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2026年5月18日
ファンドマネージャー 石原 順
1-3月期にアルファベット、EC関連株を売却し、半導体株を取得したドラッケンミラー著名投資家のスタンレー・ドラッケンミラーが運用するファミリーオフィス、デュケーヌ・ファミリーオフィスは1-3月期に保有していた1億2000万ドル相当のアルファベット(GOOGL)株(3万8500株)を全て売却していたことが分かった。デュケーヌが15日にSEC(米証券取引委員会)に提出した2026年第1四半期末時点のフォーム13Fによると、この他にドキュサイン(DOCU)、デルタ航空(DAL)やアメリカン航空(AAL)といった航空株、ゴールドマンサックス(GS)、フィリップモリス(PM)、ドアダッシュ(DASH)等、21銘柄を全て売却した。2026年3月末時点のデュケーヌ・ファミリーオフィスのポートフォリオ(緑:新規ポジション オレンジ:全売却)
出所:フォーム13Fより筆者作成持ち高を大きく減らしたのはEC(電子商取引)関連だ。アマゾン(AMZN)及び中南米のアマゾンと言われドラッケンミラーが保有を続けてきたメルカドリブレ(MELI)についてはいずれも保有数の90%以上を削減、韓国のEC大手クーパン(CPNG)についても長きにわたりドラッケンミラーの保有上位銘柄であったが、前四半期に持ち高を6割余り削減した。一方、新たに30銘柄を取得し3月末時点の保有株式数は差引68銘柄と前期末(2025年12月末)より9銘柄増加した。新たに保有した銘柄のうち半導体関連株が5銘柄含まれている。ブロードコム(AVGO)を6100万ドル相当、サンディスク(SNDK)2400万ドル相当、インテル(INTC)1800万ドル相当、アーム(ARM)1600万ドル相当、マイクロン・テクノロジー(MU)については800万ドル相当を保有した。・デュケーヌ・ファミリーオフィスが保有する上位10銘柄(2026年3月末時点)
出所:フォーム13Fより筆者作成・デュケーヌ・ファミリーオフィスが保有する上位10銘柄(2025年12月末時点)出所:フォーム13Fより筆者作成3月末時点の上場株式ポートフォリオを評価額順にまとめると、トップは前回同様、テキサス州オースティンに本拠を置く臨床遺伝子検査会社ナテラ(NTR)だった。前回9位だったTSM(TSMC)はついては持ち高をわずかに減らしたものの(54万3085株 → 49万5280株へ削減)、TSMCの株上昇に伴い評価額は高まり4位に浮上した。アルコア(AA)は、デュケーヌが2025年10-12月期に新たに取得した銘柄である。前四半期(1-3月期)に保有を約35%増やし(7万3123株 → 9万9057株に積み増し)トップ8に顔を出した。アルコアはペンシルベニア州ピッツバーグに本拠を置く、アルミニウム生産を手がけるメーカーで、自動車、航空機産業等向けに製品を供給している。1888年の創業以来、世界的なアルミメジャーとして、アルミ地金やアルミナの安定供給において重要な役割を担っている。AI需要で最も恩恵を受けるHBM(高帯域幅メモリ)メーカーのマイクロンデュケーヌが株式を取得したマイクロンの業績を確認しておこう。マイクロンが3月18日に発表した2025年12月〜26年2月期決算は、売上高が前年同期比で約3倍の238億6000万ドル、純利益は8.7倍の137億8500万ドルと、市場予想を上回った。人工知能(AI)向けのメモリーの需要が急拡大したことを背景に売上、利益ともに四半期として過去最高を更新した。半導体メモリのDRAMとNANDの価格上昇する中、とりわけDRAMの売上高が188億ドルと全体の79%を占め、前年に比べて200%以上増加、粗利益率は74.9%まで高まった。3月19日の日本経済新聞の記事「マイクロン、12〜2月売上高3倍に AI向けメモリ需要が急拡大」によると、マイクロンのサンジェイ・メロートラ最高経営責任者(CEO)は決算説明会で、「当社はAI需要で最も恩恵を受ける企業だ」と述べた。・マイクロン・テクノロジー(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
・マイクロンの売上高と純利益の推移
出所:決算資料より筆者作成AIの普及により半導体に必要なデータ処理の量が増加しており、高度なメモリを必要とする状況が今後も続くと見られている。1月23日のウォールストリートジャーナルの記事「世界的な半導体メモリー不足、影響はあなたにも」は、半導体メモリの価値が世界でも類を見ないスピードで上がっており、その背景には人工機能(AI)企業の飽くなき需要があり、さらにその価格高騰はまだ続く見通しだと報じている。大規模言語モデル(LLM)の学習やAI推論の実行にはエヌビディア(NVDA)のGPU(Graphics Processing Unit)やGoogleが開発したTPU(Tensor Processing Unit)などのロジック半導体が使用される。一方で、これらのロジック半導体が最大限の性能を発揮するためには、HBM(高帯域幅メモリ)と呼ばれる高性能のメモリが必要となる。HBMは、DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ:ディーラム)の特殊な形態で、「3Dスタッキング」と呼ばれるプロセスを通じて、GPUがデータをより高速に転送しつつ、かつ省スペースで保存できるようサポートするメモリである。一般的なDRAMと比較して3~4倍のウェハ容量を必要とするため、DRAM業界全体で供給不足が生じている。従来、メモリはコモディティで市況産業と見られており、供給過剰→価格下落→減産→価格回復、の循環を繰り返してきた。しかし直近では、AIデータセンター向けのHBMの比率が上がり、需要の質が変わってきていると言う。需要が急増しているのであれば、製造ボリュームを増やせばいいだけではないかと言うと単純にそうはいかない事情がある。HBMの供給が増えない、あるいは需要に追いつかない理由は主に製造技術の難易度と生産能力(キャパシティ)の拡張スピードが追いついていないためだ。HBMはDRAMチップを垂直に何層も積み重ね、それを数千の微細な穴で接続する「3D積層」技術を使う。この工程は、従来のメモリ製造よりもはるかに難易度が高く、完成品になる割合(歩留まり)を高く保つのが難しい。また、設備投資と増産の物理的、時間的限界もある。新しい工場や生産ラインを建設し、最先端の製造装置を導入して安定稼働するまでに、1年半〜2年以上かかる。作ろうと思えばすぐ増産できるものではなく、前工程・後工程・歩留まり改善・装置リードタイムなど制約が多い。結果として、価格上昇局面では利益が出やすい産業構造となる。その一方で、需要に応じて設備投資(CAPEX)を積む局面では、タイミングを誤ると次の供給過剰を招く要因にもなる。決算発表とともにマイクロンが公開した年間設備投資額は、HBMに対する旺盛な需要を受けて250億ドル以上になる見通しだ。大規模な設備投資に対しては投資家の懸念も高まっている。莫大な設備投資を実行しながら高い利益率を維持できるのかどうか見極めも必要になろう。メガトレンドフォローVer2.0の売買シグナル(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)・SOX指数CFD(日足)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
・日経平均CFD(日足)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター・NYダウCFD(日足)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター・S&P500CFD(日足)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター・ナスダック100CFD(日足)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター・ドル/円(日足)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター・日本10年国債金利(日足)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター・ゴールドCFD(日足)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
日々の相場動向については、ブログ『石原順の日々の泡』https://ishiharajun.wordpress.com/を参照されたい。