引き下げました。 米財務省の国債増発計画の発表時期と重なり、財政悪化も想起され長期金利は昨年11月以来となる一時4.20%を付ける場面もありました。週末は7月雇用統計が雇用者数伸びが18.7万人増と市場予想を下回り、追加利上げ観測が後退、4.03%で終えました。短期過熱感があった株式市場は国債格下げや長期金利上昇がリスクオフの売りを誘発、広範囲に利益確定売りが広がりました。第2四半期決算発表がヤマ場を迎えS&P500構成企業は4日時点で422社(84%)が決算を終え、79%の企業が市場予想を上回る結果となりましたが、事前織り込みが進んでおり、材料出尽くしに押される銘柄が多く見受けられます。個別ではアップル決算ではアイフォーン販売が市場予想未達が嫌気され下落した一方、アマゾンはネット販売・クラウド事業共に実績・見通しが良好で大幅高となりました。またセキュリティのフォーティネットが失望決算で関連銘柄と共に急落しました。

    リフィニティブ集計ではS&P500構成の第2四半期の1株利益増減率の見通しは、アルファベットやメタを含む通信の上振れが貢献する形で7月1日時点の前年同期比▲5.7%から4日時点で▲4.2%へ上方修正されました。今週はディズニーやイーライリリーなどを含むS&P500構成の33社が業績報告するほか、多数の中小型のグロース株の決算発表も増える予定です。今週は10日に7月米消費者物価の発表が重要イベント。コアCPI(前年同月比)は+4.7%(前月+4.8%)と予想され、予想以下の鈍化が確認されれば、不安定化した米債券市場の安定感が高まる展開も想定されまる。株式市場では金利低下を受けたハイテク株の反発に期待したいところです。

    20230807NYダウチャート.png












    ■外国株・週間注目銘柄

    ・アドビ(ADBE)  画像生成AI「ファイアフライ」を発表・実装、客単価と定着率上昇へ

    ・ブロードコム(AVGO)  AI半導体(ASIC=特定用途向け集積回路)で再評価

    ・メルク(MRK) 米製薬大手、がん免疫療法薬「キイトルーダ」の成長続く



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