「IwaiCosmo Weekly Letter」
2026年3月16日日本株~中東警戒、中銀イベントのなか落ち着き処探る~
岩井コスモ証券投資調査部
■日本株~中東警戒、中銀イベントのなか落ち着き処探る~
■予想レンジ(3/16〜3/19) 日経平均株価 52,800円~54,800円
先週の日経平均株価は前週末比1801円安と大幅続落、週明けにWTI原油先物が一時119㌦(時間外)を付けるなど中東警戒による市場混乱が継続しました。ホルムズ海峡等の緊張に加え、メジャーSQや期末接近に伴う需給不均衡も手伝い、9日に51000円台まで突っ込む場面もありましたが、その後は54000円を挟んで、不安定ながらもレンジ相場が続きました。
9日は日経VIが一時66超えと25年の急落時水準を突破。24、25年最安値時と同様、SQ週の月曜日に歴史的な急落を演じました。連日の下ヒゲ形成とともに、事態解決に先行して最悪期を通過した感触も浮上しています。物色面では依然日替わり感が強く、明確な方向性が定まらないものの、下値での買い意欲は健在と見られ、特に回復場面で日本株の相対優位を示す格好となっています。
今週も米イランの対立や原油動向が焦点となりますが、日米欧で金融政策会合が開催され、各国金利動向が注視されます。ともに今回の政策変更は見込まれないものの、次の利上げが意識されやすい環境なだけに、金利動向に加え、株・為替の反応に留意したい場面です。物色面では相場影響の大きいハイテク株に加え(エヌビディアイベント)、配当取りが意識される高利回り株の挙動も注目されます。
■日本株~週間注目銘柄~
・日立製作所(6501)
AI・DX関連サービス「ルマーダ」強化で収益性向上
・三井住友FG(8316)
最高益更新続く、金利上昇追い風、増配・自社株買い
・鹿島建設(1812)
5期連続の増収最終増益、資本政策も大幅に強化
・Synspective (290A)
7月中に防衛省「衛星コンステレーション事業」の契約予定
注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。詳細はアナリストレポートをご参照ください。
■ドル円~原油睨みが続くなか、日米金融政策会合に注目~
■予想レンジ(3/16〜3/19) ドル円相場 1㌦=155.00円~160.00円
先週も「有事のドル買い」が続きました。イラン側の反撃が止まず、早期終結への期待が薄れていることを映したもので、産油国通貨であるドルの優位性を囃す動きも継続しました。円は1月の日米当局によるレートチェック実施時の水準を超えておよそ1年8ヵ月ぶりの安値を付け、日本と同様にエネルギー資源の多くを域外からの輸入に頼るユーロも7ヵ月ぶりの安値に沈みました。
原油相場の上昇や足元物価の下げ渋りを受けて、FRBによる利下げ観測が後退したこともドル買いを後押ししたとみられます。1㌦=160円の節目が迫るなか、片山財務相らは「米当局と日頃以上に非常に緊密に連携を取り合っている」などと牽制姿勢を強めていますが、「過度の変動」や「無秩序な動き」といった『介入のルール』を満たしていないとみる向きも多く、市場の介入警戒はさほど高まっていないように窺われます。
今週も、原油にらみの展開を抜け出せそうにありませんが、日米両国の金融政策会合への反応には留意が必要となりそうです。ともに政策の現状維持を決める見通しですが、今回のFOMCでは参加メンバーの政策金利見通しの公表が予定されており、どのような変化がみられるかが注目されます。一方、近年は日銀総裁の定例会見後に当局が行動に出るケースが強く印象付けられており、無言の円安抑止力を発揮する可能性もあるとみています。
■主な注目イベント
◇16日(月)
1~2月の中国小売売上高、工業生産高、不動産開発投資、固定資産投資(11:00)、米鉱工業
エヌビディアのジェンスンファンCEOが開発者会議(GTC)で基調講演(17日3:00)
◇17日(火)
20年物利付国債の入札(財務省、10:30)、1月の第3次産業活動指数(経産省、13:30)、
豪、インドネシア金融政策を決定、3月欧州経済研究センター(ZEW)の独景気予測調査、2月の米仮契約住宅販売指数(23:00)、米20年物国債入札
◇18日(水)
2月、2月の首都圏マンション販売(不動産経済研究所、14:00)、
日比野日証協会長会見(14:30)、2月の訪日外国人客数(日本政府観光局、16:15)、
海外決算=テンセント、インドネシア休場、2月米PPI(21:30)、米製造業受注(23:00)、
米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表(3:00)、パウエル議長記者会見(3:30)、
1月の対米証券投資(19日5:00)、海外25年12月~26年2月期決算=マイクロンテクノロジー
◇19日(木)
日米首脳会談、日銀金融政策決定会合、植田和男総裁が記者会見(日銀、15:30)、
インドネシア市場が休場、スイス、スウェーデン、英が政策金利を発表、ECBが政策金利を発表、
米新規失業保険申請件数(21:30)、米新築住宅販売件数(23:00)、米卸売在庫売上(23:00)
◇20日(金)
東京市場が春分の日で休場、3月中国LPR(10:00)。インドネシア休場、ユーロ圏貿易収支
(注)時間は日本時間■米国株〜中銀ウィーク、米利下げ可能性とエヌビディアGTCに注目〜
■予想レンジ(3/16~3/19) NYダウ 45,900ドル~48,600ドル
前週の米主要3株価指数の週間騰落率は、NYダウ(-2.0%)、S&P500種(-1.6%)、ナスダック総合(-1.3%)と揃って続落、他方、原油価格がWTI原油で同+8.6%と続伸する展開。週前半は、トランプ大統領が対イラン戦争の早期終結を示唆したことや、2月米消費者物価が概ね予想通りとなりコア指数の伸びが鈍化したことを受けて株価が反発する場面もありました 。しかし週半ば以降、イランの新たな最高指導者モジタバ師がホルムズ海峡の閉鎖継続を主張するなど強硬姿勢を崩さず、中東情勢の緊迫化が改めて意識されました。IEAが過去最大規模の石油備蓄放出を承認したものの、原油価格は上昇基調を強め、北海ブレント原油が1バレル=100ドルを突破。週末にかけては、1月PCEコア価格指数の伸び加速や10-12月期GDP改定値の下方修正が重なり、物価高と景気減速が同時進行する「スタグフレーション」への懸念から利下げ期待が急速に後退、主要株価指数は売り優勢で取引を終えました。
今週は日米欧の金融政策イベントが重なる「中銀ウィーク」であると同時に、エヌビディアの開発者会議やマイクロン・テクノロジー決算等、重要イベントが重なります。17-18日開催のFOMCでは政策金利据え置きの予想ですが、原油高によるインフレ再燃懸念が高まる中、メンバーの金利予測やパウエル議長の会見でどのような政策見通しが示されるかに注目が集まります。企業関連では16日から開催されるエヌビディアの年次開発者会議「GTC」が最大のハイライトとなります。フアンCEOの基調講演で次世代AI半導体やインフラ技術に関する新たな発表が見込まれ、関連するハイテク株全体のモメンタムを左右する可能性があります。企業決算では18日にAI向け需要の強さが期待されるマイクロンのほか、17日にドキュサインなどが発表を予定しています。引き続き、中東の地政学リスクに起因する原油価格の高止まり、プライベートクレジット市場の動向、米金融政策見通しとAI関連の成長期待が市場の方向性を決める大きなテーマとなりそうです。
■外国株・週間注目銘柄
・マイクロン・テクノロジー(MU)
DRAM製造大手、AI用のHBM需要拡大で収益大幅改善
・ハウメット・エアロスペース(HWM)
タービンブレードの金属製品企業、航空・宇宙・防衛・電力関連
・ネットフリックス(NFLX)
WBD買収断念、広告・ゲーム等テコ入れの単独成長路線を再評価へ




