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2025年11月17日
岩井コスモ証券投資調査部
■日本株~ハイテク売り一巡睨む~■予想レンジ(11/17〜11/21) 日経平均株価 49,500円~51,500円先週の日経平均株価は100円高と小反発。米政府閉鎖解除に向けた動きを好感し、木曜までに1000円超上昇したものの、週末には厳しい出尽くし反応からほぼ往って来いの展開となりました。ハイテク株売り再燃の一方、銀行等バリュー株への見直し買いや決算好感の流れが途切れず、TOPIXは2%弱上昇。最高値圏を維持しています。ほぼ出揃った企業決算では全体の3割の企業が通期予想を上方修正、下振れの1割を大きく上回り、プライム上場の予想経常益は4%程増額されました。TOPIXの一株利益(EPS)は過去最高を突破し、健全なインフレ経済の下、着実な収益力向上が確認されています。関税影響の和らぐ来年度に更なる業績回復を言及するケースも散見され、ファンダメンタルズ改善を背景とした、早期出直りの期待が高まります。今週は米エヌビディア決算を受け、ハイテク株調整に歯止めが掛かるかが注目されます。また政府閉鎖中の景気影響を睨み、各種経済指標に過敏な反応を示す場面もありそうです。国内的には決算一巡で緩慢な値動きが想定されるものの、個別精査の進展で業績への前向き評価が高まる可能性もあり、底堅い展開は保たれそうです。
■日本株~週間注目銘柄~・三菱UFJ(8306) 最高益更新が続く、金利上昇追い風、増配・自社株買い・三菱重工業(7011) 防衛関連のトップ企業、次世代原発でも有力・阪急阪神(9042) 万博効果が大きく、業績予想を上方修正・レゾナック(4004) 半導体後工程材料で複数の高シェア製品を抱えている注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。詳細はアナリストレポートをご参照ください。■ドル円~米景気動向注視し動きづらい地合い~■予想レンジ(11/17〜11/21) ドル円相場 1㌦=152.00円~155.50円先週は、154円台を中心にドル堅調地合いが継続しました。過去最長の米政府機関閉鎖が解除に向かい、リスクオンの流れが保たれた一方、155円接近場面では日米通貨当局のけん制姿勢が意識され、さらなる円売りを躊躇するムードも強まりました。解除決定後に株安を意識した短期円買いを交えつつもレンジ取引を維持しました。日米金利差が縮小に向かうなかでの円安・ドル高進行は、昨年7月の介入前夜に酷似しているとの声が高まりをみせています。これまでの日米通貨当局者の発言を踏まえると、円安がさらに進むようなら高市政権も日銀の追加利上げを容認せざるを得ないとの見方が広がることになりそうです。今週は、米国サイドの材料を改めて吟味することが肝要と捉えています。米政府再開に伴い、今後公表される政府統計への警戒を拭えず、10月FOMC議事録(19日)を見極めたいとの向きも少なくないと思われます。不透明感から利下げ観測がやや後退するなど、強弱感が交錯。上下双方に動きづらい地合いが続きそうです。
■主な注目イベント◇17日(月)7-9月期国内総生産(GDP)速報値(内閣府、8:50)、10年物物価連動国債入札(10:30)、9月の鉱工業生産確報値(経産省、13:30)、名証ネクスト上場=ハンワホームズ、11月の米ニューヨーク連銀製造業景況指数(22:30)、ウィリアムズNY連銀総裁が講演(23:00)◇18日(火)10月の訪日外国人客数(日本政府観光局、16:15)、10月米鉱工業生産設備稼働率(23:15)、11月全米建設業協会(NAHB)住宅市場指数 ◇19日(水)9月の機械受注(内閣府、8:50)、10月の貿易統計(財務省、8:50)、20年国債入札、日比野日証協会長会見(14:30)、4~9月期決算=SOMPO、MS&AD、東京海上、インドネシア中銀、政策金利を決定、10月英消費者物価指数(CPI)、9月ユーロ圏経常収支、10月米住宅着工件数(22:30)、米FOMC議事要旨(10月28~29日開催分)(20日4:00)、20年債入札、ウィリアムズニューヨーク連銀総裁が講演(20日4:00)、海外決算=エヌビディア◇20日(木)日銀小枝淳子審議委員が挨拶(10:30)記者会見(14:30)、11月中国LPR(10:00)、11月米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(22:30)、10月米中古住宅販売指数(21日0:00)◇21日(金)10月の全国CPI(総務省、8:30)、東証グロース上場=ノースサンド、11月英PMI(速報値)、独PMI、ユーロ圏PMI、仏PMI、米PMI(速報値)(23:45)、ウィリアムズニューヨーク連銀総裁が基調講演(21:30)◇22日(土)20カ国地域(G20)首脳会議(ヨハネスブルク、23日まで)(注)時間は日本時間
■米国株~今週はエヌビディア決算(19日)がAIブームの持続性を占う~■予想レンジ(11/17~11/21) NYダウ 46,400ドル~48,200ドル前週(11月10日~14日)の米主要3株価指数は、ダウ平均が+0.34%、S&P500種が+0.08%、ナスダック総合が▲0.45%とまちまちの展開となりました。週初10日は、史上最長となった政府機関閉鎖の解除に向けた期待からリスクオンムードが広がり、ハイテク株主導で相場は上昇しました。しかし、翌11日にはソフトバンクグループが保有するエヌビディア株の全売却を発表したことなどを受け、AI関連銘柄が売られ、相場は高値圏でのローテーションの動きが強まりました。週半ばにかけてダウ平均は連日で史上最高値を更新しました。しかし13日には、人工知能(AI)関連の設備投資のROI(投資対効果)への懸念や、複数のFRB高官から12月の利下げに慎重な見方が相次いだことで、投資家心理が急速に悪化。つなぎ予算が成立し政府機関閉鎖が正式に解除されたものの、週末にかけては金融政策の先行き不透明感とAI関連銘柄のバリュエーションへの不安が上値を抑える展開となりました。米企業決算は11月14日時点でS&P500構成企業の91%が発表を終え、そのうち83%がアナリスト予想を上回る利益を報告しており、企業業績の堅調さが確認されています。今週は、政府機関の再開に伴い、発表が遅れていた経済指標の公表スケジュールに注目が集まります。市場では、延期されていた9月分の米雇用統計が20日にも発表される予定です。また、19日にはFOMC議事録(10月28-29日開催分)の公表が予定されており 、12月の追加利下げの可能性を探る上で内容が精査されます。主要企業の企業決算では18日にホーム・デポ、19日にターゲット、20日にはウォルマートなど、個人消費の動向を探る上で重要な小売大手の発表が続きます。中でも最大の注目は、19日に予定されているエヌビディアの決算発表です。先週はAI関連銘柄のバリュエーションに対する懸念が強まる場面もありましたが、同社の決算内容とガイダンスが、AI投資サイクルの持続性に対する市場の信頼感を回復させ、ハイテク株の勢いを取り戻すきっかけとなるか試される重大な局面となります。
■外国株・週間注目銘柄・パランティア・テクノロジーズ(PLTR) バラバラのデータを繋ぎ、意思決定支援する「OS」を提供・アマゾン・ドット・コム(AMZN) 前回決算でAWSの成長が再加速、25年の年末商戦にも期待・アーム・ホールディングス(ARM) 新技術の半導体設計基盤がAI半導体の省電力化に貢献