マーケットレポート

プロの視点からわかりやすいレポートを提供します。

「IwaiCosmo Weekly Letter」

2023年7月24日

日本株~イベント通過後への期待も~

岩井コスモ証券投資調査部 岩井コスモ証券投資調査部

  • ■日本株~イベント通過後への期待も~
    ■予想レンジ(7/24〜7/28) 日経平均株価 32,300円~33,000円

    先週の日経平均株価は87円安と小反落。円高一服や銀行決算の好調を受けた米株上昇を支えに一旦は出遅れ修正の動きも見せましたが、海外半導体株の失望決算から関連銘柄が軒並み急落、下値再模索の様相を示しました。引き続き32000円台前半では円安メリット株や高利回りバリュー株、内需関連の一角が下値を支えました。

    週初に上場来高値を更新したアドバンテストが後半2日間で10%近く急落するなど、高値圏銘柄の波乱的な動きが日経平均を押し下げました。もっとも東証33業種中、29業種が週間ベースで上昇、相場の地合いは指数ほどには悪化していないと見られます。1ドル140円台復帰の円相場の弱含みも支えに調整一巡感も意識されます。

    今週は決算が本格化、週末の日銀政策会合も控え、様子見が続きそうです。月末接近で需給不安を引きずる懸念がある一方、もたつきを抜け出すきっかけを掴む可能性も感じられます。内需好調や挽回生産、円安を背景に業績上振れ期待を保てれば、還元強化の流れも支えに日本株の相対優位を取り戻すことができそうです。

    20230724日本株チャート.png











    ■日本株~週間注目銘柄~

    ・三菱UFJ(8306) 収益高水準、利回り等還元姿勢魅力。日銀政策思惑も意識。A

    ・ソフトバンクG(9984) 傘下英アーム社を軸にAI関連の話題豊富。ファンドも復調。A

    ・キヤノン(7751) 自社株買いなど還元姿勢を強化、ユーロ中心に円安メリット大。A

    ・岩谷産(8088) 強みの水素関連事業の将来性に期待。国策を支えに中計積極化。A


    注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。

    詳細はアナリストレポートをご参照ください。









    ■ドル円~日米欧金融当局の動きに注目~
    ■予想レンジ(7/24~7/28)ドル円相場 1㌦=140.00~143.00円

    先週は、ポジション調整目的の円買いに歯止めがかかる展開となりました。連休明けの18日に伝わった20ヵ国・地域(G20)財務相・中銀総裁会議における植田日銀総裁発言が「ハト派的」との受け止めが広がり、日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)修正思惑が大きく後退したことが背景です。

    域内物価の落ち着きや複数の高官発言を受けてECBの利上げ継続観測が後退、対ユーロでのドル買い戻しが膨らんだことも、ドル円相場に少なからぬ影響をもたらした模様です。週末には、強い雇用関連指標を受けて米金利が上昇、日銀の政策維持観測報道も相次ぎ、一気に142円近辺まで値戻しが進む格好となりました。

    今週はいよいよ「中銀ウィーク」を迎え、当局の一挙手一投足が注目されることになる見通しです。米欧の利上げ実施はほぼ確実視されており、9月以降の利上げに関してどのような言及があるかが焦点で、日銀については、大方の予想通り政策の現状維持を決めるか否かに改めて関心が集まることになりそうです。

    20230724円相場チャート.png











    ■主な注目イベント

    ◇24日(月)
    6月の全国百貨店売上高(14:30)、4~6月期決算=三菱自、東証グロース上場=トライト
    7月の仏製造業PMI速報値、独製造業PMI、ユーロ圏PMI、米製造業PMI速(22:45)

    ◇25日(火)
    基調的なインフレ率を捕捉するための指標(日銀、14:00)東証グロース上場=フラー
    7月の独Ifo企業景況感指数、5月米S&Pコアロジックケースシラー住宅価格指数(22:00)
    7月の米消費者信頼感指数(23:00)、海外決算=マイクロソフト、ベライゾン、スリーエム

    ◇26日(水)
    6月企業向けサービス価格指数(8:50)、4-6月期決算=アドテスト、日東電、日産自
    東証グロース上場=エコナビスタ、東証スタンダード上場=テクニスコ
    米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表(27日3:00)、議長記者会見(27日3:30)

    ◇27日(木)
    決算=信越化、武田、日立建機、富士通、ルネサス、キヤノン
    欧州中央銀行(ECB)理事会の結果発表、ラガルドECB総裁が記者会見
    4-6月期米実質GDP速(21:30)、6月米耐久財受注額(21:30)

    ◇28日(金)
    7月都区部CPI(総務省8:30)、日銀金融政策決定会合の結果公表、植田総裁会見(15:30)
    決算=清水建、OLC、コマツ、日立、NEC、デンソー、ファナック、スクリン、JR東、JR東海
    東証グロース上場=GENDA、クオルテック
    7月独CPI速報値、6月米個人所得個人消費支出(21:30)、7月米消費者態度指数(ミシガン大、確)


    (注)時間は日本時間








    ■米国株~FOMCは25~26日、ハイテク主要企業決算の影響大きく~
    ■予想レンジ(7/24~7/28) NYダウ 33,800~35,800ドル

    7月第3週の米主要株価3指数はまちまち。週間ベース(カッコは年初来騰落率)でNYダウが2.08%高(+6.28%)、S&P500が0.69%高(+18.15%)と続伸した一方、ナスダック総合は0.57%安(+34.04%)と反落しました。NYダウは21日までに2017年8月以来となる10日続伸して2022年3月以来の高さとなりました。 S&P500週間騰落は全11業種中、エネルギー、ヘルスケア、金融、公益など7業種が上昇、前週大きく上昇した通信、一般消費財、情報技術等下落しました。19日引け後発表のネットフリックスとテスラは共に決算後に下落、ネットフリックスは会員増加が見られたものの、売上高が実績・見通しが市場予想を下振れしたことが、テスラは値引きによる収益率が市場予想を下振れしたことが嫌気されました。台湾TSMCは決算を通じて大幅安、半導体関連の下げに繋がりました。通期見通しを下方修正してAI半導体の好調が全体を押し上げられませんでした。他方、地方銀行の決算は事前に懸念されたほど悪くなく、KBW銀行株指数は大幅高となりました。

    今週は25~26日にFOMC、27にECB理事会、28日に日銀政策決定会合がある「中銀ウィーク」となる。FOMCやECBは共に既に0.25%利上げが確実視されており、次々回の会合の利上げ姿勢を窺う展開となりそうです。米国では6月CPIの伸びの鈍化傾向(ディスインフレ)が継続するのかパウエルFRB議長の見解が注目されそう。タカ派姿勢が強ければ米長期金利が再び4%超えや株式市場の調整に繋がる可能性も残っていると考えます。株式市場ではFOMCと同様に重要なのが主要企業の4-6月期決算でしょう。S&P500構成企業で今週173社が業績報告を行い本格化します。その中でもマイクロソフト(25日)からはクラウド業界、アルファベット(25日)やメタ(26日)からは広告業界等といった各指標性を持つほか、自社生成AI技術の収益化に向けた進捗状況が市場予想より早ければ、AI期待を維持することになると思われます。このほかベライゾンやAT&Tは鉛含有ケーブル問題が注目されるほか、インテルやKLA等の半導体業界、マクドナルドやP&G、オイルメジャーのエクソンやシェブロンなどが決算発表の予定です。

    20230724NYダウチャート.png















    ■外国株・週間注目銘柄

    ・アドビ(ADBE)  画像生成AI「ファイアフライ」を発表・実装、客単価と定着率上昇へ

    ・ブロードコム(AVGO)  AI半導体(ASIC=特定用途向け集積回路)で再評価

    ・メルク(MRK) 米製薬大手、がん免疫療法薬「キイトルーダ」の成長続く





TOPへ戻る

  • 岩井コスモ証券コーポレートサイト
  • 岩井コスモホールディングス
  • 岩井コスモビジネスサービス

金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第15号
日本証券業協会 一般社団法人日本投資顧問業協会 一般社団法人金融先物取引業協会

Copyright © IwaiCosmo Securities Co., Ltd. All rights reserved.