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2024年6月 6日

【米国株調査隊#03】世界1有名な経済指標? 「米・雇用統計を調査!」

米国株調査隊・N子 米国株調査隊・N子

  • 調査報告ファイル♯03


    世界1有名な経済指標?

    「米・雇用統計を調査!」



    皆様こんにちは!岩井コスモ証券2018年入社のN子です。上司の気まぐれで米国調査隊を命じられた私が、米国では今何が流行っているの?そもそもどんな銘柄が?というテーマでお届けするこのコラム。新米調査員の私ですので、皆様、隊長のような広い心で報告を受け取って下さると幸いです。


    さて、今回の調査内容は米国の「雇用統計」。日本のマーケットにも大きな影響を与える指標ですが、なぜこんなにも重要視される?雇用は弱いほうがいいの?調べてみました!



    米国景気は"雇用"が語る


    米雇用統計とは、米国の雇用状況を調査し数値化したもので、原則毎月第1金曜日の8:30(日本時間夏21時半、冬22時半頃)に労働省から発表されます。非農業部門雇用者数・失業率・平均時給などを含む、10項目ほどのデータです。


    日欧ではあまり注目されない雇用統計ですが、米国では景気を図る重要な指標とされており、その理由は大きく2つあります。


    1. 雇用の流動性

    終身雇用がまだまだ根強い日本と違い、随意雇用を基本とする米国は採用や削減が気軽に行われ、流動的です。景気が良い時はどんどん人を採用するし、悪いときはすぐ解雇に踏み切ります。


    2. 個人消費

    米国はGDPの約7割を個人消費が占める国。雇用される人が増えれば消費されるお金も増え、反対に失業率が高いと消費されるお金が減ってしまうと考えられます。個人消費が滞ると、アメリカ経済全体が一気に冷え込むことになります。


    つまり、景気がいち早く雇用に反映されるということですね。四半期ごとに発表されるGDPよりも、原則月次データとして発表される雇用統計は、速報性の面から見ても重宝されています。



    政策金利の判断材料にも


    FRB(中央銀行)も金融政策の判断材料の1つとして雇用統計を注視しています。彼らには「物価の安定」「雇用の最大化」という2つの使命がありますが、雇用統計は「物価の安定」にも必要なデータです。人手不足となれば賃金が上昇し、購買意欲が高まりますし、雇う側としても人件費が高騰すると価格転嫁せざるを得ないので、物価上昇に繋がります。雇用と物価は密接に関連しているわけですね。

    特に2022年頃からはインフレが深刻化し、FRBも雇用より物価安定を重視するようになっています。


    雇用、減るほうがいいの?


    5月に発表された雇用統計は市場予想を下回りましたが、平均時給が34.75ドルと過去最高記録を更新。勢いは落ち着きつつも、雇用者数がプラスで推移しながら、失業率が4%以下にとどまっているのは依然として強いと言える状況です


    通常、雇用が強い=好景気ということで経済にとっては明るいニュースのはずですが、ここ数年米国はしつこいインフレに悩まされており、強すぎる雇用に今後の利下げ開始時期を決めかねている状況です。足元の米国市場は利下げ期待で上昇している面もあり、労働市場の減速⇒インフレ鈍化が確認できると株価はプラスに動くことがあります。


    次回雇用統計は、明日6/7発表!


    注目の5月の雇用統計は日本時間6月7日(金)、21:30頃発表です。雇用統計も株と同じで市場予想(コンセンサス)に対して結果がどうなったか?が重要です。必ずその通りとはいきませんが、直近のトレンドは、インフレ鈍化で利下げ開始が意識されると株価が上昇する傾向です。

    非農業部門雇用者数・失業率・平均時給が特に注目を集めており、具体的には市場予想に対して雇用者数増が下回るか・失業率が上回るか・平均時給が下回るか、がポイントです。今回の雇用統計の予想値と前回の結果を貼っておきますね。

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    また雇用統計は株価だけでなく為替にも影響します。足元のドル円相場は、日米の金利差が主要な変動要因となっています。雇用統計の結果を受け、米国の利下げが遠のくと判断されると円安に振れたり、反対にドルが売られ円高となることもあります。


    投資は日本株だけ。という方も、明日の雇用統計を一緒にチェックしてみませんか?


    今年の春は寒暖差の激しい気候でしたね。体調など崩されていませんか?

    すっきりとした暑い夏が来る前にまたお届けします。皆様、ご自愛してお過ごしください。


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    登場した銘柄>

    今回はご紹介無し


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    過去の調査報告ファイル>

    【♯01】巨大投資テーマとなるか?「肥満症薬ブームを調査!」

    https://www.iwaicosmo.net/report/post_386.html

    【♯02】エヌビディア圧勝は一体、なぜ?「半導体そもそも解説」

    https://www.iwaicosmo.net/report/post_394.html



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