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2024年9月17日

【米国株調査隊#05】ブームはもう終わりなの? 「生成AI市場の今後を調査!」

米国株調査隊・N子 米国株調査隊・N子


  • 調査報告ファイル♯05



    ブームはもう終わりなの?

    「生成AI市場の今後を調査!」


    皆様こんにちは!岩井コスモ証券2018年入社のN子です。上司の気まぐれで米国調査隊を命じられた私が、米国では今何が流行っているの?そもそもどんな銘柄が?というテーマでお届けするこのコラム。新米調査員の私ですので、皆様、隊長のような広い心で報告を受け取って下さると幸いです。

    8月5日、日経平均は急激な株価暴落に見舞われ、過去最大の下落幅を記録しました。令和のブラックマンデーとも呼ばれたこの急落ですが、米国の景気減速懸念が一因とも言われています。また、最悪のタイミングで、米大手機関投資家よりAI関連株への懐疑的なコメントが出され、悪材料が続く展開となっています。

    これまで生成AIブームが世界の株式をけん引してきたこともあり、今後の動向は気になる所です。そこで今回は生成AI市場について改めて調査しました!


    相場の焦点が物価から雇用に


    相場を簡単に振り返ります。8月1日、米国でISM製造業景況指数(米国版日銀短観のようなもの)、翌日に雇用統計が発表されました。どちらも予想を上回る雇用の悪化が確認され、景気後退懸念から米国株は大幅下落。ここ数年のアメリカはインフレがテーマでしたので、悪い経済指標→利下げ期待で株買い、といった「悪いニュースは良いニュース」という捉え方でしたが、今回の雇用統計では、まるで手のひらを返したかのように、急速な景気悪化が業績にネガティブな影響を与えるという懸念から「悪いニュースは悪いニュース」として市場が反応しました。



    その後、中旬にかけて景気の底堅さを確認する指標も確認され、NYダウは最高値を更新するまでに上昇。しかし9月に入り、前月同様ISM製造業指数&雇用統計をきっかけに、再び米国株は調整するなど、一進一退の動きを続けています。


    今後しばらくは、経済指標の結果に振り回される展開が予想されます。ソフトランディングが実現するか、ハードランディングとなるかは見極めが難しいですが、FEDウォッチによると年内3回のFOMCで1%以上の利下げ可能性が高いとされており、景気下支えの準備があることは覚えておきたい所です。



    最悪のタイミングで業界アナリストのコメント


    9月3日、2度目のISMショックで米国株市場が揺らぐ中、JPモルガン、ブラックロックのアナリスト2人から「AIを取り巻く熱狂は行き過ぎ」というコメントが出され、半導体関連株の下落に拍車をかけました。特にAI向け半導体メーカーとして知られる大手エヌビディア株は9.5%の下落となり、一晩で2789億ドル(約40兆5460億円)が吹き飛びました。米1銘柄としては過去最大の下落となります。彼らの主張は「生成AIがまだ幅広い産業で使われていないので、今の株価水準は割高」というものです。果たして本当にそうなのでしょうか?


    発表からまだ2年


    今回のAIブームは、2022年の末に米オープンAI社がGPT-3.5を発表したことから始まっています。冷静に振り返るとまだ2年も経っていません。しかもGPT-3.5が発表されてからわずか3カ月半後にはパラメーターの数が5倍に増えたGPT-4が登場し、再学習が必要となりました。AI自身が成長段階にあり、投資が先行するのは当たり前で、導入した企業の収益化や様々な産業に広がるには早すぎる段階です。


    また、電子情報技術産業協会(JEITA)によると、世界の生成AI市場の需要額は2030年には23年の約20倍である2110億ドルに達すると言われています。生成AIは従来のAIとは異なり、決められた範囲内の作業を行うのではなく、新たなコンテンツを生成するという側面からも、潜在成長性は高いと考えられています。


    今後もAIに関しては様々なコメントが出るかと思いますが、誰にも行方はわかないからこそ、悲観も楽観もし過ぎず、冷静に情報を拾っていくことが大切だと考えます。今回のアナリストの警告に関しては、現時点で投資が先行していることを問題視するのはあまりに近視眼的すぎるため、業績の良い会社は押し目買いのチャンスと捉えて良いのではないでしょうか。


    FOMCにも注目


    米国の金融政策を決定するFOMCが明日(日本時間18日27:00~)開催されます。4年半ぶりの利下げが実施される可能性が高いとされていますが、注目なのはその利下げ幅です。足元では通常の倍である0.5ポイントの利下げ観測が強まっており、先週末の米国株は大幅な利下げを期待した買いが先行しました。金融政策が引き締めから緩和に転換するかもしれない大事な局面ということで、今後の銘柄物色にも変化が起きる可能性があり、こちらも要注目です。

    さて、日本では残暑厳しい日々が続いておりますが、暦の上では彼岸入りが近づいております。暑さ寒さも彼岸までという言葉の通り、相場も気温もすっきりとした秋空が広がって欲しいものです。皆様、くれぐれもご自愛のうえ、お過ごしください。それでは、また次回のご報告で!


    <登場した銘柄>

    米国株
    エヌビディア(NVDA)

    日本株
    今回はご紹介なし


    <過去の調査報告ファイル>

    【#04】米国株、みんな何買ってる? 「4~6月期の人気ランキングを調査!」

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