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2026年10月26日
ファンドマネージャー 石原 順
バークシャーがメタに出資!?アベル体制で進むテクノロジー分野への投資
日本経済新聞の23日の記事「世界AI株安メタが拍車、信用不安の波が大手に マネー逃避で金利は低下」は、直近、世界の株式相場が軟調な動きとなったきっかについて、米メタプラットフォームズ(META)が打ち出した巨額の投資計画があると指摘している。人工知能(AI)関連企業の投資が続くかどうか、市場が不安視し始めており、投資マネーは安全資産とされる国債に振り向けられ、金利の低下も世界的に進んでいる。
●メタ・プラットフォームズ(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
メタ・プラットフォームズは21日、2026年第3四半期(2026年7-9月期)の決算を発表すると同時に、今期(2026年12月期)の設備投資見通しが1350億〜1450億ドルになりそうだと明らかにした。下限は従来の1300億ドルから50億ドル引き上げられた。今年度も高水準の設備投資が続く見通しだ。
●メタ・プラットフォームズの設備投資額の推移 出所:決算資料より筆者作成
このためメタ・プラットフォームズは資金調達を急いでいる。バロンズ紙の22日の記事「Meta Eyes an Early Equity Deal for Its AI War Chest--and Berkshire Could Be a Buyer(メタはAI開発資金の早期株式取引を視野に入れており、バークシャーが買い手となる可能性もある)」によると、早ければ今後数週間以内に400億ドル規模の株式発行に踏み切る見通しだという。 メタ・プラットフォームズが発行する30年物の社債利回りは7%を超えており、債券市場への依存を続けることはコスト増のリスクを伴う。アンソロピックのIPO(新規上場)など、AI業界全体で数兆ドル規模の資金需要が見込まれる中、市場資金をいち早く取り込みたい狙いだ。
その資金の出し手として米投資会社のバークャー・ハサウェイ(BRKB)の可能性が伝えられている。バークシャーの参加は現時点で確定的なものではなく、条件次第の流動的な要素を残しているが、3600億ドル超の手元キャッシュを持つバークシャーであれば、400億ドル全額なのかその一部なのか、いずれにせよ投資することは難しくない。
●バークシャー・ハサウェイの現金残高とNYダウの推移
出所:各種データより筆者作成
バークシャーのヘッジとしての役割は続くのか?
AI関連株が大幅に調整を迫られる中、バークシャー・ハサウェイ株が上値追いの展開となっている。先月5日にフィナンシャル・タイムズ紙に掲載されていたオピニオン記事「Why Berkshire Hathaway might be an active hedge(なぜ、バークシャー・ハサウェイがアクティブヘッジとなるのか)」は積極的なヘッジ効果が期待できる資産のひとつとしてバークシャー・ハサウェイを取り上げた。
●バークシャー・ハサウェイB株(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
●バークシャー・ハサウェイB株(週足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
バークシャーの企業文化には積極的なヘッジ機能が組み込まれており、長年にわたり、数々の優良案件が経営難の局面でバークシャーに持ち込まれてきたのは、同社が迅速に対応できる資金力と企業文化を備えているからだと指摘。金融市場の状況が悪化した場合でも、バークシャーは豊富な資金を魅力的な価格で優良資産に投資できる体制を整えている。
バークシャーが持つエネルギーネットワークは、米国で消費される天然ガスの15%を供給し、鉄道事業は鉄道貨物輸送全体の28%を担っている。保険事業は業界で3位という強力な地位を占めている。これらは投資家を市場のタイミングを計るという不可能な作業から解放してくれると述べている。
バークシャーは14日、米ナスダック市場に上場するイタリアのテック企業、ベンディング・スプーンズ(BSP)に、追加で3億3000万ドルを投資することで合意した。第三者割当で、1株33ドルで普通株1000万株をバークシャーに発行する。バークシャーは7月、ベンディング・スプーンズがIPOをした際に6億ドル出資していた。追加の出資によりバークシャーの持ち分は4%に拡大する。
●ベンディング・スプーンズ(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
ミラノに本拠を置くベンディング・スプーンズは2013年の創業、既存のテクノロジー企業を買収し、事業運営を抜本的に見直して収益性を高めることで事業を構築してきた。米AOL、クラウド型データベースプラットフォームのAirTable、オンラインホワイトボードツールのMiro、メモアプリのエバーノートなど50社以上を買収してきた。
ブルームバーグの14日の記事「バークシャー、伊テック企業に3.3億ドル追加投資-株価一時55%高」によると、ベンディング・スプーンズの共同創業者で企業買収責任者のフランチェスコ・パタルネッロ氏は「M&A(合併・買収)の機会を継続的に検討しており、案件候補は引き続き豊富だ」と述べ、投資によりさらなる買収を進める上で財務面の柔軟性が高まると説明した。
先月末から今月にかけて、バークシャーは米住宅建設会社のレナー株(LEN)の持ち高を増やしている。住宅建設業界のセンチメントは弱く、レナーを取り巻く市場環境は決して明るいとは言えない。納入実績と利益率は低迷しており、住宅ローン金利の高騰が住宅需要を抑制している。しかし、そのブランドは健在だ。バークシャーが米国第2位の住宅建設会社であるレナーへの出資比率を積み増していることは、低迷する米国住宅市場における長期的な回復への賭けとなる。
●レナー(クラスA日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
●バークシャーによるレナー株の保有(クラスA・B合計)
出所:決算資料より筆者作成
バークシャーは6月、米住宅建設大手テイラー・モリソン・ホームを約1兆円で買収した。グレッグ・アベルCEOは今月2日のCNBCとのインタビューで、米国の住宅建設業界に「すぐに回復する兆しは見られない」としながらも、アメリカンドリームは今後も存在し続けるため、テイラー・モリソンは5年から10年後には「非常に強力な資産」になると予想していると述べた。
バークシャーの傘下には、2003年に買収したクレイトン・ホームズ、世界最大規模の床材メーカーのショー・インダストリーズ、屋根材メーカーであるジョンズ・マンビル、高級塗料ブランドのベンジャミン・ムーアなどがある。バークシャーの住宅関連投資は素材・製造段階から住宅バリューチェーン全体へと拡大している。バークシャーは住宅建設市場で既にかなりの存在感を確立しており、今回のレナー株の買い増しはその戦略の延長線上にある。
バークシャーは今年6月にアルファベット(GOOGL)が実施した8500億ドル規模の株式発行でも100億ドル分を取得した。6月末時点でのバークシャーによるアルファベットの保有株数は約1億598万株だった。時価評価額でみた上場株の保有ランキングでは、アップル(AAPL)(全体の22%)、アメリカン・エキスプレス(AXP)(17%)に次ぐ3位となった。
●アルファベット(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
●バークシャーが保有する上場株式上位10銘柄(2026年6月末)
バークシャーによるメタへの投資が実際に行われるかどうかはこれからの発表を待ちたいが、グレッグ・アベル新体制の下、ハイテクやデジタルといった分野への投資が増えていくであろうことは想定される。レナー、ベンディング・スプーンズ、メタへの投資はバラバラのように見えるが、豊富な資金を魅力的な価格で優良資産に分散投資できる体制がある限り、バークシャーの強さは続くだろう。
メガトレンドフォローVer2.0の売買シグナル(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
●日経平均CFD(日足)
●NYダウCFD(日足)
●S&P500CFD(日足)
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●ドル/円(日足)
●NY原油CFD(日足)
●ゴールドCFD(日足)
日々の相場動向については、
ブログ『石原順の日々の泡』
https://ishiharajun.wordpress.com/
を参照されたい。
石原順 プロフィール1987年より株式・債券・CB・ワラント等の金融商品のディーリング業務に従事、1994年よりファンド・オブ・ファンズのスキームで海外のヘッジファンドの運用に携わる。為替市場のトレンドの美しさに魅了され、日本において為替取引がまだヘッジ取引しか認められなかった時代からシカゴのIMM通貨先物市場に参入し活躍する。相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や海外情報ネットワークには定評がある。現在は数社の海外ファンドの運用を担当する現役ファンドマネージャーとして活躍中。