「IwaiCosmo Weekly Letter」
2023年12月25日日本株~年初来高値更新の可能性残る~
岩井コスモ証券投資調査部
■日本株~年初来高値更新の可能性残る~
■予想レンジ(12/25〜12/29) 日経平均株価 33,000円~33,800円
先週の日経平均株価は198円高と小幅続伸、日銀政策会合を受けマイナス金利解除の観測が後退、欧米株価が高値圏で堅調を保つなか、ハイテク株中心に見直し買いが入りました。33000円台を回復し、ザラ場で年初来高値を上回る場面もありましたが、円高警戒や中国懸念などで、欧米に比較した出遅れ状態が依然続いています。
1㌦142円台中心に小動きながらも円強含みの気配が残り、ダイハツ不正問題の余波等も重なって自動車株全般が冴えず、高値圏銘柄への利益確定売りが継続しました。一方で企業業績の上方修正や還元強化、中期成長に向けた企業再編や積極投資の案件発表も相次ぎ、来年に向けた先高期待は保たれていると見られます。
今週は年内最終で商いはさらに閑散となる見通しです。「掉尾の一振」の格言に示される通り、アノマリー的に上昇確率の高いタイミングにあたり、足元出遅れ感、割安感を強めている日本株の修正高の可能性はありそうです。デフレ脱却や企業改革、新NISAなど中期的構造的な追い風に目が向く期待も小さくないと見ています。■日本株~週間注目銘柄~
・三菱UFJ(8306)
最高益期待、低PBRで還元期待。日銀政策にらみ金利上昇を意識
・東京エレク(8035)
来年からの半導体サイクル好転先取りの動きに期待。A
・スズキ(7269)
生産正常化と円安効果で最高益、インドでシェア4割。A
・寿スピリッツ(2222)
付加価値追求で営業利益率20%、今期4割超増益へ。A
注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。詳細はアナリストレポートをご参照ください。
■ドル円~市場の関心は日銀イベントに集中~
■予想レンジ(12/25〜12/29)ドル円相場 1㌦=141.50~144.50円
先週は、急ピッチな円高・ドル安進行に歯止めが掛かる展開となりました。日銀が大規模緩和の継続を決めたうえ、一部で警戒されたマイナス金利政策の解除に向けた布石の発信や金融政策の先行き指針(フォワードガイダンス)の修正も見送ったことが背景です。投機筋の手じまいも巻き込んで、1㌦=145円に迫る場面がありました。
FRB高官から「タカ派」的な発言が相次いだこともこうした動きを後押ししましたが、週末に向けては再び円買い・ドル売り優勢の色彩を強めました。市場の早期米利下げ観測への期待は根強く、冴えない米景気指標に敏感な反応を示したほか、クリスマス休暇を取る海外勢から手じまい目的のドル売りが膨らんだ模様です。
今週は市場参加者が減少するなか、やや不安定な地合いを引きずりつつも、円を買い進めづらい地合いを辿る見通しです。海外発の有力な材料に乏しく、市場の関心は植田総裁講演(25日)や今月18~19日開催分の金融政策決定会合の主な意見(27日)といった日銀イベントに集中するとみられるためです。■主な注目イベント
◇25日(月)
植田日銀総裁が経団連で講演(13:00頃)、11月外食売上高(日本フードサービス協会、14:00)、
11月全国百貨店売上高(日本百貨店協会14:30)、東証グロース上場=ナルネットコミュニケーションズ、
豪、ニュージー、香港、韓国、フィリピン、シンガポール、マレーシア、インドネシア、インド、英、独、フランス、スイス、イタリア、南ア、米休場
◇26日(火)
11月の失業率(総務省、8:30)、11月の有効求人倍率(厚労省、8:30)、
11月の企業向けサービス価格指数(日銀、8:50)、2年物利付国債の入札(財務省、10:30)、
基調的なインフレ率を捕捉するための指標(日銀、14:00)、
オーストラリア、ニュージーランド、香港、フィリピン、インドネシア、英国、ドイツ、フランス、スイス、イタリア、南アフリカが休場
10月の米S&Pコアロジックケースシラー米住宅価格指数(23:00)
◇27日(水)
日銀金融政策決定会合の主な意見(12月18-19日開催、8:50)、11月住宅着工統計(国交省14時)、
11月の建機出荷(建設機械工業会、13:00)、東証グロース上場=yutori、
1~11月の中国工業企業利益(10:30)
◇28日(木)
11月の鉱工業生産速報値(経産省、8:50)、11月の商業動態統計(経産省、8:50)、
11月の自動車輸出実績(自工会、13:00)、11月の米仮契約住宅販売指数(29日0:00)
◇29日(金)
東証大納会、韓国、タイが休場、12月米シカゴ購買部協会景気指数(23:45)、米債券が短縮取引
◇31日(日)
12月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI、10:30)、12月の中国非製造業PMI(10:30)
(注)時間は日本時間
■米国株~クリスマス休場明けは来年相場を見据える展開に~
■予想レンジ(12/25〜12/29) NYダウ 36,600~38,000ドル
12月第4週の米主要株価3指数は揃って続伸。週間ベース(カッコは年初来騰落率)ではNYダウが0.22%高(+12.79%)、S&P500が0.75%高(+23.83%)、ナスダック総合が1.21%高(+43.25%)とそれぞれ8週連続で上昇しました。相場参加者が減少となる中、ダウは19年2月の9週連続以来、S&P500は17年11月の8週連続以来の長期連騰に並びました。 FRB高官は市場の利下げ期待をけん制する発言をしたものの、12-13日開催のFOMCでハト派に転じたことを市場は引き続き好感、経済指標ではPCEコアデフレーターの伸び鈍化や住宅市場指数の改善など適温経済を想起させました。短期過熱感からS&P500が12月20日に10月26日以来となる前日比1%超の急落となったものの、その後反発、堅調地合いは維持されました。個別では半導体メモリのマイクロン・テクノロジーが見通しが良好な9-11月期業績を受けて急伸し、半導体関連のプラス材料に、また好調な予約状況が続いているクルーズ船運営のカーニバルが好決算で上昇した一方、スポーツアパレルのナイキや運輸大手フェデックスは業績見通しの下方修正を受けて急落するなど明暗分かれました。
今週は25日がクリスマス休場、欧州等では26日も休場、米国の新年相場は1月1日休場後、2日から始まります。クリスマス明けの米国株は来年相場を見据える展開、2024年は年間を通じて金融相場、その後の業績相場の移行に期待します。年明け後は3日のISM製造業指数、5日の米12月雇用統計、ISM非製造業景況指数などの経済指標に注目。市場では3月利下げ開始を織り込んでおり、利下げ期待を正当化するような景気や賃金、インフレ圧力の弱さが見られるのか焦点となりそうです。また3日には12月のFOMC議事要旨が公開され、FRBの景気配慮の姿勢がどの程度が見定めることになりそうです。23年10-12月期決算シーズンは1月12日のJPモルガン等の大手銀行から事実上始まりますが、技術見本市CES(9~12日)やヘルスケア業界の各社が集うヘルスケア・カンファレンス(8~11日)などの企業イベント発の情報が材料になりそうです。なお年明けに決算発表前の業績警告が相次ぐ場合は、相場の波乱要因となるため留意が必要です。■外国株・週間注目銘柄
・ウーバー・テクノロジーズ(UBER)
営業黒字化定着、S&P500採用、日本含む世界展開
・マイクロン・テクノロジー(MU)
AI向けDRAM量産化、営業黒字化見据える
・ファーストソーラー(FSLR)
米太陽光パネル製造大手、出遅れ環境関連、税制恩恵大