コスモ・ネットレのポイント
お知らせ
キャンペーン
プログラム
手数料
お取引について
25歳以下 手数料無料
お取引の流れ・案内・デモ
商品一覧
国内株式
∟新規公開株等
外国株式
先物・オプション取引
∟口座開設の方法
信用取引
∟[スタンダートコース専用]信用デイトレの手数料・金利/貸株料0円
投資信託・積立
債券
FX
CFD
ゴールナビ
NISA
市況解説
マーケットの最前線
Weekly Letter
Market Topics
YouTubeセミナー
日本株 投資情報
米国株 投資情報
チャート道場
取引ツール・サービス一覧
PCウェブ版
PCインストール版「トレーダーNEXT」
コスモ・ネットレ アプリ
スマホ ブラウザ版
電子交付サービス
メール配信サービス
株価お知らせメール
アナリスト銘柄情報・市場ニュースレポート
画面共有サポート
ご挨拶
会社情報
採用情報
コーポレートサイト
岩井コスモホールディングス
岩井コスモビジネスサービス
リスク・手数料等説明ページ
日本証券業協会
一般社団法人 金融先物 取引業協会
一般社団法人 日本投資顧問業協会
証券・金融商品あっせん相談センター
証券取引等 監視委員会 情報受付窓口
サイトポリシー
リスクなど
お客様本位の業務運営に関する原則
勧誘方針
最良執行方針
個人情報保護方針
利益相反管理方針
反社会勢力に対する基本方針
システム障害発生時の対応方針
2025年5月19日
石原 順
ドラッケンミラーがTSMCの持ち高を5.5倍に拡大した理由
資産家で著名投資家のスタンレー・ドラッケンミラーが運用するファミリーオフィス、デュケーヌ・ファミリーオフィスが15日、SEC(米証券取引委員会)にフォーム13Fを提出した。
2025年3月末時点でデュケーヌが保有する米国上場株式の保有数は49銘柄と、前期末(2024年12月)に比べて差し引き23減少した。保有評価額は30億6004万ドル(12月末時点は37億2295万ドル)と日本円にして1000億円程度減少した。
グーグル親会社のアルファベット(GOOGL)、半導体設計を手がける英アーム(ARM)、半導体メモリ大手のマイクロン・テクノロジー(MU)、デジタル・バンキング・サービスを提供するブラジルのヌー・ホールディングス(NU)、パランティア(PLTR)、小売と発電を手がけるエネルギー会社のビストラ(VSTR)、ウエスタン・デジタル(WD)を含む35銘柄を売却した。一方、新たに取得したのはストリーミングのプラットフォームを展開しているロク(ROKU)やトゥイリオ(TWLO)など12銘柄だった。
2025年3月末時点のデュケーヌ・ファミリーオフィスのポートフォリオ(緑:新規ポジション オレンジ:全売却)出所:フォーム13Fより筆者作成
3月末時点の上場株式ポートフォリオを評価額順にまとめると、トップは前回同様、テキサス州オースティンに本拠を置く臨床遺伝子検査会社ナテラ(NTR)だった。ただし、持ち高は約5%減少している。2位はイスラエルの製薬会社であるテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ(TEVA)で、前回から保有株数は65%増加した。また、バイオ医薬品のインスメッド(INSM)の保有も2.3倍に増やしており、ポートフォリオ全体に占めるヘルスケアの割合は34%とセクター別で最大だった。
この他、航空機向けのタービンやエンジン等を手がける制御機器メーカーのウッドワード(WWD)、光学材料および半導体メーカーのコヒーレント(COHR)については、持ち高を1-2割減らしているものの前期末同様トップ10に入っている。この他、新規ポジションのドキュサイン(DOCU)が10位に入った。ドキュサインは電子署名サービスを展開している会社だ。
デュケーヌ・ファミリーオフィスが保有する上位10銘柄(2025年3月末時点)
出所:フォーム13Fより筆者作成
今回公開されたポートフォリオでの注目は、デュケーヌが半導体大手TSMCの持高を約460%増やしたことであろう。昨年12月末時点での保有株数は107,515株だったのに対し、3月末時点の保有株数は598,780株と5.5倍余りに拡大し、ポートフォリオの中で9番目の評価額となった。前述の通り、アルファベットやアーム、マイクロン・テクノロジー、ウエスタン・デジタルなど、ハイテクや半導体関連のポジションを精算した一方、世界最大の半導体ファウンドリーであるTSMCについては大幅に保有株数を増やした。ヘルスケアの持分を増やしていることと関連して考えると、ドラッケンミラーはTSMCについて、現代の社会機能の維持に必要不可欠な業務であるエッセンシャルな業務として捉えているのかもしれない。
経済安全保障という文脈の中で存在感を増すTSMC
TSMCは9日、2025年4月の売上高(速報値)が単月ベースで過去最高の3495億台湾ドル(前年同月比48.1%増)だったと発表した。日本円にして約1兆6800億円に相当する。生成AI(人工知能)を動かすサーバー向けなどに先端半導体の販売好調が続いた。TSMCの売上高は16カ月連続で前年同月比プラスを維持した。
日本経済新聞の5月10日の記事「TSMC、4月の売上高最高 AI向け好調」は、世界の半導体市場を巡っては、トランプ米政権による関税政策の影響が懸念されていると指摘。そうした環境下においてTSMCの魏哲家・董事長兼最高経営責任者(CEO)は4月中旬、「不確実性やリスクを理解しているが、これまでのところ顧客の動きに変化はない」と発言したことを報じている。
直近の台湾ドル相場の急上昇については逆風だと指摘している。為替は1米ドルに対し30台湾ドル台前半で推移しており、TSMC が想定している4-6月期為替レート(32.5台湾ドル)と開きがあるという。半導体業界は米ドル建てでの決済が中心のため、TSMCは顧客からの売上高の多くを米ドル建てで受け取っている。台湾ドル高の傾向が続けば為替安の効果がはげ落ちるというものだ。
しかし、米国を中心に莫大な設備投資を行っているTSMCにとって、台湾ドル高は「攻め」という点では有利な材料になるだろう。為替レートの影響で売上高の台湾ドルベースでの評価額は短期的に落ち込む可能性は確かに否定しない。しかし、1つの半導体ファブを建設するのに1兆円にも及ぶ資金投下が必要となる中では強い台湾ドルはTSMCにとって追い風だ。
4月17日に発表された2025年1-3月(第1四半期)の決算はすこぶる好調だった。米国による関税発動前のAIサーバーやスマートフォンの需要拡大を反映している決算だったということ、また電子機器メーカーが貿易や輸送の混乱を想定し、米国の倉庫に在庫を積み上げる動きをしていたことも背景にあっただろう。
TSMCの売上高・営業利益・営業利益率出所:決算資料より筆者作成
2024年第3四半期以降、営業利益率が40%台後半に高まっている。これは、高価格で利益率の高い最先端品の生産と販売が順調に進んでいることを示している。2025年第1四半期時点のテクノロジー別売上高では、より細い線幅である3 ナノと5ナノ(ナノは10億分の1)の生産が全体の約6割を占めている。前四半期(2024年第4四半期)以降、明確に最先端品へのシフトが確認されている。TSMCはこの最先端ノードの良品率において競合他社を圧倒している。
テクノロジー別売上高の内訳と前期との比較 (上:2025年第1四半期 下:2024年第4四半期)
出所:決算資料より筆者作成
すでに他社に先駆けて次世代の「2ナノ品」の量産を進めている。2024年12月に開催されたイベント「IEDM 2024」において発表された論文では、すでに2nm世代のプロセス技術「N2」での量産を2025年内にも開始する予定であることを明らかにした。次々世代である1.4ナノメートル品の量産技術の開発にも着手するなど、他社を寄せ付けないスピードで技術進化の先頭を駆け抜けている。
TSMCの地域別売上高
TSMC(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
TSMC(月足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
ファウンドリビジネスは一見、顧客の発注に合わせて製造を行う「下請け」に近く、高収益のビジネスモデルとはかけ離れているように思われる。しかし、TSMCの「ファウンドリ・ビジネスモデル」は彼らを高収益かつ他に類を見ない企業にしている。なぜなら、TSMCは圧倒的な技術革新のスピードによって、最先端の半導体チップはTSMCでないと作れないという状況を作り出している。
世界のエレクトロニクス情報を伝えるEE Timesの3月27日の記事「チップ製造能力がAI競争の勝者を決める」とElon Musk氏」によると、米国政府効率化省を率いるイーロン・マスクは、最先端の半導体生産能力を支配する国が、AIを巡る競争で勝利するとし、米国が台湾に最先端半導体の製造能力を依存していることに警鐘を鳴らしている。
マスクは、3月17日に行われた米上院議員テッド・クルーズとのインタビューの中で「現在、台湾のTSMCが全てのAIチップを製造していて、これは米国にとって国家安全保障上の問題だ」、「現在、最先端AIチップの100%が台湾製だ。もし近いうちに中国が台湾に侵攻すれば、世界は最先端AIチップへのアクセスを絶たれてしまうだろう」と語り、「AIチップの供給は国家安全保障上、極めて重要だが、われわれは十分な対応ができていない」と指摘した。
記事ではエヌビディアやグーグル、AWS、メタといった主要プレーヤーが使うAIチップはTSMCが台湾で生産しているとした上で、このような重度の依存はすぐには低減されないので、2030年までは大きな進展は見られないだろうとの見方を紹介している。経済安全保障という文脈で捉えた場合、TSMCの重要性がさらに増している。
メガトレンドフォローVer2.0の売買シグナル(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
日経平均CFD(日足)
NYダウCFD(日足)
S&P500CFD(日足)
ナスダック100CFD(日足)
ドル/円(日足)
ゴールドCFD(日足)
日々の相場動向については、
ブログ『石原順の日々の泡』
を参照されたい。