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「IwaiCosmo Weekly Letter」

2024年6月24日

日本株~閑散、レンジ相場継続のなか底堅さ試す~

岩井コスモ証券投資調査部 岩井コスモ証券投資調査部

  • ■日本株~閑散、レンジ相場継続のなか底堅さ試す~
    ■予想レンジ(6/24〜6/28) 日経平均株価 38,200円~38,900円

    先週の日経平均株価は218円安と3週ぶりに反落。欧州不安や日米金融政策への不透明感などから、週初700円超えの急落で始まりましたが、その後はやや不安定ながらも緩やかな持ち直し傾向を辿りました。閑散のなかでもバリュー、グロース双方で出遅れ循環物色や個別材料評価の動きは活発で、全体相場の底堅さも示しました。

    米、アジアではハイテク株高を支えに主要指数が相次いで史上最高値を更新、一方各国利下げへの意識が高まるなか、出遅れ分野への見直し気運も広がりつつあります。波乱気味の欧州や、長くもみ合いが続く日本も、下値での買い姿勢を確認した格好で、景気・業績・経営改革をテコにアク抜けへの可能性は小さくないと考えます。

    今週は経済指標が多めのほか、小売等の1Q決算が本格化、株主総会も集中期を迎えます。経営改革が加速するなか、過去最高とされる配当支払や、賞与シーズンも重なり、資産運用への注目が高まりやすい時期と言えそうです。東証予想配当利回りが2.25%と今年最高水準に上昇していることも、景況改善等のきっかけ次第で資金回帰に繋がる背景とみます。過熱感乏しく海外波乱に対する抵抗力も保たれそうです。



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    ■日本株~週間注目銘柄~

    ・三井住友(8316)
    今期も最高益更新で増配・分割を実施。事業環境は好転へ

    ・TOWA(6315)
    メモリメーカーの相次ぐ増産投資でHBM向け需要拡大

    ・川崎重工(7012)
    V字回復で最高益更新、防衛関連や水素事業の成長期待

    ・丸紅(8002)
    非資源分野の強化進展、増配と自社株買いを継続

    注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。詳細はアナリストレポートをご参照ください。








    ■ドル円~様子見ムード広がりやすい地合いに~
    ■予想レンジ(6/24〜6/28)ドル円相場 1㌦=158.00~160.00円


    先週は、ドルの底堅さが目につく展開となりました。欧州政局不安を受けて安全通貨としての魅力が高まったほか、FRB高官のタカ派発言が相次いだことが背景です。弱めの米経済指標が重なり、インフレ沈静化への思惑も漂いましたが、米財務省の為替報告書で日本を「監視リスト」に追加、週末には一時159円台に乗せる場面もありました。

    ドル円の動きが鈍いものに留まるなかで、英ポンドや豪ドルなどに対する円の弱さが話題となる場面がありました。当該国の中央銀行が利下げを見送る一方、日銀は金融正常化に向けて煮え切らない姿勢を示したとの受け止めが広がり、金利差に着目した仕掛け的な円売りが膨らんだためです。

    今週は、週末に発表される5月の米個人消費支出物価指数(PCEデフレータ)を見極めたいとして、様子見ムードが広がりやすい地合いを辿る見通しです。フランス下院選挙の第1回投開票(30日)を前に、円キャリー取引が盛り上がる展開も想定しづらく、ドルの上値は重いものとなりそうです。


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    ■主な注目イベント

    ◇24日(月)
    日銀政策会合、主意見(6月13~14日分、8:50)、5月全国百貨店売上高(14:30)
    3~5月期決算=しまむら、6月の独Ifo企業景況感指数

    ◇25日(火)
    5月の企業向けサービス価格指数(日銀、8:50)、20年物国債の入札(財務省、10:30)
    4月米S&Pコアロジックケースシラー住宅価格指数(22:00)、6月米消費者信頼感指数(23:00)

    ◇26日(水)
    5月の米新築住宅販売件数(23:00)、米5年物国債入札、海外決算=マイクロンテクノロジー

    ◇27日(木)
    5月の商業動態統計(経産省、8:50)、5月の建機出荷(建設機械工業会、13:00)
    東証グロース上場=豆蔵デジタルホールディングス、6月月例経済報告、1-5月中国工業企業利益(10:30)
    フィリピン中銀、スウェーデン、トルコ、チェコ中銀が政策金利を発表
    5月の米耐久財受注額(21:30)、1~3月期の米実質国内総生産(GDP)確定値(21:30)
    5月の米仮契約住宅販売指数(23:00)、米7年物国債入札

    ◇28日(金)
    5月の失業率(8:30) 、5月有効求人倍率(8:30)、6月都区部CPI、総務省、8:30)
    5月の鉱工業生産速報値(経産省、8:50) 、5月の住宅着工統計(国交省、14:00)
    東証グロース上場=ロゴスホールディングス、 5月の米個人所得個人消費支出(PCE、21:30)
    6月の米消費者態度指数(確報値、ミシガン大学調べ、23:00)

    ◇30日(日) 6月中国製造業購買担当者景気指数(PMI、10:30) 、6月中国非製造業PMI(10:30)


    (注)時間は日本時間








    ■米国株~異例の早期のTV討論会は相場に影響か、マイクロン決算に注目~
    ■予想レンジ(6/24〜6/28) NYダウ 38,400~39,800ドル

    6月第3週の主要株価3指数は週間ベース(カッコは年初来騰落率)で上昇。19日の祝日(奴隷解放記念)休場を挟んでNYダウが1.54%高(+3.88%)が反発し、S&P500が0.61%高(+14.57%)、ナスダック総合が0.0003%高(+17.84%)と続伸しました。週末は指数先物・オプション、個別のオプションの清算日が重なるクアドルプル・ウィッチングとS&P500やナスダック100の銘柄入替の取引もあり、出来高は膨らみました。S&P500・11業種別週間騰落率は一般消費財やエネルギー、金融、資本財、生活必需品をはじめ8業種が上昇した一方、これまで指数をけん引してきた情報技術や公益、不動産の3業種が下落しました。AI投資の恩恵をフルに享受する半導体企業エヌビディアは、18日に時価総額でマイクロソフトを抜いて世界最大となりましたが、その後エヌビディアは利益確定売りに押されて週末までの2日間で6.7%下落、米フィラデルフィア半導体指数は週間1.07%安と反落する半面、年初来出遅れていたエネルギー株や銀行株には買いが優勢となりました。

    今週は27日・現地夜放送の異例の早期開催となる米大統領選のTV討論会が、焦点となりそうです。激戦州の支持率やオッズサイトの勝利者予想でもトランプ氏が優位に進めており、討論会をきっかけに差を広げる可能性があります。「もしトラ」の意識が強まる場合、悪影響のある環境関連や、エネルギーや金融業界等は追い風要因となるでしょう。経済指標では28日にコアPCEデフレータに注目、インフレ鈍化が予想され、リスク心理の改善に繋がる可能性があります。月末・四半期末の年金資産のリバランスでは株式売却の圧力がかかりそうで上値が重い週となる恐れもありそう。個別では、26日にAI関連の半導体メモリのマイクロン・テクノロジーの決算やエヌビディアの株主総会があるほか、大手銀行対象のストレステストの結果が公表され、各行の株主還元政策に関心が集まりそう。他方、欧州では30日にフランス下院議会選挙(第1回投票、決選投票は7月7日)では、極右・左派連合の躍進と与党連合の苦戦が予想され当面、欧州不安がくすぶりそうです。


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    ■外国株・週間注目銘柄

    ・エヌビディア(NVDA)  
    AI用半導体最大手、6月台湾IT見本市で27年までの製品計画を公表

    ・アマゾン・ドット・コム(AMZN)  
    AIスピーカー有料化模索、海外ネット小売事業が足下黒字化

    ・IBM(IBM)    
    IT分野の配当貴族、組織再編を経てハイブリッド・クラウドとAI事業を強化






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