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2025年9月16日
ファンドマネージャー 石原 順
オラクルの驚異的なRPOを支えているのはクラウドビッグ3との競争と協調というCo-opetition関係
先週の株式市場で大きな話題となったのは、米ソフトウエア大手オラクル株(ORCL)の急騰だろう。オラクルは1977年、現在、会長兼CTO(最高技術責任者)を務めるラリー・エリソンが設立したデータベース、ERP(基幹業務システム)などに強みを持つIT企業である。
9日に発表した2026年第1四半期(2025年6-8月期)決算は売上高が前年同期比12%増の149億2600万ドル、純利益は微減の29億2700万ドルだった。直近の売上高と利益は市場予想を下回った。
●オラクルの売上高と純利益の推移 出所:決算資料より筆者作成
大引け後、オラクルが発表した第2四半期決算は期待を大きく裏切るものだった。売上高は149.3億ドルと予想の150.2億ドルを下回り、肝心のクラウド売上も33.6億ドルと予想の33.8億ドルを下回った。 そしてEPSも1.47ドルと予想中央値の1.48ドルをわずかに下回った。
それにもかかわらず、株価は大暴騰したのである。市場が大きく反応したのはオラクルが示した受注残高だ。8月末時点の受注残高(RPO:残存履行義務)は3カ月前の3.3倍に当たる4550億ドルだった。一年前に比べると約4.6倍の水準である。さらに、他にも進行中の数十億ドル規模の取引があり、近いうちにRPOは5000億ドルを超えるとの見通しを示した。
筆者はオラクルの日足と週足の両方でシステムトレーディングを行っていたが、これには少し驚いた。ミーム株のような非常識な上昇がオラクル株やブロードコム株で起きている。
●オラクル(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
●オラクル(週足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
●ブロードコム(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
●ブロードコム(週足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
RPOは、Remaining Performance Obligationsの略で、SaaS(Software as a Service)用語で企業がすでに契約を締結しているものの、まだ収益として計上していない将来の義務(今後提供すべきサービスや製品)を指す。
オラクルとOpenAIは、特段の反証がない限り、おそらく意向表明書(LOI)または覚書(MOU)を締結していると考えられる。RPOには、企業が契約上支払いを受ける権利を持つ、署名済みで法的に拘束力のある契約からの金額のみを含めることができる。オラクルが非拘束的な合意をRPOとして計上することは、収益予測を膨らませ、投資家を誤解させ虚偽表示に該当するのではないかという指摘をするアナリストもいる。
オラクルの売上残が359%増の4550億ドルに急増したのなら、なぜ同社が報告した繰延収益は28.8%増の121億ドルにとどまったのだろうか?ORCLが発表した収入残の急増のほとんどは、上記のような保証のない契約によるものである。
●オラクルのバランスシート
出所:オラクル決算資料
オラクルのCEO(最高経営責任者)サフラ・キャッツは、「第1四半期に3つの異なる顧客との間で4つの数十億ドル規模の契約を締結した」と語り、今期末(26年5月期)のクラウド基盤事業の売上高が前期比76%増の180億ドルになると見通しを示した。さらに5年後の(2030年5月期)には1440億ドルと前期実績の14倍に急増するだろうとの予想を明らかにした。
●オラクルのRPOの推移
出所:決算資料より筆者作成
9月11日のウォールストリートジャーナルの記事「オラクルは「新エヌビディア」良くも悪くも」は、既に世界最大級のソフトウエア販売会社となっている創業48年の企業が、総売上高を今後3年間で2倍以上に伸ばす可能性があることについて、AI向け半導体大手エヌビディア(NVDA)をほうふつとさせると指摘した。
ビデオゲーム等に使われるGPU(画像処理半導体)というニッチなエリアからAI向けの需要を取り込み、時価総額が4兆ドルを超える世界唯一の企業へと急速に変貌を遂げたエヌビディアを引き合いに出し、オラクルがRPOを実際の売上高に変えられるかどうかについては、契約を遂行するためのネットワークを拡充できるかどうかにかかっていると伝えている。
決算発表時に開かれた投資家とのアーニングス・コールにおいて、ラリー・エリソンは次のように述べた。
アマゾン(AMZN)、グーグル(GOOGL)、マイクロソフト(MSFT)からのマルチクラウド・データベース売上高は、第1四半期に1529%の驚異的な成長を記録した。ハイパースケーラー・パートナー3社に対し、新たに37のデータセンターを提供し合計71拠点となることから、マルチクラウド・データベースの売上高は今後数年間、四半期ごとに大幅に増加すると予想している。
●2025年2Q末時点のクラウド市場シェア 出所:Synergy Research Groupのデータより作成
オラクルは、自社クラウド「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」を展開し、アマゾンのAWSやマイクロソフトのAzure、グーグルCloudというクラウドビッグ3と競合関係にある。ところが一方で、この3社はオラクルにとって重要な顧客でもあり、同時に提携先でもあるという、複雑なCo-opetition(コーペティション:競争と協調)の関係にある。オラクルは差別化として、自社が強みを持つデータベース等やハイブリッド環境への最適化を武器に対抗している。
この「ライバルであり顧客でもある」関係が、オラクルの収益基盤を安定させている。クラウド基盤の競争においてシェアを大きく伸ばすのは容易ではないものの、オラクルの強みであるデータベースは依然として不可欠な存在であり、他のクラウド大手が無視できないインフラとなっている。
なぜ、今、オラクルのサービスが選ばれているのか?
オラクルの快進撃を支えているサービスが2020年にローンチされた「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」である。このサービスは、顧客の拠点にクラウド基盤を設置しつつ、クラウドと同じ形態で利用・課金する仕組みでオラクルのハイブリッドクラウド戦略の一環である。
顧客からの需要に対してオラクルが新たなデータセンター設備を立ち上げたり準備したりするのではなく、顧客の建物(オンプレミス環境)にオラクルの専用コンピュータやクラウド機材を設置するというものである。顧客の施設に効率化されたコンピュータ資源を持ち込み、立ち上げまでの時間を短縮する。
ハードは顧客の施設にあっても、運用・更新・更新管理などはオラクルが担当。この仕組みにより、規制やセキュリティ要件等でデータを外部に出すことに躊躇する顧客、例えば金融機関、政府機関などでもクラウドの利便性を享受することが可能となった。特に、すでにオラクルのERP(基幹業務システム)サービスを使用している場合、顧客は自社のデータを改めて第三者に渡す必要はない。
課金方法は「利用した分だけ」(クラウドと同じ従量課金)ということで、見かけ上はオンプレミスでありながら課金モデルはクラウド、というハイブリッド型である。従量課金によって顧客のCAPEX(設備投資)を最小化させることも同時に実現した。パブリッククラウドが提供するサービスを使いたい、ところが、オンプレミスで、しかも自社専用にしたいという顧客も多いと言う。顧客が選択したデータセンターにおいて、完全なシングルテナント方式で、プライベートクラウドのような完全なパブリッククラウドを享受できるサービスと言える。
昨年9月にラスベガスで開催された「Oracle CloudWorld 2024」において、その拡張版である「Oracle Dedicated Region 25」が発表された。このサービスは、わずか3つのサーバラックで構成される自社専用のOracle Cloudリージョンをオンプレミスに持つことができる点が画期的だ。AI関連を含むOracle Cloudの150以上のサービスが利用可能で、オラクルが運用するサービスとして今年から提供されている。
2020年のサービス開始時点では、顧客のデータセンター内に50ラック分のハードウェアを用いてシステムを構築していたが、2022年には最小12ラックに、それがさらに3ラックまでに簡素化された。ラック数が減少したことで、導入までにかかる日数が大幅に短縮された。また、フルスケールのクラウド規模にまで需要に応じて柔軟に拡張可能だ。
再び、アーニングスコールにおけるラリー・エリソンのコメントを取り上げよう。
約3年前、ChatGPTが世界を驚かせた頃、公開データに関する質問であれば、単にコンピューターに話しかけて質問するだけで、最新かつ最も正確な情報に基づいた論理的な回答を得ることができた。公開データは膨大に存在する。公開データと企業が共有を望まない企業データを組み合わせる場合、自社の非公開データを非公開のまま保ちつつ、大規模言語モデルがそのデータを用いて推論できるようにする必要がある。例えば「最新の関税や鉄鋼価格が四半期業績にどう影響するか」、「製品供給能力にどう影響するか」、「収益にどう影響するか」といった質問に答えるためだ。そうした質問に答えるためには、データベースを根本的に変革せざるを得なかった。すべてのデータを安全で信頼性が高く、主要なLLM(大規模言語モデル)全てと連携したデータベースにすることが出来なければ、これは不可能だった。我々はそれをデータの全データをAIモデルが理解可能な形にベクトル化によって全て実現した。オラクル以外にそれを実現している企業があるなら、教えてほしい。それがなければ、自社データや公開データ上でChatGPTのような体験を提供することは極めて困難だ。これがオラクルの独自の価値提案なのだ。
個人情報は厳守しなければならない。顧客の個人データを保護し、安全に保管すると同時にオープンAIやxAIをはじめとする最新かつ最良の推論モデルによるデータ解析を可能にする。当社がデータベースを保有し、全データをベクトル化しているから実現出来るのである。AIデータベースで私たちが選択したのは、全データをAIモデルが理解可能な形にする(ベクトル化)だけでなく、全てのAIモデルと統合することだった。
GrokはOracle Cloudから入手可能だ。ChatGPTもOracle Cloudから入手可能だ。LlamaもOracle Cloudから入手可能だ。他にも挙げられる。顧客が求めていたのは、公開データと自社エンタープライズデータを統合した環境だ。これにより、あらゆる疑問や重要事項に対して即座に回答を得られる。これは誰もが望む機能であり、需要は飽くなきものとなるだろう。今後数年間で、当社のクラウドを通じて膨大なデータベースとAIを提供可能だ。その実現に向けた態勢は整っている。
オラクル株については楽観的な報道が多いが、ドットコム時代にオラクルは複数の集団訴訟に直面した。
「90年代には、彼らが今回の決算報告で繰り返したのとまったく同じことを行った。この大失敗により、オラクルは2度の業績修正と従業員の10%以上の解雇を余儀なくされた。ラリー・エリソンとって幸運だったのは、今回、経験豊富なドットコム推進者のラリー・エリソンが、すでに事前に従業員の解雇を始めていたことだ」
(@kakashiii111)
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