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2025年12月 8日
岩井コスモ証券投資調査部
■日本株~金利警戒も上下動のなか値固め進む~■予想レンジ(12/8〜12/12) 日経平均株価 49,700円~51,200円先週の日経平均株価は237円高と小幅続伸、荒い値動きが続きましたが、節目5万円を睨みつつ緩やかな回復トレンドを辿りました。円金利上昇や高値警戒感が重荷となりながらも、「フィジカルAI」などの注目テーマを背景に値強い物色意欲が継続、4日にはTOPIXが史上最高値を更新するなど、年末高への気運も保たれている感触です。10年国債利回りが1.95%と18年ぶりの水準に急騰、不動産や高PERのグロース株への売りを誘う場面がありましたが下押しは限定的。銀行など金融セクターや配当魅力の高いバリュー株への買いが相場を支えました。フィジカルAIへの期待は、設備投資関連中心に自動車、半導体含む電子部品等にも及び、地合い改善に繋がっています。今週は10日(現地)FOMCでの利下げ実施が濃厚。事前の織り込みに伴い、波乱なしと見ますが、翌週日銀会合では利上げ観測が高まっており、ドル安円高反応が警戒を誘う可能性も意識されます。他にも米金利を左右しそうなイベントが多いなか、週末メジャーSQを控えた需給不安もあって、神経質な上下動が継続すると見られます。
■日本株~週間注目銘柄~・三井住友FG(8316)最高益更新が続く、金利上昇追い風、増配・自社株買い・ソニーG(6758) 『鬼滅の刃』効果が追い風、映画・音楽事業の伸び続く・三井物産(8031) LNG 関連事業の好調などで業績見通しを上方修正・キオクシアHD(285A) NAND フラッシュの好需給が継続注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。詳細はアナリストレポートをご参照ください。■ドル円~FOMC結果を見極めへ~■予想レンジ(12/8〜12/12) ドル円相場 1㌦=153.00円~158.00円先週も、円買い・ドル売り優勢の展開となりました。1日の植田日銀総裁の発言をきっかけに今年1月以来となる利上げへの観測が広がる一方、米国では追加利下げ期待が一段と強まったことが背景です。ドル円はおよそ2週間ぶりに154円台前半の円高水準を付ける場面がありました。10年物国債利回りが2%に迫る勢いで上昇、次期FRB議長人事を巡る思惑はドルを買いづらいムードを引き寄せた割には、円の上値は重いものに留まりました。「サナエノミクス」が財政悪化を引き起こすとの警戒が拭えないことや、日本の実質政策金利が突出して低い水準にあることなどが引き続き響く格好となったようです。今週は、FOMC結果(10日)が最大の焦点となる見通しです。0.25%の利下げ実施はほぼ確実視されており、参加メンバーの政策金利見通し(ドット・チャート)やパウエルFRB議長の会見への反応を注視することになりそうです。また、米財務省の「外国為替報告書」が公表された場合には、日本への言及も気になるところです。
■主な注目イベント◇8日(月)10月の毎月勤労統計(厚労省、8:30)、7-9月期GDP改定値(8:50)、11月貸出預金動向、11月景気ウオッチャー調査(14:00)、11月中国貿易統計、フィリピン市場が休場、米3年物国債入札◇9日(火)5年物利付国債の入札(財務省、10:30)、11月工作機械受注額(速報値15:00)、豪中銀が政策金利を決定、9、10月米雇用動態調査(JOLTS)(10日0:00)、米10年物国債入札、植田日銀総裁が英フィナンシャルタイムズ(FT)のイベントに登壇(18:00)◇10日(水)11月の企業物価指数(日銀、8:50)、11月中国CPI、PPI(10:30 )、タイ市場が休場、7~9月期の米雇用コスト指数(22:30)、カナダ中銀が政策金利を決定、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表(11日4:00)、パウエル議長会見(11日4:30)、ブラジル中銀が政策金利を決定◇11日(木)10~12月期法人企業景気予測調査(財務省、8:50)、11月オフィス空室率(三鬼商事、11:00)20年物利付国債の入札(財務省、10:30)、11月投信概況(15:00)、10月期決算=タイミー、フィリピン中銀が政策金利を決定、スイス中銀が政策金利を決定、トルコ中銀が政策金利を決定、米新規失業保険申請件数(22:30)、米30年物国債入札、海外8~10月期決算=ブロードコム◇12日(金) JPX山道CEOの記者会見(15:30)、10月期決算=神戸物産、グロース上場=フィットクルー、株価指数先物オプション10月物の特別清算指数(SQ)算出 (注)時間は日本時間
■米国株~米株続伸 今週は年内最後のFOMCとAI関連決算が焦点~■予想レンジ(12/8~12/12) NYダウ 47,300ドル~48,500ドル前週(12月1日~5日)の米主要3株価指数(カッコは週間騰落率)は、NYダウ(+0.50%)、S&P500種(+0.31%)、ナスダック総合(+0.91%)が揃って続伸し、特にハイテク株や小型株が堅調に推移する展開となりました。週半ばに発表された11月のADP民間雇用者数が予想外のマイナス(3.2万人減)となったことや、新規失業保険申請件数が約3年ぶりの低水準となったことを受け、労働市場の軟化とインフレ沈静化のバランスから、12月のFOMCでの利下げ確率が90%近くまで上昇しました。また、次期FRB議長候補としてハト派とされるハセット氏が有力視されたことも、投資家心理を支える要因となりました。個別では、決算発表を行ったセールスフォースがEPSや利益率の上振れを好感されて急騰した他、マーベル・テクノロジーもAIデータセンター向け需要の強さを背景に買われ、ハイテク株の上昇を牽引しました。またネットフリックスがワーナー・ブラザース・ディスカバリーの主要資産を買収することで合意したとの報道も市場の注目を集めました。一方、サイバーマンデーの売上高は好調だったものの、一部の小売株や、下落基調が続くビットコイン関連株は上値の重い展開となりました。今週(12月8日~12日)は、年内最後となる9-10日開催のFOMCが最大の焦点となります。市場では0.25%の追加利下げがほぼ織り込まれていますが、同時に公表されるドットチャート(政策金利見通し)やパウエル議長の会見で、2026年に向けた利下げペースについてどのような示唆が得られるかが注目されます。経済指標では、9日に求人件数(JOLTS)の発表が予定されていますが、政府機関閉鎖の影響で雇用統計の発表が16日に延期されているため、労働市場の判断材料としては限定的となる可能性があります。企業決算では、クラウドインフラを提供するオラクル、AI半導体を設計するブロードコム、画像生成AIを提供するアドビ、倉庫型量販店のコストコ・ホールセールなどが予定されており、AI需要の持続性や消費動向を確認する上で重要な週となりそうです。
■外国株・週間注目銘柄・アルファベット(GOOGL) バフェット氏率いるバークシャーの新規購入が判明、AI「Gemini3」好評・パランティア・テクノロジーズ(PLTR) バラバラのデータを繋ぎ、意思決定支援する「OS」を提供・キャタピラー(CAT) データセンター向け発電機事業を強化方針、30年以上の毎年連続増配