「IwaiCosmo Weekly Letter」
2023年7月 3日日本株~米株高支えに年初来高値をトライも~
岩井コスモ証券投資調査部
■日本株~米株高支えに年初来高値をトライも~
■予想レンジ(7/3〜7/7) 日経平均株価 32,900円~33,700円
先週の日経平均株価は407円高と反発、春先からの株高トレンドに一巡感が浮上しつつも日本株の底堅さや相対優位は保たれている印象です。欧米の利上げ継続や景気懸念が重荷となるなか、四半期末の需給悪観測もあって売り先行でスタートしましたが、節目の33000円割れ水準での押し目買い姿勢を確認する格好となりました。
6月第3週の投資主体別売買動向では海外投資家が13週ぶりに売り越し(現物)となったものの、個人投資家は3月第3週以来の大幅買い越し(今年2番目の規模)を記録、下値買い姿勢を見せました。円安進行や足元企業決算などを通じて今後の業績期待も高まりつつあり、買い遅れた投資家の参戦意欲は相応に強いと見ています。
今週は週末の米雇用統計はじめ重要経済指標の発表が相次ぎます。下半期入りに伴うポジション調整やETF配当捻出売りなどで、需給不安をやや引きずる懸念は残るものの、7月利上げを概ね織り込んだ感のある海外市場の復調があれば、早期に高値33706円をトライする可能性もありそうです。■日本株~週間注目銘柄~
・三菱UFJ(8306) 収益高水準、利回り等還元姿勢魅力。日銀政策思惑も意識。A
・ソフトバンクG(9984) 傘下英アーム社を軸にAI関連の話題豊富。ファンドも復調。A
・キヤノン(7751) 自社株買いなど還元姿勢を強化、ユーロ中心に円安メリット大。A
・岩谷産(8088) 強みの水素関連事業の将来性に期待。国策を支えに中計積極化。A
注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。
詳細はアナリストレポートをご参照ください。
■ドル円~経済指標に対する米金利の反応に注視~
■予想レンジ(7/3~7/7)ドル円相場 1㌦=143.50~146.50円
先週も円売り優勢の展開が継続しました。ECBフォーラムにおける日米英欧4中銀総裁のパネルディスカッションなどを通じて、日銀と欧米中銀の政策スタンスの方向性の違いが改めて意識されたことが背景です。本邦当局はほぼ連日、口先介入を行いましたが、円先安観はさほど揺らいでいないように窺われます。
四半期末を迎え、欧州通貨の買い持ち高を減らす動きが散見された一方、「円売り・ドル買い」ポジションは大きく積み上がったままの状態となっていることも特筆されます。予想を上回る経済指標の発表が相次ぎ、米景気安心感が広がっていることが大きく、7ヵ月ぶりに1㌦=145円台を示現する原動力になったと捉えています。
FRBによる7月利上げ再開を織り込む動きが強まるなど、今週も円を買い進めづらい地合いに変化はない見通しです。円買い介入への警戒感のくすぶりや投機筋のポジション調整圧力の高まりなどを気にしつつも、週末の雇用統計に向けた一連の米主要経済指標に対する米金利の反応を注視していくことになりそうです。
■主な注目イベント◇7月3日(月)
QUICKコンセンサスDI(6月末時点、8:30)、6月日銀全国企業短期経済観測調査(8:50)、
6月の財新中国製造業購買担当者景気指数(PMI、10:45)、
JPXプライム150指数算出開始 6月米ISM製造業景況感指数(23:00)
◇4日(火)
6月の国内ユニクロ既存店売上高(15:00すぎ)、東証グロース上場=AeroEdge、
米国は独立記念日の祝日で全市場休場、豪中銀が政策金利を発表(13:30)
◇5日(水)
東証グロース上場=ブリーチ、 6月の財新中国非製造業PMI(10:45)、
5月の米製造業受注(23:00)、米FOMC事要旨(6月13~14日開催分、6日3:00)
◇6日(木)
3~5月期決算=オンワード、
5月のユーロ圏小売売上高、6月のADP全米雇用リポート(21:15)、
5月の米貿易収支(21:30)、6月のISM非製造業景況感指数(23:00)
◇7日(金)
5月の家計調査(総務省、8:30)、5月の毎月勤労統計(厚労省、8:30)、
6月上中旬の貿易統計(財務省、8:50)、5月の景気動向指数速報値(内閣府、14:00)、
消費活動指数(日銀、14:00ごろ)、
3~5月期決算=安川電、2022年9月~23年5月期決算=良品計画、
東証グロース上場=グリッド、 6月の米雇用統計(21:30)
(注)時間は日本時間■米国株~短期過熱感に警戒も堅調地合い継続か、週末に雇用統計~
■予想レンジ(7/3~7/7) NYダウ 33,700~35,500ドル
6 月最終週の米主要株価3指数は反発。週間ベース(カッコは年初来騰落率)でNYダウが2.02%高(+3.80%)、S&P500が2.35%高(+15.91%)、ナスダック総合は2.19%高(+31.73%)とそれぞれ反発しました。 S&P500週間騰落では全11業種が上昇、とりわけ不動産、エネルギー、素材、資本財が3%超の値上がりとなった一方、通信や生活必需品、ヘルスケアが小幅に上昇にとどまりました。週末・月末・4四半期末が重なる週に当たり年金基金や政府系ファンドによるリバランス売りが警戒され、週初は軟調となりました。ただ週後半に押し目買いが入ると週末はPCEデフレーター(物価指標)の伸びの鈍化が確認されたことを好感して長期金利が低下、ハイテク・グロース株が上昇を主導して高く引けました。個別では健全性検査(ストレステスト)に合格した大手銀行各社が29日に上昇したほか、30日にはアップルが時価総額を初の3兆ドルを達成しました 。ほか決算発表で資本効率性の向上する目標を掲げたクルーズ船運営大手のカーニバル」や、投資家説明会で良好な見通しを示したデルタ航空が買われました。
今週は4日が独立記念日で祝日休場、3日が午後1時までの短縮取引となり、売買本格化は週半ば以降となりそうです。週末7日の6月の雇用統計の発表を前に、ADP雇用統計や週間新規失業保険申請件数の指標を注視しながらの展開となりそう。またISM製造業指数など景気先行指標の動向にも注目されそうです。6月8日にS&P500が安値から2割上昇して「強気相場」入りしたことを受けて、投資家のセンチメントは楽観に傾いている反面、CNNの恐怖と欲望指標は最も強気に相当する「極端に欲深い」状態にあり、僅かな悪材料で利益確定売りに押さられやすい地合いとも言えそうです。パウエルFRB議長は最近の発言機会でも改めて年内2回の利下げの可能性を示唆しましたが、株式市場の参加者の多くが現状を「金融引き締めの最終局面」と見ており、物価鈍化に繋がる材料を重要視しており、今週末の雇用統計は弱いものを求めていると言えそうです。
■外国株・週間注目銘柄
・アドビ(ADBE) 画像生成AI「ファイアフライ」を発表・実装、客単価と定着率上昇へ
・ブロードコム(AVGO) AI半導体(ASIC=特定用途向け集積回路)で再評価
・メルク(MRK) 米製薬大手、がん免疫療法薬「キイトルーダ」の成長続く