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「IwaiCosmo Weekly Letter」

2023年7月18日

日本株~円高警戒一服で、出遅れ修正へ~

岩井コスモ証券投資調査部 岩井コスモ証券投資調査部

  • ■日本株~円高警戒一服で、出遅れ修正へ~
    ■予想レンジ(7/18〜7/21) 日経平均株価 32,200円~32,900円

    先週の日経平均株価は週間でわずか2円高と横這いで終了。前半は円高や海外景気懸念から期初の売りが加速、32000円割れの急落場面もありましたが、米物価指標の落ち着きから欧米株式がしっかり反発したことで、なんとか目先底入れのムードを示しました。小売決算の好調から業績期待が保たれていることも支えとなっています。

    米国ではS&P500、NASDAQ総合が昨年4月以来の高値水準を回復、インフレ鈍化やドル安を支えにハイテク株主導でいち早く上値追いの姿勢を示しています。景気懸念を強める中国についても、景気対策期待を支えに下げ止まりの気配となっており、円高でやや反転ムードの弱い日本株も徐々に落ち着きを取り戻すと考えます。

    今週は米中の主要経済指標や米企業決算が注目です。足元、短期間で8円程度の円高が進んだ外為市場が安定すれば、景気や業績の安心感を支えに、買い遅れた投資家等の押し目買い姿勢が強まると見ます。成長期待の高い半導体関連や、好業績内需株、高配当利回り株などに見直し余地がありそうです。

    20230718日本株チャート.png










    ■日本株~週間注目銘柄~

    ・三菱UFJ(8306) 収益高水準、利回り等還元姿勢魅力。日銀政策思惑も意識。A

    ・ソフトバンクG(9984) 傘下英アーム社を軸にAI関連の話題豊富。ファンドも復調。A

    ・キヤノン(7751) 自社株買いなど還元姿勢を強化、ユーロ中心に円安メリット大。A

    ・岩谷産(8088) 強みの水素関連事業の将来性に期待。国策を支えに中計積極化。A


    注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。
      詳細はアナリストレポートをご参照ください。










    ■ドル円~急ピッチのポジション調整に歯止め~
    ■予想レンジ(7/18~7/21)ドル円相場 1㌦=137.00~141.00円

    先週は、急激な円高・ドル安が進行する展開となりました。米物価指標の下振れや日銀の政策修正思惑が、投機筋の「円売り・ドル買い」ポジションの巻き戻しを誘発したためで、「タカ派」として著名なブラート・セントルイス連銀総裁の突然の辞任発表も憶測を呼び、137円台前半に位置する200日線に接近する場面がありました。

    もっとも6月の米CPI・PPIの落ち着きは、前年同月がインフレのピークだったことによる影響(ベース効果)も大きく、FRB高官からは引き続き「タカ派」的な発言が相次ぐ状況となっています。日銀の政策についても、イールドカーブ(利回り曲線)の歪みがほぼ解消している現在、修正を急ぐ必要はないとみる向きは少なくありません。

    それゆえ今週は、急ピッチなポジション調整の動きに歯止めが掛かる公算が高いと判断しています。FOMC接近に伴いFRBメンバーの発言が封じられてしまうことから、小売売上高や鉱工業生産、住宅関連指標などを通じて、米景気の底堅さが意識されるか否かが大きなカギを握ることになりそうです。

    20230718円相場チャート.png











    ■主な注目イベント

    ◇17日(月)
    4-6月期中国GDP、6月工業生産高、小売売上高、国固定資産投資、不動産開発投資(11:00)
    7月のニューヨーク連銀製造業景況指数(21:30)

    ◇18日(火)
    5月の第3次産業活動指数(経産省、13:30)、6月の米小売売上高(21:30)
    6月米鉱工業生産設備稼働率(22:15)、7月全米住宅建設業協会(NAHB)住宅市場指数(23:00)

    ◇19日(水)
    6月の訪日外国人客数(日本政府観光局、16:15)、4~6月期決算=光世
    6月の英消費者物価指数(CPI)(15:00)、6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値
    6月の米住宅着工件数(21:30)、海外決算=ネットフリックス、ゴールドマンサックス、テスラ

    ◇20日(木)
    6月首都圏マンション販売(不動産経済研究所、14:00)、6月中国最優遇貸出金利(LPR、10:15)
    海外4~6月期決算=台湾積体電路製造(TSMC)、4~6月期決算=ニデック
    トルコ中銀が政策金利を発表、南アフリカ中銀が政策金利を発表
    7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数(21:30)、6月米中古住宅販売件数(23:00)

    ◇21日(金)
    6月の全国消費者物価指数(CPI、総務省、8:30)、4~6月期決算=岩井コスモ、東京製鉄
    東証グロース上場=ナレルグループ


    (注)時間は日本時間









    ■米国株~19日引け後のテスラ、エヌビディア決算に注目~
    ■予想レンジ(7/18~7/21) NYダウ 34,300~35,400ドル

    7月第2週(14日迄)の米主要株価3指数は反発。週間ベース(カッコは年初来騰落率)でNYダウが2.29%高(+4.11%)、S&P500が2.42%高(+17.34%)、ナスダック総合は3.32%高(+34.85%)とそれぞれ反発、12日の6月消費者物価が着実に鈍化していることが確認され、 CMEのFEDウォッチでは17時点の7月・9月のFOMC利上げ確率は96%、14%となり、9月利上げの見方が後退したことを好感してNYダウは5日続伸して週末に34,500ドル台乗せ、S&P500やナスダック総合は13日に52週高更新となりました。 S&P500週間騰落では全11業種が上昇、エネルギー、生活必需品、金融を除く業種が2%超の上昇とりわけ通信、一般消費財、情報技術の上昇が目立ちました。週末に発表された大手銀行決算の株価の反応は、JPモルガンが上昇したものの、シティグループ、ウェルズファーゴが小安く、先行きにやや不安を残したものの、医療保険のユナイテッド・ヘルスは事前予想を上回り大幅高でNYダウの押し上げに貢献しました。CNNマネーの恐怖と欲望指数は強欲状態を指示し、株式市場に短期過熱感がある一方、金利の低下や年前半の好調が年後半も続きやすい過去のアノマリー、出遅れている投資家の参入など支援材料も多く、上昇基調が続いています。

    今週は7月25~26日FOMC前に15日からブラックアウト期間に入っており、FRB高官の発言はなく、主要企業決算の本格化とマクロ経済指標では18日に米6月小売売上高があり、消費動向を占うことになりそうです。S&P500構成企業の第2四半期の1株利益変化率は、リフィニティブ集計ベースで4日時点で同8.1%減、エネルギー業種を除くと同2.6%減まで軽減されます。原油高、人件費高騰などの収益性の悪化の環境は今四半期がピークか、既にピークを過ぎている可能性があり、主要企業利益トレンド好転を期待したいところです。今週はS&P500構成企業で17社が決算発表を予定しており、投資家心理に影響を与えそうなのが19日引け後のテスラとネットフリックスの決算となりそうです。ほか台湾セミコンダクターが20日に決算があり生成AIの影響が注目されそうです。週末21日はナスダック100指数の特別リバランスのイベントがあり、超大型株の上値が重くなりそうです。


    20230718NYダウチャート.png













    ■外国株・週間注目銘柄

    ・アドビ(ADBE)  画像生成AI「ファイアフライ」を発表・実装、客単価と定着率上昇へ

    ・ブロードコム(AVGO)  AI半導体(ASIC=特定用途向け集積回路)で再評価

    ・メルク(MRK) 米製薬大手、がん免疫療法薬「キイトルーダ」の成長続く




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