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2025年7月14日
石原 順
AIによって深刻化する半導体市場の二極化
米半導体大手エヌビディア(NVDA)の時価総額が4兆ドルを超え、史上初の「4兆ドル企業」となった。日本円にすると約560兆円だ。日本やインドのGDPとほぼ同水準の評価を市場から受けているということになる。これは信じられないような時価総額である。トランプ大統領は、暗号通貨は「急騰中」であり、「トランプ関税以来、エヌビディアの株価は47%上昇」したと発言した。
エヌビディアの好業績の一部は、関連企業との株式持ち合いによる循環取引だという指摘もある。また、エヌビディアの主要顧客は自社でチップ開発を行っており、今の業績がいつまで続くのかという不安がある。この動きは2000年のシスコシステムズに近いバブルではあるが、筆者は相場の「実践」では将来の予測などしない。エヌビディアが上がろうが下がろうが、トレンドフォローで相場についていく。
エヌビディア(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
エヌビディア(週足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
エヌビディア(月足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
米国の株式市場では、エヌビディアに加え、マイクロソフト(MSFT)やアップル(AAPL)などの「マグニフィセント7」でS&P500の約3割を占めるという集中が進んでいるものの、4兆ドルの市場評価を受けている企業は他にはない。
マイクロソフト(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
「マグニフィセント7」だけが上がっていて、他の株式はただその中で生き延びているだけだ。「経済は好調だ!株式市場を持っているあなたは幸運だ」と言うが、本当にそうなのか?この7社は急成長しているが、株式市場の残りはひどい状態だ。エヌビディア一銘柄だけで、S&P 500の7%以上、ナスダック100の17%近くを占めている。
エヌビディアはAI革命の最前線に立つ「唯一無二」のAI半導体企業として、大衆から圧倒的な信頼と期待を一身に集めている。AIに特化したGPU(画像処理半導体)の分野では事実上の独走状態にある。四半期毎の売上高も70%前後の伸びを記録しており、エヌビディアに対する市場の期待は高まる一方だ。
日本経済新聞の6月12日の記事「世界の半導体大手3年ぶり最高益、エヌビディア(NVDA)の利益比率4割に 1〜3月」によると、世界の半導体の設計開発や製造を手がける10社の純利益は2025年1-3月期として3年ぶりに過去最高を更新した。純利益額は合計463億ドルと前年同期から41%増えた。
以下は10社の1-3月期(一部は24年12月-25年2月期、2-4月期)の数値をドルベースで集計したものである。エヌビディアやTSMC(TSM)、マイクロン(MU)やAMD(AMD)は利益水準が大幅に拡大したのに対し、スイスのSTマイクロエレクトロニクス(STM)は減益、インテル(INTC)は赤字が拡大した。3年前(2022年)に全体の利益が最高を更新した時は、半導体の供給不足や巣ごもり需要などを背景にスマホやパソコンを前倒しで買い替える人が多く、CPU(中央演算処理装置)やメモリーの販売が拡大した。当時、これらを手がける韓国サムスン電子やインテルが好調で全体に占める2社の利益比率は47%だった。
ところが、2025年は前述のサムスン電子やインテルが不調に喘いでいるのに対し、AI向けの半導体を手がける企業については業績の拡大が加速している。エヌビディアの全体に占める利益比率は約40%(2022年は4%)に高まった。半導体市場をけん引しているキラーアプリケーションがAI(人工知能)に移り変わっていることが各社の業績から鮮明になっている。
TSMC(週足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
マイクロン(週足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
インテル(週足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
STマイクロエレクトロニクス(週足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
半導体各社の業績(エヌビディアは2-4月期、マイクロンは24年12月から25年2月)
出所:日本経済新聞のデータより筆者作成
向かうところ敵なしと思われるエヌビディアであるが、事業リスクとしてどのようなことが考えられるのか。GPUを数多く使っているChatGPTに聞いてみたところ、①高バリュエーションの反動、②中国競合の台頭、③米国の輸出規制・関税強化、④成長鈍化、⑤競争激化と供給チェーンの問題、⑥期待とのギャップの6点が挙がった。このうち、米国の輸出規制強化について考えてみたい。
米国の輸出規制が中国のAI市場にもたらしている二次的影響
5月28日、2026年度第1四半期(2025年2-4月)の決算発表時に行われた決算説明会において、エヌビディアのジェンスン・ファンCEO(最高経営責任者)は、「競争を続ける限られた選択肢を探っている」と述べ、規制に従いながら中国向けの事業継続をめざす意向を示した。一部報道でも、エヌビディアはH20の代わりとなる製品の設計に取り組んでいると伝えられている。
米国の輸出管理についてファンは投資家とのアーニングス・コールの中で次のように述べている。
中国は世界最大級のAI市場であり、世界的な成功への足がかりとなる。世界のAI研究者の半数が中国を拠点としており、中国を制するプラットフォームは世界をリードする立場にある。中国のAIは米国のチップが有る無いにかかわらず前進する。高度なモデルを訓練し、配備するためには計算が必要だ。問題は中国がAIを持つかどうかではない。問題は世界最大級のAI市場がアメリカのプラットフォームで動くかどうかである。中国向けの規制を強化することは、海外で中国を強化し米国の立場を弱めるだけだ。輸出規制は中国の技術革新と規模拡大に拍車をかけている。AI競争はチップだけの問題ではない。世界がどのスタック上で動くかということだ。そのスタックが6Gや量子を含むように成長するにつれ、米国のグローバル・インフラストラクチャーのリーダーシップは危機に瀕している。
米国は中国がAIチップを作れないという前提で政策を行ってきた。その前提は常に疑問視されていたが、今では間違っていたことが明らかになった。中国には巨大な製造能力がある。最終的にはAI開発者を獲得したプラットフォームがAIを獲得する。米国のプラットフォームを強化すべきであり、世界のAIの才能の半分をライバルに追いやるべきでない。
エヌビディアの地域別売上高の推移 出所:決算資料より筆者作成
地域別売上高に占める中国の比率は予想を下回り、前四半期に比べて減少した。第2四半期についても中国向けの収益は大幅に減少することが予想されている。一方、売上高の20%近くを占めるシンガポールに関して会社側は、大口顧客の多くが請求処理にシンガポールを利用しているためだと説明。シンガポール向け売上の99%以上は米国を拠点とする顧客からの注文に対するものであるとし、製品はほぼ別の場所(シンガポール以外)に出荷されていることを明らかにした。
以前からシンガポールが第三国への抜け道となっている可能性が指摘されていた。シンガポール向けが急増した2023年後半から、筆者もこのレポートでシンガポールを経由してその他の地域に流れている可能性があることを取り上げていた。
第375回「AIの指標銘柄エヌビディアとGPUの未来」
第435回「LLM(大規模言語モデル)のコモディティ化とAI支出への疑問」
AIの影響を議論し対話するためのプラットフォーム「AI Frontiers」にクリス・ミラーが「How US Export Controls Have (and Haven't) Curbed Chinese AI (米国の輸出規制は中国のAIをどのように抑制してきたか、そして抑制してこなかったか)」と題する記事を寄稿した。クリス・ミラーは2023年に日本でも発売されベストセラーになった著書「半導体戦争 世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防」の著者である。ミラーは米国による半導体規制が中国にどのように影響を与えていると分析しているのか。米国は、中国に大幅な半導体輸出規制を課してきたが、果たして、これらの規制は目標を達成したのか。一部を抜粋してご紹介する。
中国企業は密輸に頼らざるを得ない。先進的なチップを国内で大量生産できないことが、ファーウェイをはじめとする中国企業が大規模な密輸に頼らざるを得ない理由を説明している。言い換えれば、現在のファーウェイの最大のチップサプライヤーは、中国国内の製造能力ではなく、台湾から違法にチップを調達しているペーパーカンパニーである。
大方の予想では、中国は今後数年間で生産能力を増強する可能性が高い。輸出規制にもかかわらず中国のモデルは進歩した。チップの輸出規制は、中国が先進的なチップを生産する能力に大きな悪影響を及ぼしているのは明らかだ。しかし、そうしたハードウェアの制限が中国製モデルの能力を妨げているかと言えば、意外かもしれないが、答えは「そうでもない」のだ。
アリババやDeepSeekのような中国企業は、大規模言語モデルの品質を評価するための確立されたベンチマークで高いスコアを獲得している。TikTokを所有するByteDanceは、より人々を惹きつける動画を提供するため、内部モデルを訓練することに重点を置いている。技術的なベンチマークは、中国のAIモデルが米国製モデルと比較して大きな能力格差がないことを示唆している。ある意味では、ハイエンドチップを持たないという制約を回避するためにイノベーションを起こしたとも言える。
米国企業ははるかに大規模なクラスターを構築するため、格段に優れたAIシステムを訓練できるようになるだろう。しかし、過去3年間の傾向は、その逆を示唆している。ベンチマークによれば、米国と中国のモデル能力はほぼ互角である。
チップ規制は中国が最先端のモデルを訓練する能力を大きく制限するものではない。ただし、中国企業がモデルを大規模に展開する能力には影響を与えている可能性がある。今年初めにR1モデルをリリースした後、DeepSeekはアクセスを制限せざるを得なかった。おそらく、ユーザーの需要を満たすのに十分な推論計算能力を提供できなかったからだろう。この動きは中国国外ではさらに顕著だ。ファーウェイのAIチップ調達能力が制限されたことで、中国国外でのAIクラウド・コンピューティング機能の提供において、ファーウェイは無視できる存在になった。マレーシアで3,000基のGPUを展開する契約を発表したが、後にマレーシア政府によって撤回されたという経緯がある。中国国外のグローバルなAIインフラは、圧倒的に欧米のチップで構築されており、これは中国の力を大きく制限している。
米国からの輸出規制にもかかわらず、中国は米国企業に匹敵する能力を持つAIモデルを力技で開発した。しかし、そのモデルを広く展開できる能力は持つことが出来ていない。特に、中国がAIインフラを海外に展開する能力は制限されている。米国による輸出規制は、中国が海外に及ぼす影響力にブレーキをかけている可能性がある、それがミラーの見方である。
米半導体業界は、最先端AI技術への中国のアクセス遮断を目的とする厳格な規制強化により、数十億ドル規模の収益を失ってきた。
エヌビディアのジェンスン・ファン CEOは、7月16日に中国の北京で記者会見をする。
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