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「IwaiCosmo Weekly Letter」

2023年4月10日

日本株~修正高で28000円早期復帰も~

岩井コスモ証券投資調査部 岩井コスモ証券投資調査部

  • ■日本株~修正高で28000円早期復帰も~
    ■予想レンジ(4/10〜4/14) 日経平均株価 27,400円~28,000円

    先週の日経平均株価は523円安と3週ぶりに反落。月初堅調に始まったものの予想を下回る米経済指標の発表が相次いで米金利が低下、景気懸念と円高警戒から主力株が軒並み軟調に推移しました。日米とも3月後半に相応の値戻しが進んだ反動に加え、年度初めの益出しなど需給悪も重なった印象で、やや過剰反応と捉えています。

    過去2年の4月相場も好調スタートのあと短期急落を強いられるなど、神経質な値動きが見られました。この1年余りのレンジ相場上限にあたる28000円台前半で跳ね返された格好となりましたが、今回は日本経済の持ち直し期待や日本株の割安感への前向き評価を支えに早晩好地合いを取り戻す可能性が高いと見ています。

    今週は欧米イースター明けに伴い商いが復調するとともに、バリュー株への下値買いや業績期待の高いインバウンド関連への見直し買いが広がると見ます。27500円付近の底堅さを確認し、海外市場の落ち着きも重なれば、早期に28000円台に回帰する可能性もありそうです。

    20230410日本株チャート.png








    ■日本株~週間注目銘柄~

    ・日本製鉄(5401) 逆風下でも最高益水準の業績確保。PBR1倍割れ等割安修正へ。A

    ・スクリーン(7735) 半導体勝ち組の台湾TSMCが主要顧客。割安修正の余地も。A

    ・H2Oリテイル(8242) 関西の百貨店主軸に食品スーパー展開も急。インバウンド恩恵大。A

    ・NTT(9432) 次世代通信IOWN構想で海外も視野。高利回り、高財務支え。A


    注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。

    詳細はアナリストレポートをご参照ください。








    ■ドル円~引き続き米主要経済指標に対する反応が焦点~
    ■予想レンジ(4/10~4/14)ドル円相場 1㌦=130.00~134.00円

    先週は、ドルが主要通貨に対して軒並み弱含む展開となりました。雇用関連を中心に事前予想を下回る経済指標が相次ぎ、米景気の先行き懸念が広がったことが背景です。一方で、本邦機関投資家の期初に絡むドル買いが膨らんだことから、1㌦=130円台ではドルが底堅さを増す傾向も窺われました。

    市場参加者を弱気に傾けたきっかけは、4日に発表された2月の米求人数が市場予想を下回り、21ヵ月ぶりに1000万人の大台を割り込んだ(993万人)ことに求められます。しかし、同月の失業者数が594万人に留まっていることなどを考慮すれば、「米国の雇用は弱い」とみるのはやや早計と思われます。

    今週も引き続き、米主要経済指標への反応が焦点となる見通しです。CPI(12日)やPPI(13日)はもちろん、小売売上高(14日)などに関心が集まるとみられますが、FOMC議事録(12日)の公表も予定されていることから、足元では無視されがちなFRB高官発言に耳を傾ける場面が増える可能性がありそうです。

    20230410円相場チャート.png








    ■主な注目イベント

    ◇10日(月)
    3月消費動向調査(14:00)、3月景気ウオッチャー調査(内閣府、15:00)、
    2月期決算=ウエルシア 香港、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランド、ドイツや英国、南アフリカ休場

    ◇11日(火)
    2月の工作機械受注額(速報値、日本工作機械工業会、15:00)、2月期決算=Jフロント、
    3月の中国消費者物価指数(CPI)、卸売物価指数(PPI、10:30)、2月ユーロ圏小売売上高(18:00)

    ◇12日(水)
    3月の企業物価指数(日銀、8:50)、2月機械受注(内閣府、8:50)、
    東証グロース上場=ispace、2月期決算=ABCマート、イオン、吉野家HD、
    3月米CPI(21:30)、米FOMC議事要旨(3月開催分、13日3:00)、カナダ中銀が政策金利発表

    ◇13日(木)
    3月の投信概況(投資信託協会、15:00)、2月期決算=ローソン、良品計画、東宝、ファストリ、
    3月中国貿易統計、2月のユーロ圏の鉱工業生産(18:00)、3月の米PPI(21:30)

    ◇14日(金)
    名証メイン上場=日本システムバンク、株価指数オプション4月物の特別清算指数(SQ)算出、
    2月期決算=高島屋、タイ、インド市場が休場、
    3月米小売売上高(21:30)、3月米輸出入物価指数(21:30)、3月米鉱工業生産設備稼働率(22:15)、
    2月の米企業在庫(23:00)、4月の米消費者態度指数(速報値、ミシガン大学調べ、23:00)、
    海外決算=JPモルガンチェース、シティグループ、ウェルズファーゴ、ユナイテッドヘルスグループ (日本時間)


    (注)時間は日本時間







    ■米国株~3月消費者物価が12日、週後半から4-6月決算シーズン入り~
    ■予想レンジ(4/10~4/14) NYダウ 32,700~34,000ドル

    4月第1週の米主要株価3指数は週末7日がグッドフライデーの祝日のため4営業日となる中、まちまちの展開に。週間ベース(カッコは年初来騰落率)でNYダウが0.63%高(+1.02)と3週連続高となった一方、S&P500が0.10%安(+6.92%)、ナスダック総合が1.10%安(+15.49%)と4週間ぶりに反落しました。S&P500週間騰落では全11業種が公益、ヘルスケア、エネルギー、通信サービス、生活必需品の5業種が上昇、ディフェンシブ業種中心に物色がシフトする半面、資本財、一般消費財、素材、情報技術、不動産など6業種が下落。エネルギーセクターは週明けのOPECプラスのサプライズ減産の決定をきっかけに原油市況が上昇したことが好感されました。 JOLT2月の求人件数が1,000万人を割り込んだり、3月のISM非製造業景況感指数が悪化したり、景況感の悪化が嫌気され、景気敏感業種中心に下落、半導体株などに利益確定売りが広がりました。

    7日に発表された3月雇用統計は、概ね市場予想を上回り、景気減速懸念を和らげる内容となりました。非農業雇用者増減が23.6万人増(予23万人増)、失業率が3.5%(予3.6%)、労働参加率が62.6%(前月62.5%)となった一方、平均時給の前年同月比伸びは4.2%増(予4.3%増、前4.6%増)と物価上昇圧力の低下を示唆して多くの市場関係者にとって望ましい結果です。これを受けて7日のS&P500先物は前日比0.23%上昇、2年債利回りが前日比0.15%ポイント上昇の3.98%で終了。CMEのFEDウォッチによれば、雇用統計を前後して次回の5月FOMCの0.25%利上げ確率は、ほぼ半々から約70%に上昇しました。

    今週は3月消費者物価(12日発表)や3月の小売売上統計(14日発表)など重要マクロが相次ぎ、引き続き3月後半以降の金融不安が実体経済にどう影響を与えているのか注視する必要がありそうです。米企業の1-3月期決算が13日のデルタ航空、14日のJPモルガン・チェース、シティグループ、ユナイテッド・ヘルス・グループを皮切りにスタートします。S&P500の1株利益は前年同期比5.2%減(リフィニティブ集計)が見込まれ厳しい予想、地方銀行の決算に警戒が強まりそうです。


    20230410NYダウチャート.png







    ■外国株・週間注目銘柄

    ・エヌビディア(NVDA) 2-4月期見通しが市場予想以上。自前のAIクラウドサービスを拡充へ

    ・セールスフォース(CRM)  顧客管理ソフト最大手、生成AIのアインシュタインを発表

    ・メタ・プラットフォームズ(META)   追加リストラを発表。独自AI技術のSNS実装にも期待





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