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「IwaiCosmo Weekly Letter」

2023年6月12日

日本株~海外睨みも、日本優位は保つ見通し~

岩井コスモ証券投資調査部 岩井コスモ証券投資調査部

  • ■日本株~海外睨みも、日本優位は保つ見通し~
    ■予想レンジ(6/12〜6/16) 日経平均株価 31,900円~32,700円

    先週の日経平均株価は740円高と9週連続で上昇、一時急落場面を挟みながら17年11月以来5年半ぶりの続伸記録となりました。当時はその後2ヵ月程不安定なじり高展開を経て急落に至りましたが、過去には長期続伸が大相場の起点となったケースも多く(13年初、89年初)、今回下押しが適度な踊り場となった感触です。

    異例の日本独歩高で33年ぶり高値水準を付けるなか、週央にSQ前攻防で瞬間1000円超えの下げ幅を示しました。その後は金利低下を支えとした米ハイテク株見直しなどを契機に、週末9日には600円超えの急反発、海外投資家の10週連続買い越し(2013年以来)なども含め、改めて日本株の好地合いを確認する格好となりました。

    今週は米CPI発表のほか主要中銀の政策会合が集中、今後の引き締め継続の可能性や米金利動向に注目が集まります。海外マーケットは神経質な値動きが想定されますが、その反応に関わらず、円安や景気安心感を支えとした日本優位の流れは途切れない見通しで、ピッチを緩めながらも基本的には上昇基調が継続しそうです。


    20230612日本株チャート.png









    ■日本株~週間注目銘柄~

    ・三菱UFJ(8306) 収益高水準、利回り等還元姿勢魅力。日銀政策思惑も意識。A

    ・ホンダ(7267) 自動車挽回生産、円安メリットで大幅増益期待。PBR0.6倍割れ。A

    ・H2O(8242) 関西の百貨店主軸に食品スーパー展開も急。インバウンド恩恵大。A

    ・NTT(9432) 次世代通信IOWN構想で海外も視野。高利回り、高財務支え。A


    注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。

    詳細はアナリストレポートをご参照ください。








    ■ドル円~6月FOMCのドットチャートの注目金融政策会合~
    ■予想レンジ(6/12~6/16)ドル円相場 1㌦=138.50~142.00円

    先週は、1㌦=140円を挟んでもみ合う展開となりました。FRB高官が金融政策に関する発言を禁止される「ブラックアウト期間」入りに伴って、市場の関心を集めた5月のISM非製造業景況感指数が事前予想を下回り、米国の6月利上げ見送り観測は強まったものの、金融引き締め長期化への警戒は拭えなかったことが背景です。

    オーストラリアに続き、カナダ中銀も予想外の追加利上げを実施するなど、ここにきて世界的なインフレ圧力の根強さへの意識が改めて強まりをみせています。一方で、日銀は現行の大規模緩和を維持する姿勢を保っており、金融政策の方向性の違いが円の下押しに働く構図も鮮明化しています。

    今週は、日米欧の金融政策決定会合が開催されますが、なかでもFOMC(13~14日)への反応が焦点となる見通しです。会合中に5月のCPIとPPIが発表されることもあり、「利上げ見送り」がメインシナリオで、参加メンバーの政策金利見通し(ドットチャート)などから7月利上げの可能性を占うことになりそうです。

    20230612円相場チャート.png







    ■主な注目イベント

    ◇12日(月)
    5月企業物価指数(日銀8:50)、4月工作機械受注額速報(工作機械工業会、15:00以降)

    ◇13日(火)
    4-6月期法人企業景気予測調査(8:50)、5月投信概況(15:00)、グロース上場=ABEJA、
    5月英失業率、4月欧州経済研究センター独景気予測調査、5月米消費者物価指数(CPI)(21:30)

    ◇14日(水)
    東証グロース上場=Globee、4月ユーロ圏鉱工業生産(18:00)、5月米PPI(21:30)、
    米連邦公開市場委員会(FOMC)発表(15日3:00)、パウエル議長の記者会見(15日3:30)

    ◇15日(木)
    4月機械受注(内閣府8:50)、5月貿易統計(財務省8:50)、4月第3次産業活動指数(13:30)、
    5月の豪雇用統計(10:30)、5月の中国70都市の新築住宅価格動向(10:30)、
    5月の中国工業生産高(11:00)、5月の中国小売売上高(11:00)、
    5月の中国固定資産投資(11:00)、5月の中国不動産開発投資(11:00)、
    4月のユーロ圏貿易収支(18:00)、ECB理事会の結果発表、ラガルド総裁記者会見、
    5月の米小売売上高(21:30)、5月の米輸出入物価指数(21:30)、
    6月NY連銀製造業景況指数(21:30)、6月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(21:30)

    ◇16日(金)
    日銀金融政策決定会合の結果公表、日銀の植田総裁が記者会見、
    JPX山道CEO記者会見(15:30)、6月の米消費者態度指数(速報値、ミシガン大学調べ、23:00) 


    (注)時間は日本時間






    ■米国株~強気相場入りの米国株、重要イベントを波乱なく通過できるのか~
    ■予想レンジ(6/12~6/16) NYダウ 33,200~34,800ドル

    6 月第2週の米主要株価3指数は続伸。週間ベース(カッコは年初来騰落率)でNYダウが0.34%高(+2.20%)と小幅続伸。S&P500が0.39%高(+11.96%)と4週連続高。ナスダック総合は0.14%高(+26.68%)となり、上昇記録を7週連続高に伸ばしました。 S&P500週間騰落では情報技術と通信サービスを除く9業種が上昇、エネルギー、素材、資本財、一般消費財等が値上り上位となりました。けん引役となっていたエヌビディアなどの生成AI関連銘柄が総じて一進一退となった一方、景気敏感株が出遅れ感から買われる展開となりました。8日に機関投資家のベンチマークであるS&P500は、昨年10月に付けた安値から2割超の上昇した水準に回復して「強気相場入り」を実現、週末値は節目となっている昨年8月の高値4,300ポイントまであと2ポイントに迫りました。個別ではGMとEVステーション規格の統一化で8日合意したテスラが11連騰・戻り高値を更新したほか、親会社インテルによる株式売出しが発表された、高度運転支援システムを手掛けるモービルアイ・グローバルが一時的な株式需給悪化を嫌気され、売りに押されました。

    今週は13~14日にFOMCを予定、利上げ見送りの公算が大きいと見られているものの、7月26日以降のFOMCでの利上げ再開を示唆する可能性も十分ある。FOMC参加者による23年末の政策金利見通しが3月時点から更新され、中央値5.125%から上方修正があれば、市場が7月利上げを想起する展開も想定されます。また15日にはECBが、16日には日銀が金融政策決定会合を開く予定で各国の金融政策の方向性の違いも改めて意識されると見られます。13日に5月の米消費者物価(CPI)が発表されるため、市場予想に上振れるとFOMC直前に警戒感が高まる場面も予想される。個別では生成AI関連と位置づけられる画像・文書編集ソフトのアドビが15日に決算発表を予定するほか、13日に半導体のAMDが新製品発表イベントがあります。米国株市場では再び個人投資家の売買が活発化しているとの調査報告もあり、大型ハイテク株が個人投資家の参戦も手伝って再び高値を更新できるのか、注目されます。


    20230612NYダウチャート.png








    ■外国株・週間注目銘柄

    ・アルファベット(GOOGL)  生成AI「バード」に対する評価高まる 出遅れ妙味

    ・ブロードコム(AVGO)  AI半導体(ASIC=特定用途向け集積回路)で再評価

    ・マクドナルド(MCD) 高い既存店売上高の伸びを実現、値上げとリオープン恩恵が継続



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