コスモ・ネットレ ブログ「徒然なるままに」
2025年12月18日干し柿
東京ネットサポートセンター 原田
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こんにちは、東京ネットサポートセンターの原田です。
冬の風物詩に干し柿があります。
農村地帯で育った私には、家の軒先に吊るしてあるありふれた光景の一つでした。
都市部を除けば全国的にも珍しくない光景だと思います。
<渋柿を干すと、なぜ甘くなるのか>
子供のころ、渋柿を甘柿と勘違いしてかじったところ、渋くて食べられませんでした。
柿の渋みのもとは、水溶性タンニン。これが口の中で溶けると渋く感じます。干して乾燥させたり、アルコールを吹きかけることでタンニンが水溶性から不溶性に変化して渋みがなくなります。※1
これを渋抜きと呼び、渋抜きすることで、もともと高い糖度をもつ渋柿の甘さだけを感じられるようになるそうです。
甘柿の糖度は16度前後ですが、渋柿は20度前後あります。この渋柿を干すと渋みと水分が抜けて、糖度が50度にもなるのです。
岐阜県美濃加茂市の「堂上蜂屋柿」は糖度が65度にも達するそうです。
また、そんな干し柿の作り方に特許があるとは知りませんでした。
<一般的な干し柿の作り方>
渋皮を包丁で剥いて、ビニール紐の両端に柿をつけて、竿に垂らして、風のない南側の縁側に吊るします。天日干しで約3週間から1か月待てば水分が蒸発して出来上がります。
<特許を取った干し柿の作り方1>
今年9月、島根県松江市の方が「干し柿の製造方法及び製造具」で特許を取得しました。
その製造方法は、皮をむいた柿を1週間ほどあら干しした後、空調管理された乾燥室で木枠ごと横に倒し、形が崩れるのを防ぐネットとわらを組み合わせて段積みします。上下のわらが柿の水分を吸収し、熟成も促されます。
段積みすることで省スペースになり、より多くの生産量を確保でき、天候に左右されず、表面・内部の柔らかさが均一で濃厚な甘みになり、自然乾燥させる一般的な手法よりも1週間ほど早い25日前後で出荷できるそうです。
干し柿作りで試行錯誤し、熟成を促すエチレンガスを出すわらに着目し、今回の製造方法を編み出したそうです。
<特許を取った干し柿の作り方2>
平成27年4月、信州大学工学部と長野県農村工業研究所が干し柿の機械乾燥法で特許を取得しました。
従来の天日乾燥では30~40日間はかかるが、今回特許をとった方法で機械化すれば、最短4日で終えることができ、省力化や安定生産につながるとのことです。
その製造方法は、皮をむいた柿を乾燥機に入れ、45℃の初期乾燥を行った後、庫内を密閉し蒸らす(結露)。それを重量比が35~37%になるまで数サイクル繰り返した後、再度45℃で最終乾燥を行う。その後は伝統製法の天日乾燥と同様、柿をおろして柿もみ(粉だし)を行う。※2
<干し柿につく白い粉はなに?>
干し柿の白い粉は、「柿霜(しそう)」と呼ばれるものです。カビではありません。
柿から出てきた糖が結晶化したもので、とても甘みがあります。
好みによりますが、私はこの白い粉がたくさんついているものをむしろおいしいと思っています。
緑や青いものがついていれば、それはカビだそうです。なんかおかしいと思ったら食べない方がいいでしょうね。
<木守柿(きまもりがき)>
私の実家には甘柿と渋柿の木が1本ずつありました。
収穫しないでいると柿の実は鳥に食べられますが、甘柿は食べるけれど、渋柿はほとんど食べられませんでした。鳥も抜け目がありません。
また、冬になって実がすっかりなくなっても、一個だけ残されていたりします。
これは「木守柿」といい、収穫期を迎えた柿の実をすべて収穫せず、来年も豊作であるよう願う気持ちや、野鳥への贈り物として、わざと1~数個の実を枝に残しておくというものです
記憶をさかのぼると、なぜか柿が1~数個残っていたことを思い出しましが、そのような意味のある習慣だとは知りませんでした。日本の良い風習の一つだと思います。
「頭と尻尾はくれてやれ」という相場格言があります。「最安値で買い、最高値で売りたい」ものですが、それは難しく、買うときも売るときも上下は少し残す気持ちのほうがいいという考えです。
柿を一つ残すことと同様、心に少し余裕をもって対応していきたいものです。
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証券投資の参考になると思いますので是非ご覧ください。
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※1 農林水産省
※2 信州大学




