「IwaiCosmo Weekly Letter」
2026年9月 7日日本株~イベント控えも下値は限定~
岩井コスモ証券投資調査部
■日本株~イベント控えも下値は限定~
■予想レンジ(9/7〜9/11) 日経平均株価 64,500円~67,000円
先週の日経平均株価は1384円安と反落、ウォーシュFRB議長発言や原油高を背景に米利上げ観測が一時急速に強まり、月初需給も影響し一段安の場面もありました。1㌦=155円台への円高やバリュー株物色一服も重なり、レンジ下限を割り込む展開となりましたが下押しも限定的でした。TOPIXは2日まで9連騰、週末は一部ハイテクに見直し買いが入るなど個別物色は依然旺盛です。
日銀利上げペースの加速観測も浮上し、7月介入直後水準への円高に繋がりましたが、業績・株の下振れ影響は限定的な見通し。利上げ実施で一旦織り込みとなる可能性に加え、金融等への業績期待を背景とした根強い買い姿勢は途切れないと考えます。調整十分と見られるAI関連も需給悪一巡などで底離れのタイミングを迎えつつあるなか、下値はより固まると想定します。
今週も日米金利睨みのなか方向感を探る展開が続きそうです。国内ではGDP統計などの経済指標、米国CPI、PPIが注目されますが、日米とも決定会合目前で政策見通しに大きな変化は生じないと見られます。閑散相場が長引くなか、来月決算発表あたりまでレンジ相場が継続する懸念も意識されていますが、基本的には年末高に向けた仕込み場との認識に変更はありません。
■日本株 厳選5銘柄(半導体部材・製造装置)
・JX金属(5016)
半導体の配線用部材(ターゲット材)で圧倒的シェア、DC関連でも脚光
・KOKUSAI (6525)
半導体製造装置(成膜)。NAND等メモリ向け強み。AI推論の成長取り込みへ
・村田製(6981)
積層セラミックコンデンサ(MLCC)で世界首位。AIサーバー向けに需要急増
・東京海上(8766)
損保首位。バークシャーが今春出資、協業強化へ
・三菱UFJ(8306)
国内最大手。利上げ局面で業績拡大、出資する米モルスタの貢献も年々増加
注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。詳細はアナリストレポートをご参照ください。
■ドル円~米物価指標が焦点~
■予想レンジ(9/7〜9/11) ドル円相場 1㌦=156.00円~161.00円
先週は、週末にかけて急激な円高・ドル安が進む展開となりました。ウォーシュFRB議長の「タカ派」発言が意識される下、週央にかけては中東情勢が再び緊迫したことを受けた「有事のドル買い」が入りやすく、一時160.39円とおよそ1ヵ月ぶりの円安・ドル高水準を付ける場面がありましたが、その後、日米金利差の縮小思惑が俄かに広がったことが背景です。
ベッセント米財務長官が想定以上に強い姿勢で日本の財政・金融政策をけん制、「タカ派」と目される高田審議委員が機動的な利上げを主張したことなどから、日銀利上げペース加速への織り込みが急速に進む格好となりました。一方、米国では複数のFRB高官の「ハト派」発言が、長期金利の上昇を抑える方向に作用しました。
今週は、中東情勢をにらんだ原油相場の動向や米物価指標(10日PPI、11日CPI)を通じて、改めて9月FOMCを占うことになりそうです。もっとも、日銀の今月利上げが確実視されているうえ、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用方針変更思惑や介入警戒がくすぶっていることなどを踏まえれば、円の底堅さは維持される公算が高いと捉えています。
■主な注目イベント
◇7日(月)
7月景気動向指数速報値(14:00)、消費活動指数(14時頃)、ブラジル休場、米休場(レーバーデー)
◇8日(火)
7月の毎月勤労統計(厚労省、8:30)、4-6月期GDP改定値(8:50)、7月国際収支(8:50)、
8月上中旬貿易統計(8:50)、貸出預金動向(8:50)、5年国債入札、8月景気ウオッチャー調査(14:00)、
8月の中国貿易統計、7月の米消費者信用残高(9日4:00)
◇9日(水)
8月のマネーストック(日銀、8:50)、8月工作機械受注額(速報、15時以降)、決算=エニーカラー、
8月中国CPI、PPI(10:30 )、ポーランド中銀が政策金利を発表、米10年物国債入札
◇10日(木)
対外対内証券売買契約(8:50)、増審議委員が福井県懇談会挨拶(10:30)記者会見(14:30)、
8月のオフィス空室率(三鬼商事、11:00)、決算=タイミー、積水ハウス、
欧州中央銀行(ECB)が政策金利を発表、トルコ政策金利、米新規失業保険申請件数(21:30)、
8月米PPI(21:30)、7月米卸売在庫売上(23:00)、8月米中古住宅販売(23時)、米30年債入札
◇11日(金)
閣議、8月企業物価指数(8:50)、7-9月期法人企業景気予測調査(財務省、8:50)、
グロース上場=KOMPEITO、8月投信概況(15:00)、決算=神戸物産、
ロシア政策金利、8月米消費者物価指数(CPI)(21:30)、
9月米消費者態度指数(ミシガン大速報、23:00)、8月米財政収支(3:00)
(注)時間は日本時間
■米国株〜レイバーデー明けの米株、物価指標通過で一段高に期待〜
■予想レンジ(9/7~9/11) NYダウ 53,500ドル~54,700ドル
前週の米主要株価指数の週間騰落率は、ダウ平均が0.27%安となった一方で、S&P500が0.09%高、ナスダック総合が0.40%高と小幅に上昇し、フィラデルフィア半導体指数は2.32%高となりました。週半ばにはウォラーFRB理事がインフレ鈍化を条件に金利据え置きを支持する姿勢を示し相場を押し上げる場面もありましたが、週末4日に発表された8月雇用統計で非農業部門雇用者数が16.2万人増と予想を大きく上回り、過去2ヵ月分も上方修正されたことで、労働市場の堅調さが確認されました。これを受けて9月15‐16日のFOMCでの追加利上げ観測が再燃、米10年債利回りは4.78%付近まで上昇して株式市場の重しとなりました。個別では、決算や通期見通しの上方修正を発表したスノーフレイク、ゼットスケーラー等のソフトウェア企業が上昇しました。また、AI新興企業のハギングフェイスを約130億ドルで買収すると発表したエヌビディアや半導体製造装置などの半導体関連も買いを集めました。一方、ロボタクシー「サイバーキャブ」の発表イベントが期待外れに終わったテスラが急落した他、買収交渉が頓挫したと報じられたペイパルも大幅安となりました。
今週は、10日発表の8月生産者物価と11日の消費者物価が最重要イベントとなります。前週の力強い雇用統計は、実体経済の底堅さを示しています。9月FOMCでの追加利上げ確率は6割前後に上昇しているものの、今週のインフレ指標が市場予想に沿って落ち着いた結果となれば、利上げ見送り観測が再浮上し、株式相場を一段と押し上げる強力なカタリストになることが期待されます。個別決算では、10日のオラクルの発表が予定されています。また、9日にはアップルの新製品発表イベントも控えており、関連銘柄を含めたテクノロジーセクター全体のモメンタム回復に寄与しそうです。レイバーデー明けで機関投資家が本格的に市場に戻って取引が活発化する中、AI需要の持続性や米国経済の強靭さを背景とした押し目買い意欲が相場を力強く下支えする、前向きな展開が見込まれます。
■外国株・週間注目銘柄
・アマゾン・ドット・コム(AMZN)
AWSの成長再加速と独自のAI基盤確立で中長期の収益拡大へ
・イーライリリー(LLY)
肥満症の経口新薬や後継注射剤への期待で上値余地あり
・シスコシステムズ(CSCO)
ハイパースケーラー受注急増+セキュリティで第2の黄金期




