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2026年7月27日

第511回 アルファベットのキャッシュフローの激変をどう見るか!?

ファンドマネージャー 石原 順 ファンドマネージャー 石原 順



  • クラウド事業の売上高は82%増、受注残は3月末から1割増加


    米グーグル持ち株会社のアルファベット(GOOGL)は22日、20264-6月期の決算を発表した。売上高は1197億ドル(前年同期比24%増)、純利益は前年同期の4倍となる1121億ドルで、いずれも事前の市場予想を上回った。人工知能(AI)需要でクラウド事業が好調だった他、スペースXSPCX)など出資先の株式評価益が業績を大きく押し上げた。

     

     

    ●アルファベットの売上高と純利益の推移

    202690727_①.png

    出所:決算資料より筆者作成

     

    ●アルファベット(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)

    202690727_➁.png

    出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

     

     

    ●アルファベット(週足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)

    202690727_➂.png

    出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

     

     

    主力の検索事業ではAIによる対話型といった新機能がけん引し、広告収入が632億ドルと17%増えた。グーグルが提供する生成AIGemini(ジェミニ)」アプリの月間アクティブユーザー数は95000万人に達した。単体のアプリだけでなく、検索、アンドロイド、ChromeGmailなどの既存サービスへ自然に組み込まれていることが強みとなっている。

     

     

    ●2026年第2四半期の決算ハイライト
    202690727_④.png

    出所:アルファベット発表資料

     

    業績をけん引したのは、業務変革や生産効率を上げるためAIを活用する企業にサービスを提供するクラウド事業だ。売上高は前年同期比82%増の247億ドルだった。さらに、クラウド事業の受注残は5140億ドルと、3月末から1割(500億ドル)増加した。引き続き顧客からの旺盛な需要があることが示された。

     

     

    アルファベットのキャッシュフローは「投資期」に、莫大な設備投資は正当化されるのか?

     

    一見すると力強い決算内容として受け取れるが、発表後、アルファベットの株価は時間外取引で下落した。データセンターの設備投資の拡大も公表し、財務状況の悪化などが嫌気された可能性があるという。アルファベットはAI開発・運用に必要なデータセンターの投資を強化している。同日の説明会では、2026年通年の設備投資を1950億〜2050億ドルと4月時点から150億ドル上積みしたと明らかにした。

    23日の日本経済新聞の記事「アルファベット純利益18兆円、クラウド好調 スペースX上場も恩恵」は、キャッシュフロー(CF)計算書を基に算出したフリーCF(純現金収支)は46月期に433億ドルのマイナスで、2四半期連続の赤字となった。2020年以降は少なくとも黒字が続いていたが、2026年に入って潮目が変わっていると指摘している。

     

    ●アルファベットの設備投資額の推移

    202690727_⑤.png
    出所:アルファベット発表資料

     

    アルファベットのキャッシュフローマトリックスを四半期ベースで確認しよう。

     

    キャッシュフローマトリックスは縦軸に投資キャッシュフロー、横軸に営業キャッシュフローをとったものである。投資キャッシュフローは将来のキャッシュを生み出すために使われる先行投資である。企業が成長している時期にはキャッシュが設備投資等に使われるためキャッシュが出ていき、基本的にはマイナスとなる。投資が進み、キャッシュが稼げるようになると、リターンが生み出され営業キャッシュフローがプラスとなる。

    多くの企業は営業キャッシュフローがプラスで投資キャッシュフローがマイナスであることから、以下の図の右下の領域に入る。その中でも稼ぎよりも投資の方が多い場合には「投資期」に入り、稼ぎのほうが投資よりも大きければ「安定期」 となる。


    企業に投資先がなく、それまでに投資してきたものを売却するようになると投資キャッシュフローはプラスに転じ「停滞期」となる。投資をしなければ自ずと稼ぎも減ってくるため、営業キャッシュフローが減少する「低迷期」に入り、さらに稼ぎが減少すると「後退期」となる。そして営業キャッシュフローがマイナスとなると「破たん期」となる。

     

    ●キャッシュフローマトリックス
    202690727_⑥.png
    出所:筆者作成

     

     

    ●アルファベットのキャッシュフローマトリックス(四半期ベース)

    202690727_⑦.png

    出所:決算資料より筆者作成

     

     

    前述の日本経済新聞の記事で「潮目が変わった」と指摘されているように、「安定期」だったキャッシュフローは今年に入り「投資期」に移行している。テクノロジー企業にとって、AI関連の設備投資の増加は正当化されるのか、莫大な投資負担を上回るリターンが期待できるのか、今後見極める必要がある。

     

     

    ●アルファベット(グーグル)のフリーキャッシュフロー

    202690727_⑧.png

    (負のFCFはグーグルを今では助けるよりも傷つける。一方、設備投資支出の追加$15Bは、他のツルハシ企業に役立つ)

    出所:Samantha LaDuc

     

     

    一方でひとつ指摘しておきたいのはアルファベットの連結営業利益率が向上していることだ。前年同期の32%から34%に高まっており、成長率の向上と収益性の改善を同時に実現していることが見て取れる。AIへの投資とそのインフラがより魅力的な利用率と高い価格設定を生み出していることを示唆しているのかもしれない。

     

     

    メガトレンドフォローVer2.0の売買シグナル(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)

     

    ●SOX半導体指数CFD(日足)

    202690727_⑨.jpg

    出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

     

     

    ●KOSPICFD(日足)

    202690727_⑩.png

    出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

     

     

    ●日経平均CFD(日足)

    202690727_⑪.jpg

    出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

     

     

    ●NYダウCFD(日足)

    202690727_⑫.png

    出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

     

     

    ●S&P500CFD(日足)

    202690727_⑬.png

    出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

     

     

    ●ナスダック100CFD(日足)

    202690727_⑭.png

    出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

     

     

    ●ドル/円(日足)

    202690727_⑮.png

    出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

     

     

    ●ゴールドCFD(日足)

    202690727_⑯.png

    出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

     

     

    日々の相場動向については、

     

    ブログ『石原順の日々の泡』

     

     

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