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2025年2月 3日
石原 順
中国発DeepSeekはAIにとってのスプートニク・ショック!?
トランプ米大統領と半導体大手エヌビディア(VNDA)のジェンスン・フアンCEO(最高経営責任者)が1月31日、ホワイトハウスで面会し、中国の新興企業DeepSeekが開発した高性能の AI(人工知能)モデルや半導体の輸出規制強化などについて議論したことが明らかになった。
トランプは会合の詳細を明らかにしなかったが、フアンを「ジェントルマン」と呼び、「何が起こるかは言えない。良い会合だった」と語った。一方、エヌビディアの広報担当者は「トランプ大統領と半導体やAI政策について議論する機会を得られたことに感謝している」と述べ、「米国の技術とAI分野での主導的立場を強化する重要性について話し合った」と明らかにした。
面会はDeepSeekが注目を集める前から予定されていたとのことであるが、今回の中国発AIモデルについては2人の面会においてはもちろん何かしらの形で話題になっただろう。トランプ政権は2月1日より中国に対して10%の追加関税を発動した。バイデン前政権は2022年からエヌビディアの先端半導体の対中輸出に対して規制をかけてきたが、抜け穴があるということは以前から指摘されており、トランプ政権では規制をさらに強化する方向で検討されている。DeepSeekはもともと中国のヘッジファンドHigh-Flyer社の企業内のプロジェクトとして始まった。半導体およびAI業界に特化した独立系調査分析会社であるSemiAnalysisの1月31日の記事「DeepSeekに関する議論: コスト、真のトレーニングコスト、クローズドモデルへの影響に関する中国のリーダーシップ」によると、High-Flyer社は取引アルゴリズムにAIをいち早く採用していたことが記されている。
High-Flyer社は金融分野以外におけるAIの可能性と、スケーリング能力について早くから気づいており、2023年5月にDeepSeek社を分社化し、より集中的にAI能力を追求するに至った。従業員数は200名弱と見られており、最新モデルである「R1」を開発するのにかかったコストは、わずか560万ドル(日本円にして約8億7000万円)と既存モデルの10分の1程度とされている。
米大手ハイテク企業を中心にさまざまな生成AIサービスがリリースされているが、優秀なAIモデルはグーグルやメタなど、資金力のある一部の米国企業によって独占されているのが現状だ。最先端のAIモデルを開発するためには、最先端のGPUを大量に確保し、高度な技術を投入するための膨大な予算が必要だと考えられていた。しかし、DeepSeekはこの前提を覆したため、AIにとってのスプートニク・ショックだとの指摘もある。
そうした中、米ブルームバーグ通信が報じたところによると、米当局がDeepSeekについて、シンガポール経由でエヌビディアの先端半導体を購入したかどうか調査していることが明らかになった。第三国を迂回することで、米国の輸出規制を回避した可能性がある。既に、米ホワイトハウスとFBI(連邦捜査局)が、東南アジアの仲介企業を通じてDeepSeekが輸出規制のかかっているエヌビディアの先端半導体を購入したかどうか調べているという。
日経新聞の1月31日の記事「DeepSeekのNVIDIA半導体入手経路、米国が調査」によると、DeepSeekからコメントは得られていない一方、エヌビディアの広報担当者は「当社のパートナー企業は適用されるすべての法律を順守している」と述べたという。米国が最先端の半導体の輸出規制をかける中、どのようにGPUを手にしたのかに焦点が集まっている。
筆者は2023年11月に公開されたレポート、第375回「AIの指標銘柄エヌビディアとGPUの未来」の中で、「中国向けの出荷は本当に減少しているのか」という見出しをつけ、エヌビディアの地域別売上高の推移を示し、あくまで推測ではあるものの次のように指摘した。
エヌビディアの地域別売上高の推移出所:決算資料より筆者作成
上のグラフはエヌビディアの地域別売上高を示したものである。昨年以降、米国向け(青)の売上が急増していることがわかる。その一方で、懸念されている中国向け(赤)に関しては、一時大きく落ち込むところがあったが、性能を落とした製品を販売するなどの企業努力もあり、直近では回復してきている。
エヌビディアの地域別売上高(2023年8-10月期)出所:エヌビディアの決算発表資料
筆者が注目したのは、シンガポール向け(薄い緑)の出荷である。2023会計年度の第1四半期からシンガポールという区分が決算発表資料に登場した。それまで「その他」や「アジア太平洋」という括りはあったため、ここに含まれていたと思われる。
このシンガポール向けが今四半期に一年前の5倍に拡大している。特に半導体を大量に消費するような製造業がないシンガポール向けがこれほど伸びているというのは何を意味しているのだろうか。隣国のマレーシアには半導体産業の後工程の工場が集積しているということはあるが、エヌビディアの最先端GPUの需要が急激に増えるような理由としては不十分だ。
あくまで推測であるが、シンガポールを経由してその他の地域に流れている可能性もありそうだ。ウクライナ危機が勃発して以降、インドがロシアの原油を大量に輸入しているのと同様の動きである。数字からの推測に過ぎないが、小国が生き残るための一つの戦略でもある。今後の動向を注視しておきたい。
2022年10月に米商務省から先端半導体の対中輸出規制が出されてからというもの、エヌビディアは規制の網にかからないように性能を落とし、仕様を変更した中国向け製品を開発し、投入してきた。しかし、規制の強化により、こうした商品にも網をかけられた状態になっていた。まだ調査中であり、事態が刻々と変化しているため、確定した話ではないものの、今回以前から指摘していたシンガポール、中国という点のつながりが改めて浮かび上がってきた格好だ。
以下は、昨年11月に発表された2025年度第3四半期末時点の決算発表資料をベースに地域別売上高の推移を更新したものである。直近ではシンガポール向けが台湾(水色)を上回り、米国向けに次ぐ水準となっている。
エヌビディアの地域別売上高の推移(2025年度第3四半期末時点)
出所:各種資料により筆者作成
AIの開発コストは加速度的に低下、アルゴリズムの進歩で10倍の改善も可能
オープンソースのAIモデルが、米ハイテク各社によって開発されてきたプライベートモデルの性能に近づきつつあることはある程度想定されていたようだ。以下はキャシー・ウッド氏率いるアーク・イノベーションが公開しているデータである。オープンAIのChatGPTやアルファベット(GOOGL)のGeminiといったモデルを中国勢が追い上げていることが示されている。
オープンソースモデルがより早く効率化しクローズドモデルの性能を猛追、その先頭が中国勢出所:アーク・イノベーション
では、今後、こうした動きはどう展開するのか。前述のSemiAnalysisの記事を参考に考えてみたい。まず、前提として今回、DeepSeekが発表した560万ドルという数字は、あくまで事前学習(プレトレーニング)を実行するGPUコストだけであり、モデル構築に要した総コストの一部に過ぎない。
SemiAnalysisによると、ヘッジファンドのHigh Flier社は、米国の半導体規制の前2021年に10,000台のA100 GPUを購入しており、これだけでも5億ドル以上を投資したのではないかと指摘している。ハードウェア自体の研究開発やソフトウェアへの設備投資、維持管理にかかる費用などはなかなか数値を的確に掴むことが難しいため除外されているようだ。
なお、事前学習(プレトレーニング)とは、既に学習済みのモデルを利用する手法であり、ニューラルネットワークに新たな層を加え、その追加した層のパラメーターだけを調整することによって別のタスクに転用している。すでにあるモデルに新しい学びを付け加えるイメージだ。
複数のAIラボが莫大な資金を投じてより多くのインテリジェンスを手に入れている。このため、同じ能力を達成するために必要とされる計算量は、年を追うごとに4分の1程度に低下している。オープンAIの元メンバーによって設立された米AIスタートアップのAnthropic社のCEOであるダリオ・アモデイは、アルゴリズムの進歩は加速しており、10倍の改善が可能であると主張している。
一定のトーク数を処理するのにかかるAIモデルのコストの推移出所:セミアナリシス
GPT-4のコストを調査したところ、同様のコスト減少が見られたという。時間と共にコストが減少する割合は小さくなっているが、アルゴリズムの改善と最適化によって約半年ごとにコストが大きく低下していることがわかる。
今回のDeepSeekが公開したR1は非常に優れたモデルであることに異論はなく、より少ないリソースでこれほど早く既存のモデルの能力に追いついたことは素晴らしい。テクノロジーの進化は目覚ましい。今年年末までにAIのコストはさらに大きく低下していくだろう。
さて、DeepSeek はChatGptブームで始まったAIバブルを揺るがすブラック・スワンとなるのだろうか?
【中国のAIセンセーション、DeepSeek R1のニュースは、ほんの数日のうちに、そよ風からフォース5のハリケーンへと変わった。 シリコンバレーやワシントンDCの誰もが、地政学的なプレートをさらに東にシフトさせる革新的な新製品によって、自分たちの世界がひっくり返されようとしているなどとは微塵も思っていなかったことは、今となっては明らかだ。
しかし、それが実際に起こったことなのだ。 それは単に、DeepSeekの最新バージョンがアメリカのベストモデルであるオープンAIの性能に匹敵するか、それを上回るからではなく、より安価で、よりアクセスしやすく、より透明性が高いからである。 これは、地位や収入に関係なく、すべての人のためのAIなのだ。 そして、「青天の霹靂」から突如出現したこのAIは、西側のハイテク大手が競合他社の能力を予測する能力や、ワシントンが世界的な権力に対する掌握を緩め続けるために不可欠な業界をリードする能力に疑問を投げかけている】
出所:『China's DeepSeek AI Moves The Capital Of Tech From Palo Alto To Hangzhou』 ゼロヘッジ
「これらのモデルは、少なくとも米国のモデルと同等またはそれ以上であり、さらに重要なことに、トレーニングと推論のコストと計算能力の要件が大幅に低くなっています。これは、これまでのAI支出に対する重要なプッシュバックです」とゴールドンは述べている。
【ベストセラー「ブラック・スワン」の著者ナシーム・ニコラス・タレブは、人工知能(AI)向け半導体大手エヌビディア株の27日の急落について、AI主導の株価上昇に盲目的に飛び乗った投資家がこれから直面する事態の「ほんの序章に過ぎない」と警告した。
中国のスタートアップ、DeepSeekが高性能AIモデル開発に成功したことを受け、エヌビディア株は27日に17%下落。時価総額は5890億ドル(約91兆円)減と、米企業1銘柄の1日当たりの減少額としては過去最大を記録した。タレブは27日、マイアミで開催された「ヘッジファンド・ウイーク」の際にブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、今後の下落は同日にエヌビディアが記録した2、3倍の規模になる可能性があると語った。
タレブは27日の一部ハイテク株の下落について、「現実を受け入れるための調整の始まりだ。ガラスはもはや無傷ではなく、小さなひびが入っていることが分かったためだ」と指摘した。
従来よりも低コストでAIモデルを開発したDeepSeekの登場により、27日の市場では米大手ハイテク企業がAI分野で優位性を確保できないとの懸念が突然広がり、売り浴びせにつながった。
エヌビディア急落は、同社の先進半導体に対する需要と信頼性の両方が脅かされると解釈されたためだ。タレブはエヌビディアがAI分野で優位性を維持する限り、同社の株価は上昇し続けるとのシナリオに投資家は集中し過ぎていたと指摘。27日の株価下落は、業界のリスクを考慮すると「ごくわずかなもの」だったとも述べた】
出所:DeepSeek巡るエヌビディア急落は「序章」-「ブラック・スワン」著者 1月29日 ブルームバーグ
エヌビディア(週足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
SOX指数(週足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
R1の1トークンあたりのコストは、OpenAIの推論モデルo1より96%低いとバーンスタインのテクノロジーアナリストは推定しており、限られた予算でDeepSeekが成果を上げたことで、テック業界全体のAIへの無駄な支出に対する疑問を引き起こす可能性があると指摘する声もある。
DeepSeekの出現は、米国のテクノロジー企業の「成層圏のバリュエーション」に疑問を投げかける可能性があるとドイツ銀行は言う。DeepSeekショックの衝撃は、今のところはグレースワンだが、米国株にボディ・ブローを放ったことは間違いがない。
ブルームバーグのMark Cudmoreは以前、Deep Seekの登場は世界の成長と生産性にとって素晴らしいニュースだと述べた。しかし、この新しい無料オープンソースの大規模言語モデルは、米国メガ株がAIの研究開発に支払っている多額のプレミアムを損なうものであり、この開発は15年にわたる米国株式市場の例外主義を終わらせるきっかけとなり得ると警告した。
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