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2026年2月24日

第490回 スタンレー・ドラッケンミラー:市場は群衆に先駆けて未来を視覚化する少数派に報いる

ファンドマネージャー 石原 順 ファンドマネージャー 石原 順

  • アルコアやサザンカッパーの株式を取得、2025年12月末時点のドラッケンミラーのポートフォリオ

    資産家で著名投資家のスタンレー・ドラッケンミラー氏が運用するファミリーオフィス、デュケーヌ・ファミリーオフィスが2025年第4四半期に、世界最大級のアルミニウム企業であるアルコア(AA)、鉱山会社のサザンカッパー(SCCO)等の株式を新たに保有したことがわかった。デュケーヌが17日にSEC(米証券取引委員会)に提出したフォーム13Fによると、アルコア株を約137万株、サザン・カッパー株を約12万株新たに取得した。

    アルコアは、ペンシルベニア州ピッツバーグに本拠を置く、アルミニウム生産を手がけるメーカーで、アルミの原料となるボーキサイトの採掘からアルミナ精錬、アルミ地金の製造まで一貫して行っているのが強みで、自動車、航空機産業等向けに製品を供給している。1888年の創業以来、世界的なアルミメジャーとして、アルミ地金やアルミナの安定供給において重要な役割を担っている。


    サザンカッパーは、世界最大級の銅埋蔵量を保有する鉱山会社で、ペルーやメキシコを中心に、銅、モリブデン、亜鉛、銀の採掘、製錬、精製を一貫して行っている。銅に関しては世界トップクラスの埋蔵量を誇っており、銅価格が上昇する中、低コストで採掘可能な大規模鉱山を自社保有している点は、競合他社に対する強力な優位性である。


    一方、デュケーヌはアーム(ARM)やバンカメ(BAC)、シティ(C)、メタ(META)、電力のビストラ(VST)を含む30銘柄を売却した。アーム(約16万株)、メタ(約7万株)、エネルギーのビストラ(約23万株)については、前の四半期(第3四半期)に取得して3ヶ月での売却となる。2025年12月末時点でデュケーヌが保有する米国上場株式数は59銘柄と、3ヶ月前(2025年9月)に比べて差し引き4銘柄減少した。


    ●2025年12月末時点のデュケーヌ・ファミリーオフィスのポートフォリオ
    (緑:新規ポジション  オレンジ:全売却)
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    出所:フォーム13Fより筆者作成


    ●デュケーヌ・ファミリーオフィスが保有する上位10銘柄(2025年12月末時点)
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    出所:フォーム13Fより筆者作成


    ●デュケーヌ・ファミリーオフィスが保有する上位10銘柄(2025年9月末時点)
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    出所:フォーム13Fより筆者作成


    12月末時点の上場株式ポートフォリオを評価額順にまとめると、トップは前回同様、テキサス州オースティンに本拠を置く臨床遺伝子検査会社ナテラ(NTR)だった。ただし、保有株数は3ヶ月前に比べて約8万株減少した。前回2位だった希少疾患の研究と開発を行うインスメッド(INSM)は3位に、そして前回3位だったテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ(TEVA)は7位に後退した。


    半導体大手TSMC(TSM)については、保有株数の約3割(22万株)を売却し、持ち高は3ヶ月前の76万株保有から54万株に減少、上場株ポートフォリオの中で9番目の評価額となった。中でも特に取り上げたいのは、アマゾン株(AMZN)とグーグルを傘下に持つアルファベット(GOOGL)の保有株数を増やしたことだ。


    クラウド事業の売上高成長率は約5割、ドラッケンミラーがグーグルの持ち高を増やした理由

    デュケーヌによるアマゾン株の保有株数は2025年12月時点では約84万株と3ヶ月前(9月末時点の保有株数は約43万株)に比べて2倍弱に拡大した。また、グーグルについては38万株と(9月末時点の保有株数は約10万株)4倍弱膨らんだ。

    ●デュケーヌによるアマゾン、アルファベット、TSMCの保有株数の変化
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    出所:フォーム13Fより筆者作成


    AIに対する爆発的な需要を背景にクラウドサービスの拡大が続いている。米クラウド専門調査会社シナジーグループが昨年11月に公開したデータによると、クラウドインフラサービスの売上高は2025年9月末時点で1070億ドル(前年同期比28%増)、そのうち、クラウド大手3社のアマゾン(AMZN)、グーグルを傘下に持つアルファベット(GOOGL)、マイクロソフト(MSFT)で全体のシェアの6割以上を占めている。


    ●2025年Q3のクラウド市場のシェア
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    出所:シナジーグループのデータより筆者作成


    以下はクラウド大手3社のクラウド事業の売上高成長率を示したものである。マイクロソフトのクラウド事業は前年同期比39%増、アマゾンのAWSは24%増だった。一方、グーグルクラウドの売上高は176億6400万ドルと(前年同期比48%)と一年前に比べて5割近く伸びた。


    企業による生成AIプラットフォームや自社開発チップを含むAIインフラへの投資、利用が急増している。先月には、アップル(AAPL)が次世代AIモデルにグーグルのAIモデル「ジェミニ」を基盤として採用すると発表した。グーグルのサンダー・ピチャイCEO(最高経営責任者)によると、ジェミニアプリの月間利用者は7億5000万人を超えたという。

    ●クラウドビッグ3のクラウド事業の売上高の伸び率の推移
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    出所:各種データより筆者作成


    ソフトウェア企業を中心に米国の株式市場が軟調に推移している。とりわけ、オープンAIへの投資を積極的に行っているマイクロソフトは年初来で株価が16%ほど調整している。それに対して、アマゾンの調整率は7%ほど、またアルファベットに至ってはほぼ横ばいの推移が続いている。アマゾンとアルファベット株の保有を増やしたドラッケンミラー氏の狙いはどこにあるのかは分からないが、年初来の各社のパフォーマンスを見る限り現時点では賢明な選択だったと言えるだろう。


    以上、ドラッケンミラーの現物株ポジションの変化を紹介したが、これはドラッケンミラーの運用全体の一部にすぎない。

    スタンレー・ドラッケンミラーは、正しさの頻度よりも利益の大きさを優先する。

    「市場は群衆に先駆けて未来を視覚化する少数派に報いる」

    (スタンレー・ドラッケンミラー)


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    出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター


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    ●S&P500CFD(日足)
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    ●ドル/円(日足)
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    ●ゴールドCFD(日足)
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    出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター


    日々の相場動向については、

    ブログ『石原順の日々の泡』

    を参照されたい。


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