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2026年3月10日
大阪ネットサポートセンター 堀池
大阪ネットサポートセンターの堀池です。昨年11月以降、任天堂(7974)やソニー(6758)といったゲーム関連株の株価が低迷しています。原因は、AI需要による半導体不足などの影響で、コンシューマー機(家庭用ゲーム機)の製造原価が高騰し、収益を圧迫するのではないかという懸念です。
本日は、昨年6月に「なかなか手に入らない!」と話題になった最新機種「Nintendo Switch 2(以下、スイッチ2)」を発売した任天堂の現状を中心に、業界全体の動向についてお話しします。
1. 日本版は「世界最安」という極端な価格設定
現在、スイッチ2の価格は日本では4万9,980円(税込)ですが、海外ではおよそ7万円程度で販売されています。実に1.5倍近い価格差です。
これほど差があると日本版を海外へ転売する動きが出てしまうため、任天堂は「日本版の利用言語を日本語のみに限定する」といった異例の対策を講じています。
なぜ、ここまで日本を安くするのか?それは単に任天堂が日本企業だからという理由だけではありません。先代スイッチの全世界での稼働数のうち、約4分の1が日本に集中しているという背景があるからです。
2. 「逆ザヤ」でも売る。3DS時代の苦い教訓とソニーの現状
製造原価は公表されていませんが、現在は売れば売るほど赤字になる「逆ザヤ」での販売に入っている可能性も指摘されています。
実は、コンシューマーゲーム機の逆ザヤ販売は珍しいことではありません。ソニーのプレイステーションシリーズでも、PS3以降は発売時の逆ザヤ販売が常態化していると言われています。任天堂においても、2012年度に上場以来初の赤字を記録した苦い経験があります。当時の「ニンテンドー3DS」の販売不振を打破するため、発売からわずか半年で1万円もの大幅値下げを行ったことが原因でした。赤字を覚悟してでも販売を敢行したのは、「プラットフォームを維持する」という明確な目的があったからです。
ソニーと比べると自社IP(知的財産)が非常に強力な任天堂ですが、それでも他社のソフトメーカー(サードパーティ)の存在は極めて重要です。一度ハードのシェアを失うと、サードパーティが離れ、ソフトが減り、さらにハードが売れなくなる......という悪循環に陥る危険があるのです。
イメージしやすく言うと...
「コピー機を安く販売して、後のインクカートリッジで利益を回収するビジネス」をイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。発売から時間が経ち、減価償却が進めば採算も回復するため、字面ほど過酷な薄利ではないという説もあります。
3. 「ゲーミングPC」という強力な新勢力
世界的なインフレに伴い、業界全体で値上げをしても良いのでは?と感じる方もいるでしょう。しかし、強気に値上げできない切実な理由があります。
それは、近年海外を中心にシェアを伸ばしている「ゲーミングPC」(ゲーム用。30万〜50万円ほどする高性能パソコン)の存在です。
かつて脅威とされたスマホのソーシャルゲームは、手軽なゲーム体験であったため、家庭用ゲーム機とは領域が被りませんでした。しかし、PCでのゲームプレイは家庭用ゲーム機の領域とかなり重複しています。
「こんなに高いなら、いっそゲーミングPCを買えばいいか」というラインを絶対に超えられない。製造原価が高騰する中でも、このジレンマが業界全体、そして任天堂の株価に対する懸念を生んでいると言えます。
4. 結論:私は任天堂を心配していません
株式市場では、極めて薄利(あるいは逆ザヤ)でスイッチ2が売れていることそのものが懸念されています。しかし、私はそれほど心配していません。
最新のスイッチ2は、2025年年末時点で1,737万台販売されています。これは初動半年の数字としては、常軌を逸した記録的な数字です。
そもそも、ゲーム機は「娯楽品」です。買わないと困る人は一人もいません。それなのにこれほど爆売れしているのは、「任天堂のゲームをしたい」「これからも良いゲームを出してくれるだろう」というユーザーの熱狂があるからです。
短期的な利益水準では懸念があるかもしれませんが、視点を変えれば「世界中で任天堂ファンが確実に増えている」。そう捉えることもできるのではないでしょうか。【ご留意事項】 本記事は、特定の銘柄の売買を推奨したり、将来の株価を保証したりするものではありません。記載された内容は執筆時点の情報に基づいた筆者個人の見解であり、投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断と責任で行っていただきますようお願い申し上げます。