「IwaiCosmo Weekly Letter」
2026年6月 8日日本株〜米急落、25日移動平均の攻防へ〜
岩井コスモ証券投資調査部
■日本株~米急落、25日移動平均の攻防へ~
■予想レンジ(6/8〜6/12) 日経平均株価 63,000円~65,500円
先週の日経平均株価は258円高と3週続伸、AI関連への集中物色で一時2400円高、初の68000円台乗せ場面もありましたが、後半には急失速。過熱警戒感に加え、米半導体決算や米大型上場(12日スペースX)前の需給不安から手仕舞い売り加速の展開となりました。前週あたりから同様の短期急落を幾度か見せつつも、いずれもしっかりとした下ヒゲを形成、罫線上の底堅さを示しました。
NT倍率初の17倍乗せや、5日のほぼ全面高の下での日経平均の一時1600円安など、激しい上下動とともに物色の不均衡も目立ちます。過去にほぼ例を見ない強さを示すハイテク株の行く末が読みづらいものの、業績拡大や成長期待の勢いは途切れておりません。
先週末の米国株式市場では直近急ピッチで上昇してきた米半導体株にきつめの手仕舞い売りが広がり、週明けの日経平均株価も急落で始まりそうです。日本市場でも半導体株を中心に値がさ株に手仕舞い売りが広がりそうですが、下値では25日移動平均線(63410円、先週末時点)がサポートラインとして意識されるほか、出遅れていたバリュー株に資金シフトするかも注目ポイントとなりそうです。
■日本株 厳選5銘柄(半導体部材・製造装置)
・KOKUSAI (6525)
半導体製造装置(成膜)。NANDなどメモリ向け強み。AI推論分野の成長取り込みへ
・東京エレク(8035)
半導体製造装置世界大手。前工程を中心に幅広い製品ラインナップを抱える
・ソシオネクスト(6526)
半導体設計・開発大手。英アームと協業も発表。為替慎重で大幅上振れ期待
・レゾナック(4004)
半導体部材で圧倒的シェア(特に後工程)。石化スピンオフで半導体材料企業へ
・JX金属(5016)
半導体の配線用部材(ターゲット材)で圧倒的シェア、DC関連でも脚光
注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。詳細はアナリストレポートをご参照ください。
■ドル円~米長期金利の動向を注視する展開に~
■予想レンジ(6/8〜6/12) ドル円相場 1㌦=156.00円~161.00円
先週も円売り・ドル買いに傾きやすい地合いが継続しました。中東和平交渉を巡る不透明感が「有事のドル買い」を誘ったほか、原油相場の強含みを受けて本邦貿易収支の悪化懸念が再燃、円売りを誘ったことが背景です。良好な米主要経済指標の発表が相次ぎ、米金利に上昇圧力が高まったこともドルの支えとなりました。
週央には、4月末以来およそ1ヵ月ぶりとなる160円台を示現しましたが、その後は膠着感を強める展開となりました。片山財務相や高市首相が牽制発言を行うなど円買い介入への警戒が一段と強まったうえ、植田日銀総裁が今月利上げの可能性を示唆したとの受け止めが広がり、一段の円売りを躊躇させたためです。
今週も引き続き中東情勢をにらみつつ、米長期金利の動向を注視していくことが肝要となる見通しです。米国ではトランプ関税が違憲と判決されたこともあり、インフレ指標のみならず、国債入札にも注目が集まりやすくなっており、一段の金利上昇がドル買いを促すようであれば、本邦通貨当局の言動からも目を離せないことになりそうです。■主な注目イベント
◇8日(月)
1~3月期国内総生産(GDP)改定値(内閣府、8:50)、
5月貸出預金動向(日銀、8:50)、
5月景気ウオッチャー調査(内閣府、14:00)、オーストラリアが休場
◇9日(火)
5月マネーストック(日銀、8:50)、5月工作機械受注額(速報値、15時以降)、
5月中国貿易統計 、4月米貿易収支(21:30)、5月米中古住宅販売件数(23:00)
◇10日(水)
5月企業物価指数(8:50)、30年国債入札、決算=エニーカラー、GENDA、
5月の中国消費者物価指数(CPI、10:30 )、
5月の中国卸売物価指数(PPI、10:30 )、5月米CPI(21:30)、
米10年物国債入札、カナダ中銀が政策金利を発表、海外決算=オラクル
◇11日(木)
対外対内証券売買契約(8:50)、4-6月期法人企業景気予測調査(財務省、8:50)、
5月オフィス空室率(三鬼商事、11:00)、5月投信概況(15:00)、決算=タイミー、
トルコ中央銀行が政策金利を発表、欧州中央銀行(ECB)が政策金利を発表、
5月米卸売物価指数(PPI、21:30)、米新規失業保険申請件数(21:30)、
米30年物国債入札
◇12日(金)
4月鉱工業生産確報値(経産省、13:30)、
株価指数先物オプション6月物の特別清算指数(SQ)算出、
決算=神戸物産、フィリピン休場、
6月米消費者態度指数(ミシガン大学調べ、速報値、23:00)、
米スペースXがナスダック市場に上場(予定)
(注)時間は日本時間■米国株〜スペースXの上場前に高値波乱 CPIが超重要指標に〜
■予想レンジ(6/8~6/12) NYダウ 50,000ドル~52,500ドル
前週の米主要株価指数の週間騰落率は、ダウ平均が週間-0.32%、ナスダック総合が-4.8%と下落しました。ハイテク株の利益確定売りや想定を上回る雇用統計の発表が重荷となり、ダウ平均は3週ぶりに反落、ナスダック総合は2025年3月以来の大きな下落率でした。週の半ばまでは一進一退の展開でしたが、週末5日に発表された5月の雇用統計で非農業部門雇用者数が17.2万人増と市場予想を大きく上回って、FRBが年内に利上げに踏み切る可能性が浮れた。これを受けて10年債利回りが一時0.55%まで急伸し、株式の相対的な割高感が意識される展開となりました。これまで相場を牽引までAI・半導体関連株への利益確定売りが加速し、金曜日の半導体指数は10.25%安と大幅続落して主要指数の下げを主導しました。過去最大規模となる宇宙開発会社スペースXのIPOを来週に控え、投資家が資金確保のためにAI関連銘柄やビットコイン等を売却したことも相場の重荷となったた。個別ではバークシャーがアルファベットの増資に約100億ドルを投じたことが注目を集めた一方、ルルレモンは通期見通しの大幅な下方修正が嫌気されて急落しました。
今週は、インフレ指標の発表や主要企業の決算、そして注目のイベントが控え、金利動向とマクロ環境の底堅さを見極める展開か。経済指標では、10日(水)の5月CPIや、12日(金)の6月ミシガン大学消費者マインド(速報値)の発表が予定されインフレの高止まり懸念が和らぐかが最大の焦点となります。市場の関心はアップルのイベントにも集まりそうです。独自のAI戦略や新機能に関する発表があれば、ハイテク株全体の新たな刺激材料になることが期待されます。いよいよ本格化するスペースXのIPOについても、巨大な資金調達が市場全体の株式需給に与える影響や初値の動向に引き続き高い関心が寄せられるでしょう。企業決算では、10日(水)引け後のオラクルや11日(木)引け後のアドビといった主要ソフトウェア大手の発表が控えており、持続的なAI需要と企業業績のモメンタムが確認されれば、相場は落ち着きを取り戻し底堅い推移が期待されます。
■外国株・週間注目銘柄
・マイクロン・テクノロジー(MU)
DRAM製造大手、AI用のHBM需要拡大で収益大幅改善
・ブルーム・エナジー(BE)
増大する電力需要を支える次世代燃料電池メーカー
・オラクル(ORCL)
マルチクラウド事業の急拡大続く、財務健全性維持をコミットメント




