「IwaiCosmo Weekly Letter」
2024年4月30日日本株~上下動繰り返しつつも、徐々に見直し機運~
岩井コスモ証券投資調査部
■日本株~上下動繰り返しつつも、徐々に見直し機運~
■予想レンジ(4/30〜5/2) 日経平均株価 38,000円~38,700円
先週の日経平均株価は866円高と反発。中東警戒の和らぎや内外業績期待を支えに自律反発狙いの動きも見られましたが、日銀会合や大型連休前の手控えも影響して激しい上下動が継続しました。円相場が一時1ドル160円台に突入、介入観測が浮上するなか、円安に伴う日本株への買い姿勢もやや不鮮明な状況にあります。
決算序盤は前期実績の上振れと、今期予想の慎重姿勢が目立ち、明確な反転機運には繋がっていません。一方で自社株買いや増配姿勢は依然強く、企業再編等を含む資本コスト重視の経営強化が着実に進展、日本株選好のムードを支えています。内外金利の上昇もありバリュー株や高利回り株優位も継続、底堅さに寄与しています。
今週は連休谷間で3日立ち合い。薄商いのなか企業決算に振らされる展開が想定されますが、日米金融イベント通過で調整一巡感が強まる可能性もありそうです。4月第3週には個人買越金額が過去最大を記録、新NISAの効果もあって逆張り投資家の押し目買い姿勢はより強化されています。過去4年連続高している5月相場入りで、デフレ脱却等の構造改革にふたたび注目度が高まることを期待します。■日本株~週間注目銘柄~
・三井住友(8316) 今期も最高益更新で増配も、事業環境は好転へ
・TOWA(6315) メモリメーカーの相次ぐ増産投資でHBM向け需要拡大
・富士電機(6504) 電力需要の急拡大で蓄電池や分散電源など伸びる
・岩谷産業(8088) コスモエネHDと資本業務提携、水素インフラ整備を加速
注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。詳細はアナリストレポートをご参照ください。
■ドル円~円買い介入観測が一段の円安抑制~
■予想レンジ(4/30〜5/2)ドル円相場 1㌦=152.00~158.00円
先週は、円が一段と弱含む展開となりました。中東情勢に対する過度の警戒が後退し投資家のリスク許容度が高まるなか、金利差への意識が強まったことが背景です。G20財務相・中央銀行総裁会議において、ドル高是正に向けた気運が高まらず、「円買い介入は困難」との見方が広がったことも響いたとみられます。
そうしたなか、日銀は金融政策の現状維持を決め、同時に公表した展望リポートで「当面、緩和的な金融環境が継続する」との考えを示しました。一部で浮上していた国債買い入れの減額、すなわち量的引き締め(QT)への思惑が大きく後退したことから円売りが改めて膨らみ、158円台に下落する場面がありました。
今週は、FOMC(4/30~5/1)や週末の雇用統計(5/3)に向けた一連の米主要経済指標に対する米金利の反応が焦点となる見通しです。本邦通貨当局による円買い介入観測が一段の円売りを抑えるとみられるなか、米金利への上昇圧力が緩むようであれば、投機筋の円買い戻しを誘う可能性がありそうです。
■主な注目イベント◇30日(火)
3月失業率(8:30)、3月有効求人倍率(8:30)、3月鉱工業生産速報値(経産省、8:50)、
決算=レーザーテク、東海東京、いちよし、日本取引所、JR東、JR西、JR東海、商船三井、
4月中国製造業PMI、非製造業PMI(10:30)、4月財新中国製造業PMI(10:45)、
1~3月期台湾域内総生産(GDP)、ユーロ圏GDP速報値(18:00)、仏・独GDP速報値、
4月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値、1~3月期の米雇用コスト指数(21:30)、
4月の米消費者信頼感指数(23:00)、海外1~3月期決算=アマゾンドットコム、AMD
◇5月1日(水)
決算=イビデン、三井物 香港、中国、台湾、韓国、フィリピン、シンガポール、タイ、インド、ベトナム、独休場、
4月ADP雇用(21:15)、4月米ISM製造業(23:00)、3月米雇用動態調査(JOLTS、23:00)、
米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表(2日3:00)、パウエル議長の記者会見(3:30)
◇2日(木)
4月の消費動向調査(内閣府、14:00)、4月の国内ユニクロ既存店売上高(15:00すぎ)、
3月期決算=丸紅、住友商、三菱商、JAL、
中国休場、3月の米製造業受注(23:00)、海外決算=アップル、アムジェン
◇3日(金)
憲法記念日で東京市場が休場、中国(上海深セン)市場が休場、ノルウェー中銀が政策金利を発表、
4月米雇用統計(21:30)4月米ISMサービス業景況感指数(23:00)
(注)時間は日本時間
■米国株~FOMCにやや警戒か、アップルやアマゾン決算に注目~
■予想レンジ(4/30〜5/2) NYダウ 37,500~38,800ドル
4月第4週の主要株価3指数は週間ベース(カッコは年初来騰落率)で上昇。NYダウが0.67%高(+1.46%)と続伸、S&P500が2.67%高(+6.92%)で4週振りに反発、ナスダック総合は4.23%高(+6.11%)と5週ぶりに反発しました。S&P500業種別・騰落率(週間)では全11業種が上昇、直近大きく値下がりしていた情報技術が5.11%高と急反発、一般消費財(+3.50%)、通信(+2.72%)などのハイテク株が含まれるセクターの上昇が目立ちました。フィラデルフィア半導体指数も週間9.95%高と急反発、新モデルを前倒し投入すると宣言したテスラやクラウド事業が好調だったアルファベットやマイクロソフトが決算発表を受けて株価が上昇、メタも含めてAI投資を活発に行っていることが分かると、前週急落したエヌビディアやスーパーマイクロコンピューター等が急反発しました。
他方、米国債市場ではインフレ再燃を警戒して2年債利回りが5%近辺で推移、10年債利回りが4.67%と前週から上昇し23年11月以来の高水準にあります。1-3月期GDP速報値のPCEコアデフレーター及び3月のPCEコアデフレーターが上昇傾向にあり、利下げ期待が後退、主要通貨に米ドルの強さを示す米ドル指数は今年に入って4.54%上昇しています。
S&P500構成企業の第1四半期業績報告は4月26日までに229社が終え、78%の企業の利益が事前市場予想を上回り、上振れ企業比率は過去4四半期並みです。メタやアルファベット、マイクロソフトの決算を通じて1株利益増減率見通しは前年同期比5.6%増(4月1日時点:5.1%増)に上方修正されました。今週は175社が決算発表を行い、アマゾン(4/30)、アップル(5/2)等も含まれ全体業績のトレンドの趨勢が見えてくると見られます。今週は4月30日~5月1日のFOMCでは政策変更なしが見込まれますがインフレ指標の上振れを受け、パウエル議長が予防的利下げに向けた姿勢をどの程度後退させるかが焦点となりそうです。市場は既に24年通の利下げが1回強に留まるとの見方に変わっていますが、「年内利下げ無し」に向けた市場期待の調整が更に進むと、金利高に警戒感が広がる恐れがあります。3日の雇用統計では約25万人の雇用増が予想されています。■外国株・週間注目銘柄
・エヌビディア(NVDA)
AI用半導体の最大手、一時調整も好調なファンダメンタルズは不変
・マイクロソフト(MSFT)
AIアシスタント「コーパイロット」等の商用化がアジュール増収に貢献
・ネクステラエナジー(NEE)
環境配慮型の公益大手 AIデータセンター電力需要拡大の恩恵享受