「IwaiCosmo Weekly Letter」
2023年2月20日日本株~円安や底堅さを評価して買い優勢か~
岩井コスモ証券投資調査部
■日本株~円安や底堅さを評価して買い優勢か~
■予想レンジ(2/20〜2/24) 日経平均株価 27,400円~27,900円
先週の日経平均株価は157円安と6週ぶり反落。日米とも上値トライの気配を示しつつも、週末に向け強い米経済指標が相次ぐなか、FRB高官のタカ派発言も重なり金利が上昇、ハイテク株売りが重荷となりました。一方、円安やコロナ禍からの正常化期待を支えに、好業績バリュー株中心に押し目買いが継続、27500円台を維持しました。
東証バリュー指数が最高値を更新、TOPIXが2ヵ月半ぶりに2000ポイントに乗せるなど、過熱警戒を孕みつつも上値追いの兆しが各所散見されます。バリュー株は金利高耐性に加え、3月期末配当も意識されていると見られますが、内外景気の持ち直し期待などから景気敏感、インバウンド等にも物色が広がりを見せ、先高観を支えています。
今週は日米とも4日立ち合い、イベントもやや不足気味で膠着感を強めそうです。米株不安に加え、国内でも機関投資家の決算対策売りが重荷となる一方、円安進行やNISA等からの資金流入が下値を支えると見ます。今回決算では好内容に対する前向き反応が鮮明で、その後もポジティブな傾向が保たれるケースが少なくありません。好業績や株主還元強化の銘柄を中心に選別したいところです。
■日本株~週間注目銘柄~
・三菱UFJ(8306) 収益高水準、利回り等還元姿勢魅力。金利環境も追い風。A
・三菱商事(8058) 収益高水準。バリュー株見直しのなか配当魅力も。A
・信越化学(4063) 上方修正、増配、分割。好業績持続のなか10倍台のPERも魅力。A
・パンパシHD(7532) 33期連続増収益。インバウンド回復や節約志向追い風。A
注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。詳細はアナリストレポートをご参照ください。
■ドル円~日米の金融政策を巡る思惑が焦点に~
■予想レンジ(2/20~2/24)ドル円相場 1㌦=130.00~134.00円
先週は、円安・ドル高進行が加速する展開となりました。次期日銀総裁候補に指名された植田和男氏が「現在の政策は適切」との見解を示したことを受けて、(日銀の)政策変更思惑がひとまず後退したのに対し、FRBによる利上げ長期化観測は強まりをみせたことが背景です。
米国では、前週末の強すぎる雇用統計に引き続き、CPIや小売売上高、PPIなどが挙って上振れし、インフレ圧力の根強さを意識させる格好となりました。FRB高官の発言もヒートアップ、足元では3月FOMCにおける0.5%の追加利上げを見込む向きも現れ、ドル独歩高を後押した模様です。
今週も日米の金融政策を巡る思惑が焦点となる見通しです。国内では、24日に植田氏が自らの考えを話す「所信聴取」が衆議院で執り行われる予定で、ヘッドラインに敏感に反応することになりそうです。一方、米国では22日のFOMC議事録などに関心が向かうと捉えています。■主な注目イベント
◇20日(月)
2月の中国最優遇貸出金利(LPR、10:15)、プレジデントデーの祝日で米全市場が休場
◇21日(火)
20年物利付国債の入札(財務省、10:30)、
2月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(17:15)、独製造業PMI速報値(17:30)、
2月のユーロ圏製造業PMI速報値(18:00)、2月の英製造業PMI速報値(18:30)、
2月欧州経済研究センター(ZEW)の独景気予測指数、2月米製造業PMI速報値(23:45)、
1月の米中古住宅販売件数(22日0:00)
◇22日(水)
1月企業向けサービス価格指数(日銀、8:50)、東証スタンダード上場=プライムストラテジー、
2月独Ifo企業景況感指数、 米FOMC議事要旨(1月31日~2月1日開催分)(23日4:00)、
海外22年11月~23年1月期決算=エヌビディア
◇23日(木)
天皇誕生日で東京市場が休場、 22年10~12月期の米実質国内総生産(GDP)改定値(22:30)
◇24日(金)
1月全国消費者物価指数(CPI、総務省、8:30)、1月全国百貨店売上高(14:30)、
1月の米個人所得個人消費支出(PCE、22:30)、1月の米新築住宅販売件数(25日0:00)
(注)時間は日本時間■米国株~年内利下げの可能性が大きく後退、ディフェンシブシフトがあるか~
■予想レンジ(2/20~2/24) NYダウ 33,000~34,400ドル
2月第3週の米主要株価3指数は小幅にまちまち。週間ベースでNYダウが0.13%安と小幅に3週連続安、S&P500が0.28%安と続落。一方、ナスダック総合は0.59%高と反発となりました。S&P500業種別の週間騰落は、前週上昇したエネルギーが大幅反落。ほか不動産や素材、情報技術など6業種が下落した半面、裁量消費や安定消費、公益、資本財など5業種が上昇しました。週後半は金利上昇やFRB高官のタカ派発言を材料に値持ちが良かったハイテク株が利益確定売りに押された一方、ヘルスケアや安定消費など物色が活発化してディフェンシブシフトが鮮明化しました。今月3日の非常に強かった米雇用統計以降、消費者信頼感指数や1月小売売上高、物価鈍化がペースが思うように進行しないと示唆された1月のCPIやPPIの結果を通じて金融引き締め継続の見方に繋がりました。アトランタ連銀のGDPナウでは1-3月期GDP成長率の予想を1月末時点の0.7%から2.5%に上方修正しました。一方CMEのFEDウォッチによると次々回5月FOMCで利上げ打ち止めが期待されていましたが、6月FOMCで0.25%ポイント以上の利上げ確率(先週末時点)が63%と1ヶ月前の3%から急上昇しました。また、年初に年内の約2回の利下げ可能性を予想していましたが、現在では年内利下げの可能性が大きく低下しました。
今週は20日がプレジデンツ・デーの祝日休場となり4営業日となる中、21日の総合PMIや24日のコアPCEデフレータといった景気先行・物価指標が焦点となりそうです。また22日にはFOMC議事要旨などでFRBの政策姿勢が確認できるほか、23日にはG20財務相・中銀総裁会議がインド・ベンガルールで開催され、各国高官の発言機会にも注目されそうです。金利の上昇や為替市場ではドル安からドル高に転じたため、ハイテク株にとってはここ2月に入って逆風の環境となりました。今週は21日にセキュリティ関連のパロアルトネットワークス、22日に画像処理半導体のエヌビディア、ゲーム開発エンジンのユニティ・ソフトウェア、23日に決済サービスのブロックなどのハイテク・グロース株の決算発表が予定されており、ハイテク物色の流れが継続するのかどうか注目されます。
■外国株・週間注目銘柄
・ASMLホールディングス(ASML)EUV露光装置を唯一製造するオランダの半導体製造装置大手
・ボーイング(BA) 航空サービス業の復活と同時に旅客機受注が回復 黒字化・復配期待
・ビザ(V) 決済サービス大手 国境間取引・米雇用/消費堅調・非現金化など複数の追い風