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2025年12月 1日
岩井コスモ証券投資調査部
■日本株~5万円回復で年末相場への期待高まる~■予想レンジ(12/1〜12/5) 日経平均株価 49,500円~51,000円先週の日経平均株価は1628円高と大幅反発、米国で急速に12月利下げ観測が高まり、各国でハイテク株を軸に修正高の気運が広がりました。米感謝祭休場も影響して後半伸び悩んだものの、東京市場はバリュー、内需、出遅れ株などへの根強い物色意欲も支えとなり、主要国に対する相対優位の流れが継続しています。TOPIXは今月まで8ヵ月続伸、コア30を除く規模別指数や高配当株指数、バリュー指数は今週史上最高値を更新し、幅広い物色姿勢が上値追いを支えています。一方、9-10月に値嵩ハイテク株の異様高で急伸した日経平均は今月4%安と主要29ヵ国中最下位。急伸分の半分程度を剥がした処で、米ハイテク株と同様に反発気運を示しています。好業績や成長期待を支えとした上昇トレンドに回帰しつつあると考えます。今週は週初の植田日銀総裁の発言が注目されるほか、遅延分も含め米経済指標が多数発表されます。米利下げは相応に織り込まれた可能性はあるものの、例年の年末株高傾向が意識されるタイミングにも重なり、戻り継続の可能性が高そうです。国内では配当支払いのピークを迎え、再投資思惑も下値を支えそうです。
■日本株~週間注目銘柄~・三井住友FG(8316)最高益更新が続く、金利上昇追い風、増配・自社株買い・ソニーG(6758)『鬼滅の刃』効果が追い風、映画・音楽事業の伸び続く・三井物産(8031)LNG 関連事業の好調などで業績見通しを上方修正・キオクシアHD(285A) NAND フラッシュの好需給が継続
注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。詳細はアナリストレポートをご参照ください。■ドル円~日米の金融政策を巡る思惑に関心~■予想レンジ(12/1〜12/5) ドル円相場 1㌦=154.00円~158.00円先週は、円売りに歯止めがかかる展開となりました。FRB高官から「ハト派」発言が相次いだうえ、次期FRB議長人事を巡る思惑も手伝って米金利が一段と低下した一方、円安によるインフレ圧力の高まりを警戒して、日銀の早期利上げ観測が再浮上してきたことが背景です。もっとも、円の上値は重いものに留まりました。先般閣議決定された総合経済対策は、緊急性よりも規模を優先したとの印象を拭えない内容となり、「サナエノミクス」が日本の財政悪化を招くとの懸念が改めて意識されたほか、日本の実質政策金利が突出して低い水準にあることも響いた模様です。今週も、日米の金融政策を巡ってどのような思惑が広がるかが焦点となる見通しです。米国では、ISM景況感指数(製造業:1日、非製造業3日)やADP全米雇用調査(3日)など11月分の統計への関心が高く、国内では1日に予定される植田日銀総裁の講演が大いに注目されることになりそうです。
■主な注目イベント◇1日(月) 7-9月期法人企業統計調査(財務省、8:50)、 11月新車軽自動車販売台数(14:00)、植田総裁が金融経済懇談会で挨拶(名古屋市10:00)、記者会見(14:00)、グロース上場=BRANU、11月のレーティングドッグ中国製造業購買担当者景気指数(PMI、10:45)、11月米ISM製造業景況感指数(24:00)、パウエルFRB 議長が講演(2日10:00)◇2日(火)10年物国債入札、11月消費動向調査(内閣府、14:00)、11月国内ユニクロ既存店売上(15:30)、10月のユーロ圏失業率、11月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値、ボウマンFRB副議長が下院金融サービス委員会証言(24:00)、海外決算=クラウドストライクホールディングス◇3日(水)11月レーティングドッグ中国非製造業PMI(10:45)、11月ADP全米雇用リポート(22:15)、9月米鉱工業生産設備稼働率、11月ISMサービス業景況感指数(24:00)、海外決算=セールスフォース◇4日(木)30年物利付国債の入札(財務省、10:30)、2~10月期決算=積水ハウス、10月ユーロ圏小売売上高、米新規失業保険申請件数(22:30)、ボウマンFRB副議長講演(2:00)◇5日(金)10月の家計調査(総務省、8:30)、10月の景気動向指数速報値(内閣府、14:00)、 消費活動指数(日銀、14:00)、グロース上場=FUNDINNO、インド政策金利決定、タイ市場が休場、9月の米個人所得個人消費支出(PCE)物価指数(24:00)、12月の米消費者態度指数(ミシガン大学調べ、速報値)(24:00)(注)時間は日本時間
■米国株~AIトレード復活、ブラックアウト期間入り、PCEとIT決算注視~■予想レンジ(12/1~12/5) NYダウ 47,000ドル~48,500ドル前週(11月25日~29日)の米主要3株価指数(カッコは週間騰落率)は、感謝祭の祝日を挟んだ変則的な日程の中、ダウ平均(+3.2%)、S&P500種(+3.7%) 、ナスダック総合(+4.9%)が揃って堅調に推移し、週間ベースで大幅反発する展開となりました。週初は国家経済会議(NEC)委員長のハセット氏が次期FRB議長の有力候補に浮上したとの報道を受け、市場では過度なインフレ懸念や金利上昇懸念が後退しました。これに伴い、12月のFOMCでの利下げ確率が約80%まで上昇、投資家心理が改善しました。個別ではグーグルの最新AIモデル「Gemini 3」への高評価や、メタがグーグルのAI半導体(TPU)を採用するとの報道を背景に、アルファベットが連日で最高値を更新するなどハイテク株の一角が相場を牽引しました 。一方で、エヌビディアは競争激化への懸念から上値の重い場面も見られましたが、AIサーバー需要の強さを背景に押し目買いが入りました。週末29日のブラックフライデー(短縮取引)は薄商いでしたが、電子商取引の好調さが伝わり、アマゾンなどの小売関連株が買われ、主要指数は月間の高値圏で取引を終えました。今週(12月2日~6日)は、12月9-10日開催のFOMCを目前に控え、ブラックアウト期間(金融当局者の発言禁止期間)に入る前の重要な経済指標や企業決算に注目が集まります。決算発表では、2日にクラウドストライクが、3日にセールスフォースが予定され、AI関連需要の強さや企業・政府のIT支出動向を把握する指標となりそうです。経済指標では、週初に「サイバーマンデー」の売上動向が焦点となり、インフレ下における個人消費の底堅さが改めて試されます。また12月5日発表予定の9月のPCEデフレーター、インフレ沈静化の傾向が確認されれば、12月の利下げ観測を後押しする可能性があります。なお本来であれば12月5日の雇用統計の発表は見送られる見通しで、10月分と11月分がまとめて12月16日に発表される予定となっています。
■外国株・週間注目銘柄・アルファベット(GOOGL)バフェット氏率いるバークシャーの新規購入が判明、AI「Gemini3」好評・パランティア・テクノロジーズ(PLTR)バラバラのデータを繋ぎ、意思決定支援する「OS」を提供・アマゾン・ドット・コム(AMZN)前回決算でAWSの成長が再加速、25年の年末商戦にも期待