「IwaiCosmo Weekly Letter」
2024年5月20日日本株~米エヌビディア決算が焦点、戻り継続へ~
岩井コスモ証券投資調査部
■日本株~米エヌビディア決算が焦点、戻り継続へ~
■予想レンジ(5/20〜5/24) 日経平均株価 38,500円~39,500円
先週の日経平均株価は558円高と反発。注目度の高かった米CPIの伸び鈍化などを好感して欧米金利が低下、NYダウの瞬間4万㌦台乗せをはじめ主要指数が軒並み史上最高値を更新したことが好感されました。景気・業績の伸び悩み懸念等でもたつき感の強かった日本株も週後半にはようやく出遅れ修正の気運が広がりました。
米金利低下に伴う円急伸場面も見られましたが、週末には1㌦155円台後半まで反発、根強い円安地合いを示したことも業績期待を繋ぐ格好となりました。決算では増配、自社株買いなど還元強化の姿勢が加速、プライム企業合計で設定額は年初から8兆円を突破、早くも前年(9.5兆円)水準超えが視野に入っています。
今週は米エヌビディア決算以外、やや手掛かり難。ただ日本株は年初急伸に伴う日柄調整が長引いたこともあり、今後は業績動向を精査した中長期投資家からの下値買いが入りやすいと見ます。日本企業特有とも言える期初慎重姿勢(減益想定)は早晩持ち直すとみられ、日経平均も4万円再トライに向けた見直し歩調を辿ると考えます。
■日本株~週間注目銘柄~
・三井住友(8316)
今期も最高益更新で増配も、事業環境は好転へ
・TOWA(6315)
メモリメーカーの相次ぐ増産投資でHBM向け需要拡大
・富士電機(6504)
電力需要の急拡大で蓄電池や分散電源など伸びる
・岩谷産業(8088)
コスモエネHDと資本業務提携、水素インフラ整備を加速
注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。詳細はアナリストレポートをご参照ください。
■ドル円~米重要イベント通過し、落ち着きどころを探る~
■予想レンジ(5/20〜5/24)ドル円相場 1㌦=154.00~157.00円
先週は日米の金融政策を巡る思惑が交錯し、値動きの荒い展開となりました。注目を集めた米CPIの落ち着きなどを受けてFRBの年内利下げ実施観測が再浮上、投機筋のポジション調整も巻き込んで一時1㌦=153.60円まで円の買い戻しが膨らむ格好となりましたが、そうした動きは長くは続きませんでした。
ウィリアムズNY連銀総裁らのタカ派発言が相次ぎ、「日米金利差はなかなか縮まらない」との見方が改めて広がったことが背景です。週末に日銀が国債買いオペの減額を見送り、一部でくすぶっていた(日銀の)早期利上げ観測が後退したことも、円売りを促す一因となった模様です。
米重要イベントを通過した今週は、目先的な落ち着きどころを探る展開となる見通しです。日米ともに金融政策修正への思惑はくすぶり続けており、一段の金利差拡大は回避される公算が高いとみられるためで、5月FOMC議事録(22日)や日米の通貨当局者発言などを注視することが肝要となりそうです。■主な注目イベント
◇20日(月)
3月の第3次産業活動指数(13:30)、4月の主要コンビニエンスストア売上高(14:00)、
3月期決算=東京海上、MS&AD、SOMPO、
5月の中国最優遇貸出金利(LPR、10:15)、インド市場が休場、スイス市場が休場
◇21日(火)
4月食品スーパー売上(13:00)、首都圏マンション販売(14:00)、ウィリアムズNY連銀総裁講演(22:05)
◇22日(水)
3月機械受注(内閣府8:50)、4月貿易統計(財務省8:50)、シンガポール、マレーシア、タイ市場が休場、
4月の英消費者物価指数(CPI、15:00)、4月米中古住宅販売件数(23:00)、
米FOMC議事要旨(4/30~5/1開催分)(23日3:00)、海外2~4月期決算=エヌビディア
◇23日(木)
ソニーG経営方針説明会(10:30)、4月全国スーパー売上高(14:00)、
5月の仏購買担当者景気指数(PMI)速報値(16:15)、独PMI速報値(16:30)、
5月ユーロ圏PMI速報値(17:00)、英PMI速報値(17:30)、米PMI速報値(22:45)
◇24日(金)
4月全国消費者物価指数(CPI、総務省、8:30)、4月全国百貨店売上高(14:30)、
4月の英小売売上高(15:00)、4月の米耐久財受注額(21:30)、
5月の米消費者態度指数(確報値、ミシガン大学調べ)(23:00)
(注)時間は日本時間
■米国株~22日にエヌビディア決算、CEOの強気発言に注目~
■予想レンジ(5/20〜5/24) NYダウ 39,200~41,000ドル
5月第3週の主要株価3指数は週間ベース(カッコは年初来騰落率)で続伸。NYダウが1.24%高(+6.14%)と5週続伸、17日に史上初40,000ドル乗せで終了、S&P500が1.54%高(+11.18%)とナスダック総合は2.11%高(+11.16%)と4週続伸、注目された15日発表の4月消費者物価の結果は市場予想とほぼ一致、鈍化傾向を示し、安心感から幅広く買われ主要3指数はいずれも最高値更新しました。S&P500業種別・騰落率(週間)では、9業種が上昇、2業種が下落、ハイテク株中心に買われ、情報技術や通信、不動産等のセクターの上昇が目立った半面、一般消費財、資本財が下落しました。個別ではウォルマートが通期見通しを上方修正する好決算を発表、上伸した一方、農機のディーアが低調な決算を受けて下落しました。ほか、ミーム株(流行り株)との代表格ゲームストップはブーム仕掛け人の3年ぶりの情報発信を受けて急騰しましたが、その後週末には急落しました。
今週は22日引け後に米株相場のスター銘柄である、エヌビディアが2-4月期決算を発表します。市場コンセンサスは売上高が前年同期比3.4倍の245億ドル、純利益が同6.4倍の130億ドルが予想されています。次世代GPUの出荷前の手控え要因が懸念材料としてある一方、ジェン・スンファンCEOによる製品需要に対する強気なコメント、5-7月期見通しの市場予想上振れがあれば、短期的に利益確定売りが優勢になる場面があったとしても、押し目買い意欲も強く、調整の可能性は少ないと考えられます。他、20日にズーム・ビデオ、22日にアナログ・デバイセズ、スノーフレーク、シノプシス等が決算発表を行うほか、マイクロソフトは21~23日に開発者向けイベントを開催する予定です。最近のマクロ経済指標は市場予想に対して下振れ傾向が目立ち始めており、23日にS&Pグローバルの購買担当者景気指数や24日にミシガン大消費者センチメント等の景気先行指標の低下の度合いが注目されそうです。金融政策イベントでは22日には4月30日~5月1日開催のFOMC議事要旨が公表され、予防的利下げ開始に対する機運が高まっているのか確認できそうです。また21日のウォラー理事や21日のNY連銀ウィリアムズ総裁など、複数の高官発言機会があります。■外国株・週間注目銘柄
・エヌビディア(NVDA)
AI用半導体の最大手、22日引け後に第1四半期業績を公表予定
・マイクロソフト(MSFT)
AIアシスタント「コーパイロット」等の商用化がアジュール増収に貢献
・ネクステラエナジー(NEE)
環境配慮型の公益大手 AIデータセンター電力需要拡大の恩恵享受