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「IwaiCosmo Weekly Letter」

2025年7月14日

日本株~旺盛な物色意欲と海外株高支えに大台乗せも~

岩井コスモ証券投資調査部 岩井コスモ証券投資調査部

  • ■日本株~旺盛な物色意欲と海外株高支えに大台乗せも~
    ■予想レンジ(7/14〜7/18) 日経平均株価 39,000円~40,100円

    先週の日経平均株価は241円安と続落、4万円乗せ後の達成感や米関税政策の不透明感、円高警戒等で上値の重い展開なりました。もっとも米相互関税が事実上先送りされたと捉えられたことや、半導体関連への成長期待、さらに出遅れ株物色などが支えとなり、39500円付近では下値買い姿勢も示し、先安懸念は限られました。

    規模別指数では東証スモールが史上最高値を更新、ミッド400も高値に肉薄し、時価総額上位100社(TOPIX100)を除いたこれら指数は上向きのトレンドが強まる方向です。外部環境の影響を受けづらい内需型企業が多いことや、中長期出遅れ株への見直し買いが支えとなっています。企業経営の改革等も幅広く進展、海外勢からの資金流入も継続しており、夏枯れ相場の時期でも売りづらい地合いは維持されています。

    今週は米企業決算がスタート、米関税政策への警戒は依然くすぶるものの、主要各国で発表される重要経済指標も合わせ、関税影響の度合いを睨む展開となりそうです。物色意欲の強さが4万円再トライに繋がる可能性も高い一方、堅調だった海外市場に手仕舞い売りが広がれば、短期下振れに繋がる懸念も残ります。

    20250714日本株チャート.png









    ■日本株~週間注目銘柄~

    ・東京エレク(8035)
     中国減少を旺盛なAI需要でカバー、2期連続の最高益へ

    ・KADOKAWA(9468)
     ソニーが10%出資、ゲーム堅調、IPビジネスの拡大に期待

    ・IHI(7013)
     「原発」「防衛」「航空機エンジン」と切り口豊富、2期連続最高益更新へ

    ・三菱UFJ(8306)
     「金利ある世界」を追い風に業績拡大、今期最終利益は初の2兆円へ

    注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。詳細はアナリストレポートをご参照ください。






    ■ドル円~一連の米経済指標への反応を窺う展開に~
    ■予想レンジ(7/14〜7/18) ドル円相場 1㌦=144.00円~149.00円

    先週は、円が主要通貨に対して軒並み弱含む展開となりました。「日銀は当面、米関税政策の行方を見極める姿勢に徹する」との見方が広がるなか、トランプ米大統領の不規則発言などがリスクオフの流れを引き寄せ、リスク許容度の低下した投機筋が高水準に積み上がった「円買いポジション」の取り崩しに動いたことが背景です。

    参院選における与党苦戦が伝わり、「財政規律が緩むのでは」との懸念から国内超長期金利に改めて上昇圧力が掛かったことも、円を敬遠する動きにつながった模様です。財政リスクが高まる一方で、日銀の政策が後手に回り、円の信認を揺るがすリスクが海外勢を中心に意識されたためです。

    今週は、週末にかけての一連の米主要経済指標への反応が焦点となる見通しです。6月のCPI(15日)やPPI(16日)、小売売上高(17日)には関税引き上げの影響が発現する可能性が高いほか、18日の7月ミシガン大消費者信頼感指数速報値への関心も高く、米国の景況を巡る議論が喧しくなりそうです。

    20250714円相場チャート.png






    ■主な注目イベント

    ◇14日(月)
    5月機械受注(8:50)、5月第3次産業活動指数(13:30)、6月中国貿易統計、シンガポールGDP速報値

    ◇15日(火)
    3~5月期決算=ベイカレント、東宝 中国70都市新築住宅価格、4-6月期中国GDP(11:00)、
    6月中国小売売上高、工業生産高、1-6月中国不動産開発投資、固定資産投資(11:00)、
    7月欧州経済研究センター(ZEW)の独景気予測調査、5月ユーロ圏鉱工業生産(18:00)、
    6月米消費者物価指数(CPI)(21:30)、7月ニューヨーク連銀製造業景況指数(21:30)
    ボウマンFRB副議長、バー理事がFRBカンファレンスで講演(1:45)、海外決算=JPモルガンチェース、シティグループ

    ◇16日(水)
    6月の訪日外国人客数(日本政府観光局、16:15)、インドネシア金融政策を発表、6月英CPI
    米PPI(21:30)、米鉱工業生産、ベージュブック(3:00)、ウィリアムズNY連銀総裁イベント講演(7:30)、
    海外決算=モルガンスタンレー、ゴールドマンサックス、バンクオブアメリカ、ジョンソンエンドジョンソン(J&J)

    ◇17日(木)
    6月の貿易統計(財務省、8:50)、6月の首都圏マンション販売(不動産経済研究所、14:00)、
    実質輸出入の動向(日銀、14:00ごろ)、4~6月期決算=ディスコ、海外決算=台湾TSMC、
    20カ国地域(G20)財務相中央銀行総裁会議(南ア、18日まで)、6月米小売売上高(21:30)、
    フィラデルフィア連銀製造業景況指数、全米建設業協会住宅市場指数、海外決算=ネットフリックス

    ◇18日(金)
    6月の全国CPI(総務省、8:30)、東証スタンダード上場=みのや、
    米住宅着工件数)、7月米消費者態度指数(ミシガン大、速報)(23:00)


    (注)時間は日本時間






    ■米国株~利下げ期待と好業績期待が相場を下支えするか注目~
    ■予想レンジ(7/14~7/18) NYダウ 43,700ドル~45,300ドル

    2025年7月第2週の米国株式市場は、トランプ大統領による新たな関税率の発表が相次ぐ中、終始神経質な展開。週初は日本や韓国などへの関税通知を嫌気して主要3指数が下落して始まりましたが、週半ばは好調な国債入札を背景とした金利低下や、デルタ航空の好決算が好感され、S&P500種株価指数とナスダック総合指数は連日で過去最高値を更新しました。しかし週末にかけてカナダへの新たな関税が発表されると再び調整色が強まり、週間ではNYダウとS&P500指数、ナスダック総合指数はいずれも下落して取引を終えました。主要3指数の週間騰落率(カッコ年初来)は、NYダウが1.02%安(+4.30%)、S&P500が0.31%安(+6.43%)、ナスダック総合が0.08%安(+6.6%)で終了。S&P500業種別では、エネルギーや半導体・同製造装置が上昇した半面、電気通信サービスや保険、銀行といったセクターが下落しました。個別では、エヌビディアが9日に時価総額で世界初となる4兆ドルを突破して注目を集めたほか、国防総省との大型契約が報じられたMPマテリアルズは10日に50.6%急伸。一方、テスラはマスクCEOの新党結成の動きが嫌気され週初に6.8%急落しました。債券市場では、週を通じて関税政策の動向に左右され、米10年債利回りは週初に上昇後、9日の好調な入札を受けて低下しましたが、週末には再び上昇し4.41%台で週の取引を終えました。商品市場では、トランプ大統領がロシアへの原油制裁を計画しているとの見方からWTI原油先物価格が週末に反発したほか、貿易摩擦の激化を背景とした安全資産への需要から金先物価格は3日続伸しました。

    今週の米国株式市場は、関税政策への警戒感がくすぶる中、市場の焦点はインフレ指標と本格化する企業決算に移ります。最注目は15日発表の6月消費者物価指数で、米国の金融政策の方向性を占う上で重要です。4-6月期決算シーズンも本格化し、15日のJPモルガンなどを皮切りに大手銀行、17日には、台湾セミコンダクターやネットフリックスの発表が予定されており、相場の方向性を左右しそうです。なお米下院では仮想通貨に関する3つの主要な法案が審議される予定です。

    20250714NYダウチャート.png






    ■外国株・週間注目銘柄

    ・オラクル(ORCL)
     ソフトウェア世界2位、マルチクラウド戦略でクラウド市場で大躍進の期待

    ・アプライド・マテリアルズ(AMAT)
     半導体製造装置大手 AI半導体需要が中国懸念を相殺

    ・コインベース・グローバル(COIN)
     仮想通貨取引所大手 仮想通貨市場で盛況、恩恵享受へ



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