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2025年9月 8日
石原 順
ASICでAI半導体の1強として相場をけん引するブロードコム
英フィナンシャル・タイムズは4日、関係者の話として、米オープンAIが来年、自社開発による初の人工知能(AI)半導体を米ブロードコム(AVGO)との提携で生産する見通しだと報じた。オープンAIの社内で利用される半導体で、外部の顧客には提供しないということだ。エヌビディア(NVDA)の画像処理半導体(GPU)への依存を減らすため、オープンAIがAI向け半導体の内製化を進めていることは以前から伝えられていた。
ブロードコムのホック・タンCEO(最高経営責任者)は4日の決算説明会において、新たな顧客1社から100億ドルを超えるAIインフラを受注したと明らかにした。具体的な社名は明らかにされなかった。ブロードコムは以前から、既存の大口顧客3社に加え、独自のカスタムチップを開発する4社目の新規顧客候補について示唆していた。なお、主要顧客3社はアルファベット傘下のグーグル(GOOGL)、メタプラットフォームズ(META)などデータセンター投資を拡大する巨大テック企業だと言われている。9月5日の日本経済新聞の記事「AI半導体ブロードコムが頭角 「次のNVIDIA」時価総額200兆円」は、テック各社がブロードコムを頼って独自開発を進める背景には、過度なエヌビディア依存から脱却する狙いがあると指摘している。エヌビディアはAI半導体でデファクトスタンダード(事実上の標準)を握り、慢性的な供給不足の状態にある。半導体チップ1個あたり500万円超と高額だが、データセンター事業者は買わざるを得ない。テック企業がエヌビディアに対する価格交渉力を高めるには、代替調達先の確保が欠かせない。ブロードコムは内製化を進めたいテック大手企業の需要をつかみ、業績の拡大につなげているということだ。
ブロードコムはAI半導体2強のうちの1強としてエヌビディアと比較して語られることが多いが、各社の戦略は対照的だ。エヌビディアがハイエンドの汎用型画像処理半導体(GPU)を手がける一方、ブロードコムはそれぞれの顧客向けに特定の用途に合わせたカスタムチップ(特注品)であるASIC(特定用途向け半導体:Application Specific Integrated Circuit)に強みを持っている。
例えば、グーグルが独自に開発するオリジナルTPU(テンサー・プロセッシング・ユニット:AI推論特化チップ)の設計を手がけているのもブロードコムだ。生産はTSMC(TSM)などのファウンドリ(半導体受託生産事業者)に委託している。AIインフラの規模拡大を急ぐ「ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)」を中心にASICに対する需要は引き続き旺盛だ。
データセンターには小規模なサーバー室から複数の建物にまたがる大規模な施設まで、さまざまな規模のものがあるが、企業、組織、個人も含め、データの保存や処理、アプリケーションの実行、サービスの提供等、私たちの生活を支える重要なインフラとなっている。
「ハイパースケール・クラウド」データセンターは、一般的なデータセンターに比べて大型で、技術の進歩に合わせて拡張できるよう設計されている。さらにセンターの物理的なサイズを増やすことなく、処理能力やストレージ容量を増やすこともできるのが特徴だ。このハイパースケーラーの売上は2026年には6000億ドル近くにまで拡大することが想定されている。
ブロードコムに対する株式市場の期待は急速に高まっている。時価総額は約1兆5800億ドルで、日本円に換算すると200兆円を超える。半導体業界では、TSMCの1兆ドルを上回り、米国株式市場で時価総額トップのエヌビディア(約4兆ドル)に次ぐ水準で、米国の株式市場をけん引するAI相場の主役になりつつある。
技術に対する理解と戦略的な経営判断を融合させる半導体業界の買収王
ブロードコムが4日に発表した2025年5-7月期(2025年10月期第3四半期)決算は売上高が前年同期と比べ22%増の159億5200万ドル、最終損益は41億4000万ドルの黒字(一年前は18億7500万ドルの赤字)だった。AI向けの売上高は前年同期比63%増の52億ドルと、売上高全体の約3分の1まで拡大した。タン氏は「顧客の積極的な投資が続く中、AI半導体売上高は第4四半期に62億ドルへ成長を加速させる」と述べた。
●ブロードコムの売上高と純利益の推移
出所:決算資料より筆者作成
●ブロードコムのセグメント別売上高
●ブロードコム(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
●ブロードコム(週足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
●ブロードコム(月足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
ブロードコムのサクセスストーリーは、戦略的買収と最先端技術への絶え間ない注力の賜物だと言える。ブロードコムは2023年秋に、クラウドコンピューティング企業のVMWareを690億ドルで買収した。この買収は当時、2020年代で2番目に大きな買収ということで話題となったが、これによりブロードコムはインフラストラクチャ・ソフトウェア事業への参入機会を増やし、会社全体の売上が大きく伸びる結果となった。
2009年、ヒューレット・パッカードの半導体製品グループからスピンオフして設立されたアバゴ・テクノロジーズが株式を公開したことから始まる。2013年には大手チップメーカーのLSIコーポレーションを66億ドルで買収。大きく飛躍するきっかけになったのは2016年のアバゴによるブロードコムの買収だ。これにより多様な製品ポートフォリオを持つ半導体の大企業となった。買収時にアバゴは社名をブロードコムに変更したが、ティッカーシンボル「AVGO」は残したまま現在に至っている。2019年8月にはウイルス対策ソフト大手のシマンテックの法人向け事業を買収しサイバーセキュリティ分野への多角化を図る。そして2022年5月に仮想化ソフト最大手の「VMware」の買収を発表、この買収が2023年11月に完了し、世界的な半導体およびインフラストラクチャソフトウェアの巨人となった。
●ブロードコムの売上高推移と買収の歴史
出所:各種資料より筆者作成
古い記事になるが2017年11月11日付けの日本経済新聞に「ブロードコムCEO ホック・タン氏『半導体の買収王』また動く」と題する記事が掲載された。当時、ブロードコムがクアルコムに対し総額1300億ドル買収を仕掛けたことを取り上げたものだ。その記事では、タン氏は東芝メモリ買収にも一時名乗りを挙げるなど再編話には必ず首を突っ込むとして、「半導体業界の買収王」と呼ばれるようになったと指摘している。
タン氏はマレーシアのペナン出身で、1975年にマサチューセッツ工科大学(MIT)で修士号を取得し、その後、ハーバード大学でMBAを取得した。ゼネラルモーターズ社とペプシコ社で財務担当職を務めるなどした後、2006年に大手の買収ファンドにより、ブロードコムの前身で未公開企業だったアバゴ・テクノロジーのCEOに採用された。
未公開企業だったアバゴを率いて以来20年、数々の買収を成功に導き、今日の時価総額1.5兆ドル超え規模の企業に育て上げ。社名のブロード(=幅広い)が示す通り、無線通信用半導体から、社内サーバーやクラウドコンピューティングなど企業のITシステム全体を管理するための「仮想化」ソフトまで幅広い製品を扱っている。買収後の徹底したコスト管理や高収益体質の維持も、ブロードコムの強さの根幹だとされている。
工学と経営の双方を背景に持つ彼は、技術に対する理解と戦略的な経営判断を融合させる点で独自の強みを発揮してきた。M&Aによる成長と利益率重視によって、常にシナジーの大きい買収案件を見極め、コスト削減と事業統合を徹底的に進めるスタイルを貫いている。この徹底した効率化こそが、半導体業界の激しい競争環境においてブロードコムを持続的な成長へ導いていると言えるだろう。
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ブログ『石原順の日々の泡』
を参照されたい。