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「IwaiCosmo Weekly Letter」

2023年5月 8日

日本株~米イベント通過、底堅さ確認~

岩井コスモ証券投資調査部 岩井コスモ証券投資調査部

  • ■日本株~米イベント通過、底堅さ確認~
    ■予想レンジ(5/8〜5/12) 日経平均株価 28,900円~29,400円

    先週の日経平均株価は301円高と4週続伸、企業決算の堅調さや日銀の緩和策維持を受けた円相場の弱含み、国内消費の好調などを支えとして、全般上値追い傾向が保たれました。日経平均、TOPIXとも年初来高値を更新、短期過熱を意識しつつも内外からの旺盛な買い需要が利食い売りを吸収し、売りづらい地合いを維持しています。

    決算発表の前半戦では実績、今期会社予想とも全体の6割程の企業が増益となり、警戒が和らぐ方向です。半導体など今期減益予想の一部ハイテク株には、下期回復期待を支えに悪材料出尽くしとなるケースも少なくないうえ、東証の企業統治の改革要請等を背景に、自社株買いや増配計画が相次ぐことも日本株優位に繋がっています。

    今週は高値警戒感が意識されるなか10日の米CPIや、国内ではトヨタ、メガバンク、東エレクなど主要企業決算も注目されます。連休中の米イベントを底堅く通過する格好となったことで、引き続きの押し目買い姿勢が下値を支えると見られる一方、海外マーケットの伸び悩みで上値が限られる可能性もありそうです。

    20230508日本株チャート.png







    ■日本株~週間注目銘柄~

    ・三菱UFJ(8306) 収益高水準、利回り等還元姿勢魅力。日銀政策思惑も意識。A

    ・JR西日本(9021) インバウンドや構造改革で業績回復。うめきた地下駅も話題。A

    ・アドバンテ(6857) 半導体勝ち組の台湾TSMCが主要顧客。割安修正の余地も。A

    ・ダイキン(6367) 環境性能で圧倒的技術力。インド成長取り込み。増益基調。A

    注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。

    詳細はアナリストレポートをご参照ください。








    ■ドル円~あらためて米金利の動向を注視~
    ■予想レンジ(5/8~5/12)ドル円相場 1㌦=134.00~137.00円

    先週は、円の買い戻しが広がる展開となりました。次の破綻を警戒して米地銀株への売りが止まず、リスクオフの流れが強まったことが背景です。米議会で政府債務の上限引き上げ問題を巡る交渉が難航していることも投資家のリスク許容度を低下させ、積み上がった円売りポジションの取り崩しを誘ったとみられます。

    FRB、ECBがそれぞれ0.25%の追加利上げを実施したことも、円買いを後押しする格好となりました。日銀との政策スタンスの違いが一段と鮮明化したものの、市場は急速利上げによる欧米景気の減速懸念をより強く意識したためです。もっとも、週末の米雇用統計を受けて過度の警戒が後退、円買いにも歯止めがかかりつつあります。

    今週は、CPI(10日)をはじめとする米主要経済指標やFRB高官発言に対する米金利の反応を注視することが肝要になると捉えています。インフレ圧力の根強さが徐々に明らかになりつつあるにもかかわらず、市場はなお秋以降の複数回利下げを見込んでいるためで、8日に公表される米銀の融資態度調査にも注目が集まることになりそうです。

    20230508円相場チャート.png






    ■主な注目イベント

    ◇8日(月)
    決算=ワークマン、HOYA、リコー、丸紅、川崎汽、大ガス、JFE、ユニチャーム、 
    英休場

    ◇9日(火)
    3月と2022年度の家計調査(総務省、8:30)、3月の毎月勤労統計(厚労省、8:30)、
    決算=三越伊勢丹、ローム、ダイキン、任天堂、伊藤忠、住商、三菱商、郵船、
    4月中国貿易統計

    ◇10日(水)
    4月上中旬の貿易統計(財務省、8:50)、3月の景気動向指数速報値(内閣府、14:00)、
    決算=塩野義、三菱重、川重、トヨタ、オリックス、三井不、住友鉱、スクリン、富士フイルム
    日本製鉄、INPEX、花王、パンパシHD、    
    4月の米消費者物価指数(CPI)(21:30)

    ◇11日(木)
    4月貸出預金動向(8:50)、3月国際収支(8:50)、G7財務相中央銀行総裁会議(新潟13日迄)、
    決算=清水建、武田、日産自、ホンダ、H2O、地所、SUBARU、エレク、KDDI、SBG、SUMCO、
    4月中国CPI、PPI(10:30)、英中銀金融政策委員会(20:00)、4月の米PPI(21:30)

    ◇12日(金)
    株価指数オプション5月物の特別清算指数(SQ)算出。決算=三井化学、三菱ケミG、いすゞ、
    住友電、フジクラ、ハーモニック、オリンパス、大日印、NTT、スクエニHD、NTN、東芝、
    Jディスプレ、板硝子、SBI、コンコルディ、SBI新生銀、りそなHD、三井住友トラ、
    アサヒ、クボタ、大塚HD、楽天グループ、資生堂、NXHD、AGC、住友重、マクドナルド、
    英1~3月期GDP速報値(15:00)、5月米消費者態度指数(速報値、ミシガン大学調、23:00)


    (注)時間は日本時間






    ■米国株~10日に4月CPI、地銀の経営不安の広がりに引き続き警戒~
    ■予想レンジ(5/8~5/12) NYダウ 32,500~34,800ドル

    5月第1週の米主要株価3指数はまちまち。週間ベース(カッコは年初来騰落率)でNYダウが1.24%安(+1.59%)、S&P500が0.80%安(+7.73%)とそれぞれ反落、一方、ナスダック総合が0.07%高(+16.90%)と小幅に続伸しました。半導体指数が週間0.42%高と堅調だった半面、1日にファースト・リパブリック・バンクが経営破綻した影響で複数地銀の株安が止まらず、KBW銀行株指数が同7.39%安と大幅下落。S&P500週間騰落では、情報技術、ヘルスケア、公益の3業種が上昇した一方、エネルギーや金融、通信サービス、素材などを中心に8業種が下落しました。地銀の経営不安の残るなかで2日のFOMCでは予想通り、0.25%利上げを決定、利上げ打ち止めの可能性を示唆した一方、パウエル議長は早期の利下げに否定的な姿勢を示しました。週末発表された4月雇用統計は市場予想を上回る内容でハードランディング回避の思惑が浮上して金利上昇・ドル高・株高の反応となりました。個別では、半導体のAMDが2日の決算で慎重な見通しが嫌気され大きく売られた後、AI半導体の出荷増加に関する報道から大幅高に、4日に決算発表したアップルは減益ながらアイフォーンの販売回復や株主還元策が好感され上昇しました。

    23年第1四半期業績はS&P500構成企業で5日までに419社が決算を発表し、リフィニティブ集計で全体業績の1株利益増減率見通しは事前予想を上回る決算発表が相次いだことで同0.7%減と、4月1日時点の同5.1%減から大幅に減益幅が縮小、株価の下支え要因になったと思われます。今週はウォルト・ディズニーやペイパル・ホールディングス、オキシデンタル・ペトロリアムなどを含むS&P500構成の32社が決算発表を予定しています。

    今週は10日の4月消費者物価など各種物価指標の発表が注目イベントとなりそうです。物価鈍化傾向を確認できれば、早期利下げ期待にも繋がるでしょう。しかしながら、地銀の経営不安が収まらず、米株全体のリスクオフに陥る可能性もあり、総じて一進一退の展開を想定します。

    20230508NYダウチャート.png









    ■外国株・週間注目銘柄

    ・エヌビディア(NVDA) 2-4月期見通しが市場予想以上。自前のAIクラウドサービスを拡充へ

    ・セールスフォース(CRM)  顧客管理ソフト最大手、生成AIのアインシュタインを発表

    ・アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD) AI半導体でエヌビディアを追随へ、マイクロソフトも協力




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