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「IwaiCosmo Weekly Letter」

2023年11月27日

日本株~高値更新で34000円台トライへ~

岩井コスモ証券投資調査部 岩井コスモ証券投資調査部

  • ■日本株~高値更新で34000円台トライへ~
    ■予想レンジ(11/27〜12/1) 日経平均株価 33,500円~34,200円

    先週の日経平均株価は40円高と小幅ながら4週続伸、注目された米エヌビディア決算やFOMC議事録をともに無難通過、内外共にリスク選好ムードが保たれました。一時1㌦147円台への円高進行を嫌気、短期過熱を警戒した利食いに押される場面もありましたが、早期の持ち直しでむしろ下値の堅さを確認する格好となりました。

    20日寄り後に続き、週末27日の取引時間中にも33800円台に乗せ、半年間継続したボックス相場を上抜ける気配を示し始めています。業績や割安感、デフレ脱却気運といった投資環境の優位さに加え、中間期末の配当支払いタイミングにあたり、7兆円超えともされる再投資思惑など需給面の良好さも下値を支えそうです。

    今週は月末跨ぎで内外主要経済市場の発表が相次ぎます。30日の米PCEデフレータはFRB最注目のインフレ指標とされますし、同日の中国PMIについては、ここにきて意識され始めた中国の最悪期脱出の可能性をうかがう意味で重要と言えます。33年ぶりの34000円突破となれば、年末相場に向け一段のムード好転の期待も高まります。

    20231127日本株チャート.png










    ■日本株~週間注目銘柄~

    ・三菱UFJ(8306)
     最高益期待、低PBRで還元期待。日銀政策にらみ金利上昇を意識

    ・ミツコシイセタン(3099)
     堅調な国内需要とインバウンド回復で増収増益

    ・アイシン(7259)
    電動ユニットなどEV向け部品に注力。円安も恩恵。A

    ・イビデン(4062)
     AIサーバーなど先端パッケージ基板の潜在需要が高まる。A


    注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。詳細はアナリストレポートをご参照ください。








    ■ドル円~米金利動向をあらためて注視へ~
    ■予想レンジ(11/27〜12/1)ドル円相場 1㌦=148.50~151.50円

    先週は、一時1㌦=147.15円とおよそ2ヵ月ぶりの円高・ドル安水準を付ける場面がありました。今月14日時点の投機筋のドルに対する円の売り越し額が急増し6年ぶりの大きさとなったことが判明、米追加利上げ観測が後退したこととも相俟って、感謝祭休暇を前に積み上がった円売りポジションの巻き戻しが生じたためです。

    そうしたなかで公表された前回FOMCの議事要旨は決して「ハト派」的な内容ではなく、米景気の底堅さを示唆する経済指標の発表も相次いだことから、週末にかけてはドル買い戻しの動きが強まる展開となりました。日銀の早期政策修正の思惑が後退してることもあり、ドル円相場の基調が変わったとみる向きはほとんどいない模様です。

    今週は、低金利の円を売ってドルやユーロなどの高金利通貨で運用する「円キャリー取引」の動きを注視する必要があると判断しています。キャリー取引は、市場の予想変動率が高くなると手控えられる傾向が強いことが背景にあり、マクロ指標やFRB高官発言を受けた米金利の動向が大きなカギとなりそうです。

    20231127円相場チャート.png








    ■主な注目イベント

    ◇27日(月)
    10月企業向けサービス価格指数(日銀8:50)10月外食売上高(日本フードサービス協会14:00)、
    1-10月中国工業企業利益(10:30)フィリピン、インド市場休場、10月米新築住宅販売件数(28日0:00)

    ◇28日(火)
    基調的なインフレ率を補足するための指標(日銀14:00)、JPX山道CEO記者会見(15:00)、
    9月の米S&Pコアロジックケースシラー住宅価格指数(23:00)、11月の米消費者信頼感指数(29日0:00)

    ◇29日(水)
    11月独CPI速報値、7-9月期米GDP改定値(22:30)、米ベージュブック(30日4:00)

    ◇30日(木)
    10月鉱工業生産速報値(経産省8:50)、10月商業動態統計(経産省8:50)、2年国債入札(10:30)、
    10月の住宅着工統計(国交省、14:00)、11月の消費動向調査(内閣府、14:00)、
    11月中国製造業PMI、非製造業PMI(10:30)、インドの7~9月期GDP、
    11月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値、10月のユーロ圏失業率、
    10月米個人所得個人消費支出(PCE)(22:30)、10月米仮契約住宅販売指数(1日0:00)

    ◇12月1日(金)
    10月の失業率(総務省、8:30)、10月の有効求人倍率(厚労省、8:30)、
    7-9月期法人企業統計調査(財務省8:50)、11月新車軽自動車販売台数(自販連全軽自協、14:00)、
    11月財新中国製造業PMI(10:45)、
    11月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数(2日0:00)、
    米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が米大学の懇談会に参加(2日1:00)


    (注)時間は日本時間







    ■米国株~年末モードに向かう、前半は歳末商戦出だしに注目~
    ■予想レンジ(11/27〜12/1) NYダウ 34,800~36,000ドル

    11月第4週の米主要株価3指数は揃って続伸。23日が祝日休場、24日が短縮取引となる中、週間ベース(カッコは年初来騰落率)ではNYダウが1.27%高(+6.77%)、S&P500が1.00%高(+18.75%)、ナスダック総合が0.89%高(+36.16%)とそれぞれ4週連続で上昇しました。大型ハイテク株の影響が大きいナスダック100指数は22年1月ぶりの高値となり、最高値が視野に入りました。S&P500業種別騰落では全11業種が上昇、ヘルスケア、消費関連、通信、情報技術等の値上りが目立った半面、 OPECプラスの会合の延期(30日オンライン開催に変更)等をきっかけにWTI原油価格が軟調となる中、エネルギーは小幅な伸びにとどまりました。前週のCPIが市場予想より鈍化し、追加利上げ観測後退が後退、リスクオン・ムードが継続しました。個別ではAI半導体を供給するエヌビディアは21日引け後に決算発表、実績・見通し共に市場予想を上回りましたが、米政府の対中国等の規制の影響がデータセンター向け売上の20~25%と占めたことが明らかになり、懸念が残存したことで利益確定売りが膨らみ決算後は軟調な展開となりましたが、半導体(SOX)指数は週間▲0.02%とほぼ変わらずで終了。Chat GPTを開発したオープンAIのアルトマンCEOの解任劇が話題となりましたが、結局CEOに復帰することになり、出資するマイクロソフトは週間2.1%高で終えました。

    今週は10月CPIやエヌビディア決算等主要イベントを通過後、米国株市場へ徐々に年末モードに向かう見込み。週前半は歳末商戦の出だしの動向に関心が集まり易く、好調振りが伝われば株式市場の追い風となる見込み。需給面では節税対策の売買も活発化すると予想され、当面上昇見込みの薄い銘柄の損失確定売りが出やすく、強い銘柄は引き続き買い優勢が続くと見られます。マクロ等のイベントでは30日の10月PCEデフレーターや12月1日のISM製造業景況指数が注目されるほか、29日にOECDが最新経済見通しを公表、30日から12月12日までUAEで気候変動問題を協議するCOP28が開催されます。個別ではゼットスケーラー、クラウドストライク、オクタ等のセキュリティ関連やセールスフォースや半導体のマーベル・テクノロジー等が決算発表を予定しています。


    20231127NYダウチャート.png










    ■外国株・週間注目銘柄

    ・アプライドマテリアルズ(AMAT)
     直近決算は堅調、決算後の下落局面は押し目買い好機

    ・ビザ(V)
     直近発表の本決算で自社株買い増額を含む株主還元の強化を表明

    ・コカ コーラ(KO)
     バフェット銘柄、値上げと数量増を実現する7-9月期決算を発表




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