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「IwaiCosmo Weekly Letter」

2023年5月29日

日本株~上値追い続くも、やや波乱含みか~

岩井コスモ証券投資調査部 岩井コスモ証券投資調査部

  • ■日本株~上値追い続くも、やや波乱含みか~
    ■予想レンジ(5/29〜6/3) 日経平均株価 31,000円~31,700円

    先週の日経平均株価は107円高と7週続伸、22日には31000円台に乗せ、33年ぶりの高値を更新しました。週半ばに米債務上限問題などを警戒した欧米株安が重荷となり、一時30500円台まで下押す場面がありましたが、円安等を支えとした日本優位の流れは保たれ、週末に向けては再度上値追いの展開を見せました。

    米半導体大手エヌビディアが生成AI向けの成長期待を支えに約3割高と急騰、内外周辺銘柄への買いが一気に広り、日経平均も押し上げられました。中国のコロナ感染再拡大懸念や米金利高などを警戒しつつも、幅広いセクターで押し目買い姿勢を確認、買い遅れた投資家も少なくないと見られるなか、売りづらい地合いが継続しそうです。

    今週は米英が週明け休場で4日立ち合い、米債務上限引き上げの採決(31日)も重なる月替わりのタイミングとなり、より神経質な展開が想定されます。米雇用統計をはじめ内外で主要経済指標の発表も控え、内容次第で上下いずれも値が飛びやすい状況と言えそうです。個別循環物色を支えに31000円台の値固め場面と見ます。

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    ■日本株~週間注目銘柄~

    ・三菱UFJ(8306) 収益高水準、利回り等還元姿勢魅力。日銀政策思惑も意識。A

    ・JR西日本(9021) インバウンドや構造改革で業績回復。うめきた地下駅も話題。A

    ・日本製鉄(5401) 逆風下でも実質最高益水準確保。PBR1倍割れ等割安修正へ。A

    ・ダイキン(6367) 環境性能で圧倒的技術力。インド成長取り込み。増益基調。A




    注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。

    詳細はアナリストレポートをご参照ください。








    ■ドル円~ドル高基調不変も神経質な展開に~
    ■予想レンジ(5/29~6/3)ドル円相場 1㌦=138.50~142.50円

    先週は、一段とドルが強含む展開となりました。。FRB高官の「タカ派」発言が止まないなか、米景気の底堅さやインフレ圧力の根強さを示唆する経済指標が相次ぎ、米金利に上昇圧力がかかったことが背景です。市場の「年内複数回利下げ」シナリオは修正を余儀なくされ、足元では追加利上げの可能性を見込む動きも出てきています。

    週末には植田日銀総裁の「ハト派」的なインタビュー記事が流れ、日米金利差拡大への意識が強まったことから、昨年11月22日以来およそ半年ぶりの1㌦=140円台を示現しました。一方で、懸案の米政府の債務上限問題を巡る交渉は難航しており、格付け会社のネガティブ・コメントを受けてドルが売られる場面も見受けられました。

    同問題を巡ってはひとまず基本合意に辿りつきましたが、実際に議会を通過するまでは予断を許さない状況が続くことになりそうです。今週は、週末の雇用統計に向けて米重要経済指標の発表も相次ぐことから、ドル高基調は揺るがないものの、神経質な展開を余儀なくされることになると判断しています。

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    ■主な注目イベント

    ◇29日(月)
    景気討論会(日本経済新聞社日本経済研究センター、13:30~15:30)
    韓国、英国、ドイツ、フランスなどの欧州市場が休場、メモリアルデーの祝日で米全市場が休場

    ◇30日(火)
    4月有効求人倍率(厚労省8:30)、4月失業率(総務省8:30)、4月建機出荷(13:00)
    3月S&Pコアロジックケースシラー住宅価格指数(22:00)、5月消費者信頼感指数(23:00)

    ◇31日(水)
    4月の鉱工業生産速報値(経産省、8:50)、4月の商業動態統計(経産省、8:50)
    4月の住宅着工統計(国交省、14:00)、5月の消費動向調査(内閣府、14:00)
    5月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI、10:30)、5月の中国非製造業PMI(10:30)
    4月の独失業率、5月の独消費者物価指数速報値
    5月シカゴ購買部協会景気指数(22:45)、米地区連銀経済報告(ベージュブック)(3:00)

    ◇6月1日(木)
    QUICKコンセンサスDI(5月末8:30)、1-3月期法人企業統計調査(財務省8:50)、決算=伊藤園
    5月財新製造業PMI(10:45)、5月ユーロ圏消費者物価指数速報値、4月ユーロ圏失業率、
    5月ADP全米雇用リポート(21:15)、1~3月期の米労働生産性指数(改定値、21:30)
    5月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数(23:00)

    ◇2日(金)
    5月の国内ユニクロ既存店売上高(15:00すぎ)、シンガポール市場、インドネシア市場が休場
    5月の米雇用統計(21:30)


    (注)時間は日本時間







    ■米国株~テック一極集中、債務上限問題合意後も油断禁物~
    ■予想レンジ(5/29~6/3) NYダウ 32,600~34,000ドル

    5月第4週の米主要株価3指数はまちまち。週間ベース(カッコは年初来騰落率)でNYダウが1.00%安(▲0.16%)と反落し、年初から一進一退。S&P500が0.32%高(+9.53%)と小幅続伸。5月9日に安値から2割上昇し強気相場入りしたナスダック総合は24日の画像処理半導体大手のエヌビディアのサプライズ決算をきっかけに2.51%高(+23.97%)と5週連続で大幅上昇を果たしました。

    債務上限問題の与野党合意のないまま、週半ばにリスクオフの売りが広がったものの、AIブームが企業の生産性を改善させるとばかりにハイテク株の上昇は止まりませんでした。S&P500週間騰落では3業種が上昇、8業種が下落。情報技術が5.12%高と急伸、ほか通信サービス、一般消費財が値上り、生活必需品、素材、ヘルスケア、公益が引き続き軟調でした。個別では24日引け後にAI半導体の需要が高まり、市場予想を大きく上振れる5-7月期売上見通しを示したエヌビディアが週間24.6%となり、株価は最高値を更新、時価総額は962億ドルとなり1兆ドルの大台に迫るなどし、市場に与えた衝撃は大きく、AI関連銘柄に買いが広がりました。時価総額加重平均のフィラデルフィア半導体指数はエヌビディアなどのAI関連株をけん引役に週間で10.68%上昇しました。

    懸案の債務上限問題は現地27日(土)に民主党のバイデン大統領と共和党のマッカーシー下院議長との電話会談を行い、暫定合意に達したと報じられました。合意内容によれば、2年間の債務上限の引き上げと国防以外の裁量的支出を23年の水準に制限することで合意したというものです。財務省の資金不足発生は6月5日と改められ、5月31日の採決が見込まれています。トップ会談の合意内容を民主党の左派及び共和党保守強硬派でも造反なしに投票行動に繋げる必要があるほか、仮に格付け会社による米国債の格付け引き下げの発表があった時に、市場が混乱しないとも限らず、最後まで楽観は禁物です。

    29日の米国株は戦没者追悼記念日で祝日休場となり、30日からとなります。休場明けは高く始まることが想定されますが、ハイテク株は短期的過熱感を背景に材料出尽くしの売りに押される可能性があります。

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    ■外国株・週間注目銘柄

    ・アルファベット(GOOGL)  生成AI「バード」に対する評価高まる 出遅れ妙味

    ・サービスナウ(NOW) 内勤業務効率化ソフトウエア企業、生成AIでMS提携、15億ドル自社株買い

    ・アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)  AI半導体でエヌビディア追随、市況の底打ち期待も





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