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2026年8月24日
ファンドマネージャー 石原 順
アルファベットへの投資によってつながったバフェットとマスクという2つの点
ビジネス・インサイダーの21日の記事「イーロン・マスク、ついにウォーレン・バフェットを株主に迎える -- ある意味で」は、米テスラのCEOイーロン・マスクは長年にわたり、ウォーレン・バフェットを株主として迎えたいと望んできたが、その願いがある意味でついに実現したと伝えている。米投資会社のバークシャー・ハサウェイ(BRKB)がアルファベット(GOOGL)株の一部を保有し、アルファベットがスペースX(SPCX)株の一部を保有しているという構造に基づくと、6月30日時点で、バークシャーはスペースX株の約0.04%を間接的に保有しているという。
●アルファベット(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
●アルファベット(週足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
バフェットは、2023年のバークシャーの株主総会でマスクについて、「途方もなく優秀な男」と評価した。「彼は不可能な仕事に挑むのが好きで、彼の夢には強固な基礎がある。そして、実際にそれを何度も成し遂げてきた」と、その実行力を称え、テスラ(TSLA)を成功させた実績を高く評価していた。
●テスラ(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
一方で、マスクの破天荒な振る舞いや、リスクを顧みない姿勢には懐疑的だった。バフェットは「他社の参入を防ぐ強固な参入障壁(モート)を持つ企業」を好むが、マスクはこれを「時代遅れだ。重要なのはイノベーションのペースだ」と批判したことがある。
これに対しバフェットは、バークシャーが保有するシーズ・キャンディーズを例に取り上げ、「イーロンがどんなに優秀でも、キャンディー業界の我が社の堀をひっくり返すことはできないだろう」と反論、マスクの才能を認めつつも、自分たちの投資対象としては選ばないという姿勢を示してきた。
14日に公開されたフォーム13Fによると、バークシャーは6月末時点でアルファベット株を約1億598万株保有している。保有する株数は3ヶ月前に比べて1.8倍、時価評価額は2.3倍の約377億ドルだった。時価評価額でみた保有ランキングでアップル(AAPL)(全体の22%)、アメリカン・エキスプレス(AXP)(17%)に次ぐ3位に浮上した。
●バークシャー・ハサウェイが保有する上場株式上位10銘柄(2026年6月末)
出所:フォーム13Fより筆者作成
●バークシャー・ハサウェイの2026年6月末時点の保有銘柄と2026年3月末時点の保有銘柄
8日に発表された4-6月期のキャッシュフロー計算書によると、バークシャーは15四半期ぶりに株式を買い越した。株式取得額234億ドルに対し、売却額は36億ドルと、197億ドルの買い越しだった。差し引きで取得額が上回るのは2022年7-9月期(36億ドルの買い越し)以来となる。6月にアルファベットが実施した増資でバークシャーが100億ドルを引き受けたためだ。
●バークシャー・ハサウェイの株式売買動向
出所:決算資料より筆者作成
●バークシャー・ハサウェイB株(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
●バークシャー・ハサウェイB株(週足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
バフェットは、かねてより事業内容に対する理解が難しいものには投資しないと公言しており、テクノロジー株への投資に対しては慎重な姿勢を取ってきた。しかしその一方で過去、アルファベット株への投資機会を逃したことについて「クリックされても自分たちに実質的なコストはかからないというのは、本当に優れたビジネスだ。私は創業者たちを知っていたし、いくらでも質問したり、調べたりする機会もあったのに、チャンスを逃してしまった」と述べていた。
アルファベットへの投資については、バフェットが後押ししたと伝えられている。フォーブスの17日の記事「バークシャー・ハサウェイが買い越しに転換、バフェットがアルファベットを後押し」は、先月のCNBCのインタビューにおいてバフェットが、「彼(グレッグ・アベル)が承認しないことを私はしない。私が承認しないことを彼はしない。我々は常に話し合っているが、決めるのは彼だ」と述べた。
市場規模は2030年代に162兆円に拡大、一般の人々が宇宙ビジネスを利用する日も近い!?
スペースXは5日、上場後初となる2026年4-6月期決算を発表した。売上高は前年同期比92%増の78億1400万ドル。最終損益は5億4100万ドルの赤字(前年同期は10億ドルの赤字)だった。売上高と最終損益は市場予想を上回った。人工知能(AI)やロケット部門の赤字を通信サービスで補う構図が続いている。
●スペースXの売上高と最終損益の推移
直近、スペースXの株価は公開価格(135ドル)程度で推移するなど不安定な動きとなっている。収益性が明確でない成長期待型の企業の場合は、初値で評価されても公開後のパフォーマンスが芳しくないというケースが多々見られる。IPOの成功は市場のボラティリティや金利環境、マクロ経済情勢に左右されやすく、タイミングや需給環境も重要だ。
●スペースX(2時間足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
一方でスペースXは政府契約獲得や規制緩和では大きな勝利を重ねている。21日のウォール・ストリート・ジャーナルの記事「スペースXが「連勝」、政府契約獲得・規制緩和で」はスペースXについて、宇宙へのペイロード(積載物)の製造、打ち上げ能力に優れ、米軍や情報機関にとって頼れるパートナーとなっていると伝えている。
グローバルな宇宙経済の規模は2025年時点で6260億ドル(約102兆円)に達し、2034年までに1兆ドル(約162兆円)を突破すると予測されている。7月9日のフォーブスの記事「スペースXの先にある、はるかに大きな宇宙経済」が、宇宙、衛星産業に特化した世界的な市場調査会社、ノバスペース(Novaspace)の最新の宇宙経済レポートを引用したものだ。
記事では、宇宙における活動は何年も前から加速しており、5年前なら不条理に思えたほどのペースで新興企業がユニコーン企業の評価額を達成しており、これらの企業の一部は、スペースXのおかげで存在している。スペースXが主導した安価で日常的な打ち上げへの移行により、10年前には存在し得なかった、まったく新しいビジネスのカテゴリーが成立するようになったからだと指摘している。
ライト兄弟が初めて空を飛んだとき、飛行という行為が見世物に過ぎなかったのが、いつの日か一般の人々が何も考えずに利用するものになったという歴史を例に取り、宇宙ビジネスは何十年もの間、同じ「中間」の状態、つまり「素晴らしいが、まだ当たり前ではない」という状態に置かれていた。しかし、今、宇宙技術が私たちをどこへ連れて行ってくれるかをようやく想像できる段階に達し、それを形にするための資本と確信が、史上初めて揃ったと結んでいる。
メガトレンドフォローVer2.0の売買シグナル(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
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日々の相場動向については、
ブログ『石原順の日々の泡』
を参照されたい。
石原順 プロフィール1987年より株式・債券・CB・ワラント等の金融商品のディーリング業務に従事、1994年よりファンド・オブ・ファンズのスキームで海外のヘッジファンドの運用に携わる。為替市場のトレンドの美しさに魅了され、日本において為替取引がまだヘッジ取引しか認められなかった時代からシカゴのIMM通貨先物市場に参入し活躍する。相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や海外情報ネットワークには定評がある。現在は数社の海外ファンドの運用を担当する現役ファンドマネージャーとして活躍中。