コスモ・ネットレのポイント
お知らせ
キャンペーン
プログラム
手数料
お取引について
25歳以下 手数料無料
お取引の流れ・案内・デモ
商品一覧
国内株式
∟新規公開株等
外国株式
先物・オプション取引
∟口座開設の方法
信用取引
∟[スタンダートコース専用]信用デイトレの手数料・金利/貸株料0円
投資信託・積立
債券
FX
CFD
ゴールナビ
NISA
市況解説
マーケットの最前線
Weekly Letter
Market Topics
YouTubeセミナー
日本株 投資情報
米国株 投資情報
チャート道場
取引ツール・サービス一覧
PCウェブ版
PCインストール版「トレーダーNEXT」
コスモ・ネットレ アプリ
スマホ ブラウザ版
電子交付サービス
メール配信サービス
株価お知らせメール
アナリスト銘柄情報・市場ニュースレポート
画面共有サポート
ご挨拶
会社情報
採用情報
コーポレートサイト
ホールディングス
ビジネスサービス
リスク・手数料等説明ページ
日本証券業協会
一般社団法人 金融先物 取引業協会
一般社団法人 日本投資顧問業協会
証券・金融商品あっせん相談センター
証券取引等 監視委員会 情報受付窓口
サイトポリシー
リスクなど
お客様本位の業務運営に関する原則
勧誘方針
最良執行方針
個人情報保護方針
利益相反管理方針
反社会勢力に対する基本方針
システム障害発生時の対応方針
2024年1月15日
石原順
なぜ、エネルギーセクターにおいて大型M&Aが活発化しているのか?
シェール開発を手がける米チェサピーク・エナジー(CHK)は1月11日、同業のサウスウエスタン・エナジー(SWN)を74億ドルで買収すると発表した。4-6月期に株式交換でサウスウエスタンを傘下に収める計画だ。合併によりシェールガスの生産量は業界トップのEQTコーポレーション(EQT)を抜いて最大手になる見込みである。
1月12日の日本経済新聞の記事「米チェサピーク、シェール同業を1兆円で買収 ガス最大手に」によると、東部ペンシルベニア州や南部テキサス州などでの天然ガス生産量は日量79億立方フィートになり、LNG(液化天然ガス)に換算すると年5800万トン程度で、日本の輸入量の約9割に相当するという。
●チェサピーク・エナジー(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
米国ではエネルギーセクターにおける業界再編が急速に進んでいる。昨年10月には、業界最大手のエクソンモービル(XOM)がパイオニア・ナチュラル・リソーシズ(PXD)を600億ドルで買収することを発表した。また、シェブロン(CVX)は530億ドルでヘス(HES)を、オクシデンタル・ペトロリアム(OXY)は約120億ドルでクラウンロック(CCK)を買収する。
●オクシデンタル・ペトロリアム(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
以下は金融情報アプリを手がけるQuartrが2023年に発表された大型M&Aを規模順にまとめたものである。他のセクターを大きく上回る大型のM&A がエネルギーセクターにおいて展開されていることがお分かりいただけるだろう。
●2023 年に発表された最大規模のM&A出所:Quartr
背景にあるのは、化石燃料に対する根強い需要だ。時事通信の2023年11月19日の記事「米石油業界、相次ぐ大型買収=底堅い需要、脱炭素曲がり角」は、米石油業界において収益強化をにらんだ大型M&Aが相次ぎ、脱炭素の取り組みが曲がり角を迎えていると指摘している。
新興国の経済成長などを背景とした底堅い石油需要を見込み、大型投資が活発化している。日米欧などが2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロとする目標を掲げる中、太陽光など再生可能エネルギーの導入促進だけでは、需要を賄い切れないと見込んでいる格好だ。英調査会社ウッドマッケンジーの「買収は石油需要への強気の見方を示している」とのコメントを紹介している。
バフェットによるオクシデンタル株保有比率が34%まで上昇
「オマハの賢人」ことウォーレン・バフェットがエネルギーセクターへの投資を積み増している。バフェット率いるバークシャー・ハザウェイ(BRK.B)が1月10日にSEC(米証券取引委員会)に提出した資料によるとオクシデンタルの保有株比率は34%まで高まったことが分かった。
バフェットは2022年初頭からオクシデンタルの株を集め始めたが、今回提出された資料によると、昨年12月末に株式を追加購入し、保有株数は約3億2757万株となった。
●バークシャーが持つ上場株式の保有割合(2023年9月末時点のフォーム13Fより)出所:決算資料より筆者作成
2023年9月末時点でバークシャーが保有する上場株式を見てみると、保有割合の上位(評価額順)はアップル(AAPL)、バンク・オブ・アメリカ(BAC)、アメックス(AXP)、コカコーラ(KO)とお馴染みの顔ぶれとなっている。オクシデンタルについては、2023年9月末時点でシェブロンに次ぐ保有割合であるが、12月末時点では順位に変化が出ている可能性がありそうだ。
●アップル(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
●コカコーラ(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
バフェットは昨年5月6日に開催されたバークシャーの年次株主総会において、オクシデンタルの経営陣と事業を高く評価しているものの、全てを買収する計画はないと述べていたが、すでに3分の1を超える水準にまで買い進んでいる。
5月6日のウォール・ストリート・ジャーナルの記事「バフェット氏が石油株に巨額投資 なぜ?石油株で大やけどした伝説の投資家バフェット氏、心変わりの理由とは」によると、過去(2008年と2014年)に石油大手への巨額投資で立て続けに大きな損失を出したバフェットが、エネルギー株へのアロケーションを高めている理由について、炭素排出量の削減に向けて野心的な目標を掲げる企業が増える中でも、世界は今後も大量の石油を必要とし続けるとバフェットが確信しているからだと指摘している。
バフェット自身も2022年、米国が石油脱却へと近づいているとは思えないと述べている。また、技術の進化により生産性が向上し、石油企業の多くは、原油相場が現在の水準を大きく割り込んでも、利益を確保できると語っている。例えば、オクシデンタルは原油がバレル当たり40ドルに下がっても、利益を確保できると言う。
バークシャーは昨年、FERC(米連邦エネルギー規制委員会)からオクシデンタルの普通株式を最大50%取得することを認められている。米国屈指の石油、シェールオイル生産地であるパーミアン盆地において優良な資産を保有していること、バランスシートの強化に加え株主還元も積極的に行なっていることなど、バフェットが投資先に求める要素の多くをオクシデンタルは満たしている会社だ。
●各地域における原油・ガスの生産地出所:EIA(米国エネルギー情報局)のデータより筆者作成
バークシャーは、オクシデンタルへの追加投資以外にも三菱商事や三井物産など日本の五大商社の株式を買い増した他、米メリーランド州にあるLNG(液化天然ガス)輸出ターミナルのリミテッド・パートナーシップ権益を買い増す契約を締結するなど、エネルギーへの投資割合を高めつつある。米国の物価高騰は峠を越えたようにも見えるが、バフェットがエネルギー株へのエクスポージャーを増やしている背景には、インフレがそう簡単には収まらないことを表しているのかもしれない。
●三菱商事(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
ウクライナ情勢、米中対立、米国の政治的分断、中東情勢の緊迫化など、戦争の拡大とインフレの再燃が不安視されている。米国の物価高騰はいったん峠を越えた。しかし、バフェットがエネルギー株へのエクスポージャーを増やしている背景には、「インフレはそう簡単には収まらない」という歴史観があるのかもしれない。
今後、地政学リスクが高まり、インフレが加速した場合、エネルギー株を保有するバフェットにとっては有利であり、一方、ディスインフレになり、金利が低下した場合はハイテク株有利となる。アップルを持っているバフェットにとっては大きなプラスだ。
要は、アップル株と石油株の両建てで、これから金利が上がろうが下がろうが、何とかなるような運用になっているのである。一方で、相場の大暴落が起きるようなことも想定し、それに対する備えとして1500億ドルを超える現金も抱えている。大量の現金を保有しているため、市場が総悲観になっているときに買い向かうことができる唯一の投資家がバフェットである。
●バークシャーの手元現金とNYダウの推移(2023年9月末時点)出所:各種データより筆者作成
●バークシャー・ハサウェイB株(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
バフェットは金融危機時に金融機関に投資を行い大成功した。2008年の世界金融危機(リーマンショック)の際、ゴールドマン・サックス・グループ(GS)に50億ドルを出資した。また、バンク・オブ・アメリカ(BAC)は2011年にサブプライム住宅ローン絡みの損失での株価が急落した後、バフェットから資本注入を受けた。
バフェットの投資の神髄がわかるのは、金利上昇期や相場が大暴落したときである。次の金融危機の局面で、またしてもバフェットは規格外の安値で金融株や優良株を手に入れることになるのだろうか?米民主党は11月の大統領選挙までは相場の暴落を回避しようとするだろう。したがって、本格的な金融危機や金融システムの崩壊はまだ先である。崩壊の始まりは「利下げ」となるだろう。
メガトレンドフォローVer2.0の売買シグナル(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
●日経平均CFD(日足)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
●NYダウCFD(日足)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
●S&P500CFD(日足)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
●ナスダック100CFD(日足)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
●ドル/円(日足)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
●ゴールドCFD(日足)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
日々の相場動向については、
ブログ『石原順の日々の泡』
https://ishiharajun.wordpress.com/
を参照されたい。
石原順 プロフィール1987年より株式・債券・CB・ワラント等の金融商品のディーリング業務に従事、1994年よりファンド・オブ・ファンズのスキームで海外のヘッジファンドの運用に携わる。為替市場のトレンドの美しさに魅了され、日本において為替取引がまだヘッジ取引しか認められなかった時代からシカゴのIMM通貨先物市場に参入し活躍する。相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や海外情報ネットワークには定評がある。現在は数社の海外ファンドの運用を担当する現役ファンドマネージャーとして活躍中。