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2026年8月17日
ファンドマネージャー 石原 順
TSMC、アマゾンが上位に、ドラッケンミラーの2026年6月末のポートフォリオ
著名投資家のスタンレー・ドラッケンミラーが運用するファミリーオフィス、デュケーヌ・ファミリーオフィスが4-6月期にアルファベット(GOOGL)やメタ(META)、テスラ(TSLA)を含む44銘柄を新たに取得したことがわかった。
デュケーヌが14日にSEC(米証券取引委員会)に提出した2026年第2四半期末時点のフォーム13Fによると、6月末時点の保有株数残高はアルファベット33万6300株、メタ5万株、テスラ12万6000株だった。
6月末時点の保有数は89銘柄と前期末(2026年3月末)より21銘柄増加した。上記に加え、半導体のAMD(AMD)、中国大手ハイテク企業のバイドゥ(BIDU)、米住宅建設のDRホートン(DHI)、デルタ航空(DAL)、データセンターのエクイニクス(EQIX)、メディア企業のFOX(FOX)なども新規保有した。
一方、前期(2026年1-3月期)に取得したブロードコム(AVGO)19万5955株、インテル(INTC)41万1400株、マイクロン・テクノロジー(MU)2万3400株については保有する株式を全て売却した。また、中南米のアマゾンと言われ、中南米においてeコマースなどを手がけるフィンテック企業のメルカドリブレ(MELI)についても全株(2766株)を手放した。
●2026年6月末時点のデュケーヌ・ファミリーオフィスのポートフォリオ
(緑:新規ポジション オレンジ:全売却)
出所:フォーム13Fより筆者作成
前回4位だったTSMC(TSM)はついては持ち高を増やし(49万5280株 → 58万9680株へ増加)全体のポートフォリオの中で3位に浮上した。アマゾン(AMZN)は前期に保有を減らしていたが、再び保有株数を増やし、6月末の保有株数は約100万株で5位となった。また、今回新たに取得したFOX(FOX)は8位に入った。取得株数は283万7200株で全体の3%に相当する。
●TSMC(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
●TSMC(週足)
●デュケーヌ・ファミリーオフィスが保有する上位10銘柄(2026年6月末時点)
●デュケーヌ・ファミリーオフィスが保有する上位10銘柄(2026年3月末時点)
クラウド企業による30兆円規模の新たな投資は新たな利益を生み出すのか?
米クラウド専門調査会社のSynergy Research Groupは7月30日、企業のクラウドインフラストラクチャサービスに対する支出が、第2四半期時点で前年同期比430億ドル以上増加し、1430億ドルに達したと発表した。前年同期比での伸び率は過去8年間で最高となる43%に達した。11四半期連続のプラスとなり、この11四半期で市場規模は2倍に拡大した。
高い伸びを示している背景にあるのがAI(人工知能)技術だ。AIがより幅広いクラウドサービスにおいて機能の強化と高い成長を促している。また、過去2四半期において、世界市場における米国のシェアが拡大しているという。市場シェアトップのアマゾン(AMZN)のクラウドサービスであるAWSのシェアは28%に達しており、マイクロソフト(MSFT)のアジュールとグーグル(GOOGL)のグーグル・クラウドを加えた3つのサービスで市場全体の7割近くを占めている。
デュケーヌが今回株式を取得したアルファベット、そして持ち高を増やしたアマゾンの直近の決算を確認しておこう。
アルファベットが7月22日に発表した2026年4〜6月期(第2四半期)決算は、売上高と純利益が過去最高を更新した。クラウド事業の売上高は前年同期比82%増、営業利益は3.1倍に拡大した。クラウド事業の成長率はアマゾンを上回っている。クラウド事業の受注残は5140億ドルと、3月末から1割増えた。
●アルファベットの売上高と純利益の推移
出所:決算資料より筆者作成
●アルファベット(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
●アルファベット(週足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
アマゾンが7月30日に発表した第2四半期(2026年4-6月)の売上高は前年同期比20%増の2006億600万ドル、純利益は3.4倍の626億4700万ドルだった。AI向けクラウド事業の成長が加速したほか、出資する米AI新興企業アンソロピックの株式評価益が純利益を押し上げ、純利益は過去最高となった。
AWSの売上高は前年同期比37%の422億ドルと18四半期ぶりの高い成長率を記録した。増収率は前期(2026年1-3月)の28%増から9ポイント高まり、2022年以降で最高となった。営業利益は64%増の166億ドルだった。アマゾン全体の売上高に占めるクラウド事業の割合は約21%であるが、営業利益では約60%を占める稼ぎ頭だ。
●アマゾンの売上高と純利益の推移
●アマゾン(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
●アマゾン(週足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
アマゾン、アルファベットともに2026年の設備投資額見通しを引き上げた。各社とも日本円にして30兆円規模の投資を予定している。果たしてその莫大な投資に見合うだけの具体的な利益のリターンがあるのかどうか、そしてそれは投資家の期待したスピードに追いついているのかどうか、市場は四半期ごとの決算や関連した報道に一喜一憂している。
7月23日の日本経済新聞の記事「アルファベット純利益18兆円、クラウド好調 スペースX上場も恩恵」は、アルファベットのフリーCF(純現金収支)が4〜6月期に433億ドルのマイナスとなったことを取り上げ、2026年に入って潮目が変わっていると指摘している。
その指摘通り、アルファベットだけではなくアマゾンについても、これまで「営業キャッシュフロー>投資キャッシュフロー」だった状態から、2026年に入り「営業キャッシュフロー<投資キャッシュフロー」という状況に移行している。今後、成長率を競う段階から、どのプレイヤーが最も効率よく稼ぐかを競う次の段階に入る。決算では、各社の増収率だけではなく、AIに関連した設備投資をいかに儲けに変換できているかという点に注目したい。
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日々の相場動向については、
ブログ『石原順の日々の泡』
を参照されたい。