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2025年1月14日
石原 順
シーズナリーサイクル的には春以降、90ドル台もあり得る!?
米国の政権交代まで残すところ約1週間となった10日、米英の両政府はロシア石油大手のガスプロムネフチとスルグトネフテガスを制裁対象に加えたと発表した。米政府は制裁逃れに使われていた「影の船団」と呼ばれるタンカー183隻や保険会社も新たに指定。米財務省高官は「制裁をいつ、どのような条件で解除するかはすべて新政権次第」と説明した。
1月11日の日本経済新聞の記事「米英、対ロ石油制裁強化 対象に大手2社追加 「影の船団」183隻も指定」によると、米英はウクライナ侵略を続けるロシアのエネルギー収入を削る狙いがあると指摘。2社は合わせて1日100万バレル以上の石油を生産し、価格は年間約230億ドル(約3.6兆円)に相当するという。米財務省は国際価格が安定したため、追加の制裁を導入できる状況になったと説明した。
制裁強化発表を受けて供給混乱に対する警戒感が高まり、WTI原油価格は13日、一時78ドル台まで上昇するとことがあった。ロシア産原油は、欧米が以前から科してきた制裁の影響で相場より割安で、中国とインドが積極的に調達している。米政権は今回、特にインドへの働きかけを強めているとされ、インドや中国が調達先を中東、アフリカ、米国などに変更すれば、原油価格が押し上げられるとの観測も高まっている。
加えて、米国は新年初めから類を見ない大雪と寒波で苦しんでいる。中部と東部地域では10年ぶりの大雪に見舞われている。米国国立気象庁は米国中部地域を中心に、大雪や強風と酷寒の冬の気象災害を予報し、冬の暴風による「10年ぶりの最大の大雪」警報を一部の地域に発令した。
原油価格はシーズナリーサイクル的には1月中旬にかけて下落するものの、春頃から上昇に転じる傾向にある。現在の価格から6月から7月にかけて15%上昇することを加味すると、90ドル程度まで上昇する可能性もあるだろう。
●WTI NY原油CFD(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
●WTI Crude Oil先物のシーズナリーサイクル
出所:エクイティクロック
需給に対する懸念もある中、バフェットがエネルギー株への投資を積み増し
著名投資家ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハザウェイ(BRKB)が米石油大手オクシデンタル・ペトロリアム(OXY)の株式を買い増した。バークシャーが昨年12月19日にSEC (証券取引委員会)に提出した書類によると、17日からの3日間で4億900万ドル相当のオクシデンタル株を追加取得した。
バークシャーはすでにオクシデンタルの筆頭株主であったが、今回の買い増しにより、バークシャーによるオクシデンタルへの出資は約2億6417万株となり、発行済み株式の28.15%を所有していることになる。評価額にして約125億ドルだ。
オクシデンタルが11月13日に発表した直近(2024年9月末時点)の業績は、売上高がほぼ横ばい(微増)の71億7300万ドルだった一方、純利益は前年同期に比べて約16%減少した。減益とはなったものの、潤沢なキャッシュフロー(15億ドルのフリーキャッシュフロー)を活用し、今第3四半期に40億ドルの債務支払いを進め、バランスシートが改善していることが確認された。
●オクシデンタル・ペトロリアム(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
●オクシデンタル・ペトロリアムの売上高と純利益の推移
出所:決算資料より筆者作成
ドナルド・トランプ次期大統領が提案している関税が、米国だけでなく国際的な経済成長を損ない、原油の需要を弱めるのではないかという懸念がある。トランプは11月の大統領選挙において「壊滅的なインフレ危機をただちに終わらせ、金利を下げ、エネルギーコストを引き下げるために、掘って、掘って、掘りまくれ!」と述べており、原油価格が下落する可能性も指摘されている。こうした動きを受けてオクシデンタルの株価は2024年の1年間で2割余り下落した。 昨年12月20日には、欧州連合(EU)に対し対米貿易黒字を相殺するために米国からの石油・ガス購入を拡大すべきだと述べ、できなければ関税に直面すると警告した。トランプは自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」へ、「欧州連合に対し、米国側の膨大な赤字をわれわれの石油とガスの大量購入で埋め合わせなければならないと伝えた。さもなければずっと関税をかける」と投稿した。
●トランプ次期大統領のSNS
出所:トゥルーソーシャル
EUはすでに米国の石油・ガスの主要な輸出先であり、米国が生産を増やしたり、アジア向けを振り替えたりしない限り、実際にはEUが購入を増やすことはできない。トランプは石油・ガス生産をさらに増やすと約束している。両者の攻防は石油・ガスの需給にも影響を与えそうだ。
ラテンアメリカで最も裕福な人物もエネルギー株への投資を実行
石油株への投資を積極化しているもう一人の資産家がいる。メキシコの大富豪であるカルロス・スリム、84歳だ。スリムは1940年、メキシコシティに生まれ、実業家の息子として育った。12歳から株取引を始め、資産運用の英才教育を受けていたと言われている。メキシコ最高峰のメキシコ国立自治大学を卒業後、投資銀行にてブローカーとして活躍し、1965年に財閥「グルーポ・カルソ」を設立。タバコや自動車部品企業などの買収を繰り返し、事業を拡大させた。 1982年にメキシコ債務危機が起こる中でも、企業への投資を継続し、1990年代にはメキシコ国営企業民営化の波に乗り、メキシコ国営の通信電話会社「テルメックス」を買収。そのテルメックスの一部事業から「アメリカ・モビル」を立ち上げ、固定電話や携帯、ケーブルテレビなどに関連する通信業界で成功を収めた人物で、ラテンアメリカで最も裕福とされている。
そのスリムは、先月、自身のファミリー投資会社を通じて、ニュージャージー州に拠点を置く石油精製会社PBFエナジー(PBF)に6億200万ドルを投資し、出資比率を25%に引き上げた。また、ヒューストンに拠点を置く石油生産会社タロス・エナジー(TALOS)の株式3億2600万ドル分も購入した。2024年PBFの株価は42%下落、タロス社の株価も3割以上値下がりしているが、今後、化石燃料の需要が当分なくならないという見通しのもと、原油生産および精製ポートフォリオの拡大に約10億ドルを投じた。
●PBFエナジー(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
●PBFエナジーの売上高と純損益の推移
●タロス・エナジー(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
●タロス・エナジーの売上高と純損益の推移
スリムは昨年、メキシコ南部にある2つの油田の持分を5億3000万ドルで取得することで合意し、エネルギー生産への賭けを拡大した。また、2月には、石油事業への参入をさらに推し進めるため、石油精製と石油化学製品についてより深く学ぶ計画があると述べていた。また、メキシコ湾とその周辺で経験を持つ企業との提携を検討しているとも語っていた。
米国ではエネルギーセクターにおける業界再編が急速に進んでいる。業界最大手のエクソンモービル(XOM)はパイオニア・ナチュラル・リソーシズを約600億ドルで、またシェブロン(CVX)は530億でヘス(HES)を買収することを発表している。金融情報アプリを手がけるQuartrがまとめた2023年の大型M&A(合併と買収)を見ると、他のセクターを大きく上回る大型のM&A がエネルギーセクターにおいて展開されていることが分かる。
●エクソンモービル(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
●2023年に発表された最大規模のM&A(単位:10億ドル)
出所:Quartrより筆者作成
背景にあるのは、化石燃料に対する根強い需要だ。新興国の経済成長などを背景とした底堅い石油需要を見込み、大型投資が活発化している。日米欧などが2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロとする目標を掲げる中、太陽光など再生可能エネルギーの導入促進だけでは、需要を賄い切れないという現実があるのだろう。
2人の富豪による米エネルギー企業への投資は今後さらなる業界再編を促すきっかけのひとつになりそうだ。また、トランプ2.0の政策がどのように需給に影響を与えるのか、価格も含め動きが大きくなりそうだ。
メガトレンドフォローVer2.0の売買シグナル(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
●日経平均CFD(日足)
●NYダウCFD(日足)
●S&P500CFD(日足)
●ナスダック100CFD(日足)
●ドル/円(日足)
●ゴールドCFD(日足)
日々の相場動向については、
ブログ『石原順の日々の泡』
https://ishiharajun.wordpress.com/
を参照されたい。
石原順 プロフィール1987年より株式・債券・CB・ワラント等の金融商品のディーリング業務に従事、1994年よりファンド・オブ・ファンズのスキームで海外のヘッジファンドの運用に携わる。為替市場のトレンドの美しさに魅了され、日本において為替取引がまだヘッジ取引しか認められなかった時代からシカゴのIMM通貨先物市場に参入し活躍する。相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や海外情報ネットワークには定評がある。現在は数社の海外ファンドの運用を担当する現役ファンドマネージャーとして活躍中。