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「IwaiCosmo Weekly Letter」

2023年4月 3日

日本株~新年度入り好需給支えに高値トライも~

岩井コスモ証券投資調査部 岩井コスモ証券投資調査部

  • ■日本株~新年度入り好需給支えに高値トライも~
    ■予想レンジ(4/3〜4/7) 日経平均株価 27,900円~28,600円

    先週の日経平均株価は656円高と大幅続伸。週初の米シリコンバレー銀行買収を契機に金融不安が和らぎ、欧米株高や円安を支えに出遅れ感強い日本株への見直し機運が広がりました。配当権利取りに絡む買い需要も期待通り地合い改善に繋がって配当落ち分の約250円を吸収、31日には節目28000円を3週ぶりに回復しました。

    米半導体指数SOXが約1年ぶりの高値水準を回復するなど、昨年不振だった大型ハイテク株復調が安心感を高めています。米金利の上昇一服感がその背景と見られますが、一方で直近軟調だったバリュー、高利回り株にも押し目買い姿勢が確認され、底入れムードは広範囲に及んでいます。例年通りの彼岸底パターンと捉えられそうです。

    日米とも株高傾向の強い4月相場入りする今週は重要経済指標の発表が相次ぐなか、インフレ状況や今後の景気見通しに注目が集まりそうです。週末の欧米イースター休暇入りを控え、戻り待ちの売りが重荷となる場面も想定されますが、日本株の割安株物色や新規資金流入を支えに、危機直前の28600円処に接近する場面もありそうです。

    20230403日本株チャート.png










    ■日本株~週間注目銘柄~

    ・日本製鉄(5401) 逆風下でも最高益水準の業績確保。PBR1倍割れ等割安修正へ。A

    ・スクリーン(7735) 半導体勝ち組の台湾TSMCが主要顧客。割安修正の余地も。A

    ・H2Oリテイル(8242) 関西の百貨店主軸に食品スーパー展開も急。インバウンド恩恵大。A

    ・NTT(9432) 次世代通信IOWN構想で海外も視野。高利回り、高財務支え。A


    注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。

    詳細はアナリストレポートをご参照ください。








    ■ドル円~一連の米主要経済指標に対する反応を注視~
    ■予想レンジ(4/3~4/7)ドル円相場 1㌦=132.00~134.00円

    先週は、円が主要通貨に対して軒並み弱含む展開となりました。金融システム混乱への過度の警戒が和らぎ欧米金利が上昇、内外金利差が広がったことが背景です。投機筋の持ち高調整が一巡したことも大きく、期末に向けた本邦実需の売買に揺さぶられつつも、1㌦=133円台半ばまで値戻しが進む場面がありました。

    市場とのギャップを埋めるべく、FRB高官からタカ派発言が相次いだことも特筆されます。景気の先行き懸念がくすぶっていることなどから、今のところ反応は限定的なものに留まっていますが、OPECプラスが予想外の減産を決めたことなどを受けて、インフレへの意識が改めて強まる可能性がありそうです。

    今週は、週末の雇用統計に向けた一連の米主要経済指標に対する反応を注視していくことが肝要となる見通しです。FRB高官のタカ派姿勢は変わらないとみられるだけに、強い内容にはドル買いの反応を示す公算が高い一方、新年度入りに伴い本邦実需のプレゼンスはひとまず薄れるとみています。


    20230403円相場チャート.png








    ■主な注目イベント

    ◇3日(月)
    3月日銀短観(8:50)、全銀協会長の記者会見(15:00)、2月期決算=しまむら、
    3月の財新中国製造業購買担当者景気指数(PMI、10:45)、3月米ISM製造業景況感指数(23:00)

    ◇4日(火)
    10年物利付国債の入札(財務省、10:30)、3月の国内ユニクロ既存店売上高(15:00すぎ)、
    2月期決算=アダストリア、東証グロース上場=トランザクションメディアネットワークス、
    豪中銀が政策金利を発表(13:30)、2月の米製造業受注(23:00)

    ◇5日(水)
    需給ギャップと潜在成長率(日銀、14:00ごろ)、中国(上海、深セン)、香港、台湾が休場、
    3月ADP全米雇用リポート(21:15)、2月米貿易収支(21:30)、3月米ISM非製造業景況感(23:00)

    ◇6日(木)
    3月のオフィス空室率(三鬼商事、11:00)、2月期決算=セブン&アイ、オンワード、
    3月の財新中国非製造業PMI(10:45)、インド準備銀行(中央銀行)が政策金利を発表

    ◇7日(金)
    2月家計調査、毎月勤労統計(8:30)、2月景気動向指数速報値(14:00)、決算=安川電、
    3月の米雇用統計(21:30)、2月の米消費者信用残高(8日4:00)、
    英国、ドイツ、フランス、スイス、イタリア、南アフリカ、香港、フィリピン、シンガポール、インドネシア、インド、
    オーストラリア、ニュージーランドの各市場が休場。米国の株と商品市場が休場、債券市場は短縮取引


    (注)時間は日本時間







    ■米国株~ナスダック100指数は強気相場入り、今週末は休場~
    ■予想レンジ(4/3~4/7) NYダウ 32,400~34,000ドル

    3月第4週の米主要株価3指数は続伸。週間ベース(カッコは年初来騰落率)でNYダウが3.22%高(+0.38%)と続伸、S&P500が3.48%高(+7.03%)、ナスダック総合が3.77%高(+16.77%)と続伸しました。S&P500週間騰落では全11業種が上昇、とりわけ原油価格の急伸のあったエネルギーがトップ、裁量消費、不動産、素材、資本財などが続きました。 金融不安の後退を背景に週末にかけて株式市場では幅広い銘柄で買いが優勢となりました。大手銀行と地方銀行で構成されるKBW銀行株指数は週間で4.66%高と買戻しされたものの、第1四半期の下落率は18.66%に達しました。一方、金利の低下を好感して大型ハイテクが年初から強く、ナスダック100指数は年初来のパフォーマンスは20.49%に達し、強気相場入りとなりました。

    FRBは5月2~3日の次回会合で0.25%利上げで年内政策金利を据え置くとの見方を示している一方、市場予想(先物動向)では次回の利上げは半信半疑、年内の複数回の利下げを見込み、当局と開きがあります。市場は引き続き物価指標、雇用関連データを注視し、金融政策がハト派に転じるのか見極める必要がありそうです。来週末はグッドフライデー(イースター休暇)で休場となる中、休暇中の7日に3月の米雇用統計が発表され、週後半は様子見、来週明けは雇用統計を受けた反応で動くイレギュラーな週またぎとなります。前月2月の非農業部門雇用者数は予想を上回る前月比31.1万人増だった半面、賃金の伸びは鈍化、3月も賃金の伸びの鈍化が続くのか注目されます。

    地方銀行の預金流出は一旦歯止めがかかりましたが、流動性を高める規制強化は今後適用される見通しで米銀行の融資条件の厳格化は進むと見込まれています。中小銀行の融資が集中する商業不動産はコロナ禍後でオフィス空室率が上昇し、不良債権化が懸念されています。4月は株が上がりやすい季節性があり、税還付金受け取りが関係するとの一説があります。金融ストレスは依然高く、リスクオフになる展開も予想される中、大型ハイテク株買いは有効と考えます。

    20230403NYダウチャート.png






    ■外国株・週間注目銘柄

    ・エヌビディア(NVDA) 2-4月期見通しが市場予想以上。自前のAIクラウドサービスを拡充へ

    ・マイクロソフト(MSFT)  ChatGPTのオープンAIに出資 検索やクラウドで成長取り込む

    ・メタ・プラットフォームズ(META)   追加リストラを発表。独自AI技術のSNS実装にも期待




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