コスモ・ネットレ ブログ「徒然なるままに」
2023年5月30日俳人 其角(きかく)ゆかりの茅場町。
東京ネットサポートセンター 原田
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こんにちは東京ネットサポートセンターの原田です。
昨日の与謝野晶子と俳諧つながりとなりますが、本日は松尾芭蕉の高弟で、口語調の洒落風を起こした宝井其角について調べてみました。
きっかけは「其角住居跡」の碑が、会社の私の席から座ったままで見えるからです。
撮影:原田
15歳で松尾芭蕉の門下となり、漢詩調の俳句の流行の担い手となりました。芭蕉からの評価は高く、「草庵に梅桜あり 門人に其角嵐雪有り」と記すほどで、芭蕉門下の筆頭として扱われていました。27歳のときから多くの句集を出版します。
その中でも、芭蕉のわび・さびとは違った「洒落風」という作風を生み出しています。芭蕉没後も蕉門を率いていましたが、若い頃からの深酒が祟り、1707(宝永4)年に47歳という若さでこの世を去っています。早くから華街に足を踏み入れて、蕉門きっての放蕩児でもあった其角と芭蕉との関係は、対照的な面を多く持ち、尊敬し合う関係と同時にライバルとしての感情も強く持ちあわせていたようです。
「古池」の句の考案中に、芭蕉は「蛙飛び込む水の音」と下七五はできたものの上五に苦心していた。
それを其角に話すと、即座に「山吹や」と付けたといいます。「古池や」と「山吹や」では、句の余情が180度異なり、芭蕉と其角の芸風の相違をよく表している例とされています。其角の句を一つ。
『 今朝たんと 飲めや菖(あやめ)の 富田酒 』季語:菖(夏)
意味:今日は端午の節句で菖蒲の根を漬ける酒があるので、富田の酒をたんと飲めるぞ。菖とは端午の節句で使う菖蒲のことで、根や葉を漬けた酒が振る舞われていました。そのため、誰にはばかることなくお酒として有名な現在の大阪府高槻市にある富田の酒を飲めると喜んでいます。なお、この句は「けさたんと のめやあやめの とんたさけ」と回文になっています。
見慣れたものでも、少し調べると意外な発見や歴史を知ることがあるものですね。