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2023年12月18日
石原順
バフェット:「世界は今後も大量の石油を必要とし続けると確信」
米石油大手のオクシデンタル・ペトロリアム(OXY)は12月11日、シェール開発を手がける米クラウンロックを約120億ドルで買収すると発表した。日本円にして1兆5000億円を超える大型買収となる。クラウンロッオクシデンタル州とニューメキシコ州にまたがる米南部パーミアン盆地で広大なシェール鉱区を有しており、オクシデンタルはこの買収によって生産量を上積みする予定だ。
●オクシデンタル・ペトロリアム(日足)(ピンク:買いトレンド・シアン:売りトレンド)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
●オクシデンタル・ペトロリアム(週足)(ピンク:買いトレンド・シアン:売りトレンド)
日本経済新聞の12月12日の記事「米石油オクシデンタル、シェール会社を1.7兆円で買収」によると、日量約120万バレルを生産するオクシデンタルに対して、クラウンロック社はシェール開発の中堅で、2024年には日量17万バレル(原油換算)を生産する予定だという。一方、クラウンロック社が有する鉱区のうち1700カ所は未開発で、うち1250カ所は原油相場が1バレル60ドル以下でも採算が取れるという。
米ブルームバーグ通信が報じたところによると、オクシデンタルの大株主である著名投資家ウォーレン・バフェットは今回の買収について報告を受けていたと見られる。この買収に先立つこと11月、オクシデンタル社の自家用機が本社のあるヒューストンからバフェットが拠点とするネブラスカ州オマハに2回飛んだとの記録があるそうだ。
バフェット率いる投資会社バークシャー・ハザウェイ(BRKB)は、オクシデンタルがクラウンロック社の買収を発表したその日、オクシデンタル215万株を追加で購入した。SEC(米証券取引委員会)へ提出された文書で明らかとなった。これによってバークシャーによるオクシデンタル株の保有は2億3800万株となり、持ち株比率は約26%の筆頭株主となった。 5月6日のウォール・ストリート・ジャーナルの記事「バフェット氏が石油株に巨額投資 なぜ?石油株で大やけどした伝説の投資家バフェット氏、心変わりの理由とは」によると、過去(2008年と2014年)に石油大手への巨額投資で立て続けに大きな損失を出したバフェットが、ここに来てエネルギー株へのアロケーションを高めている理由について、炭素排出量の削減に向けて野心的な目標を掲げる企業が増える中でも、世界は今後も大量の石油を必要とし続けるとバフェットが確信しているからだと指摘している。
バフェット自身も2022年、米国が石油脱却へと近づいているとは思えないと述べている。また、技術の進化により生産性が向上し、石油企業の多くは、原油相場が現在の水準を大きく割り込んでも、利益を確保できると語っている。例えば、オクシデンタルは原油がバレル当たり40ドルに下がっても、利益を確保できると言う。
2021年3月、JPモルガン証券ニューヨークのコモディティチームは「世界は次のコモディティのスーパーサイクルに突入した」と発表した。コモディティにおける長期のダウンサイクルは終わり、新たなコモディティの上昇、特に原油の上昇サイクルが始まったという予測である。
過去100年間で、一般的に4回のコモディティスーパーサイクルがあったと言われている。前回の1つは1996年に始まった。そのスーパーサイクルは2008年(拡大の12年後)にピークを迎え、2020年(12年の収縮後)に底を打ち、新しいスーパーサイクルの上昇局面に入ったと言うものだ。
●原油のスーパーサイクルとそのドライバー
出所:JPモルガンの資料より筆者作成
1996年からのスーパーサイクルをけん引した重要なドライバーは、中国を含む新興国の経済的な台頭であった。当時、米ドルは弱含んでおり、資産運用会社はポートフォリオを分散させるためにコモディティへのエクスポージャーを追加するケースが増えていた。その後、2008年の世界的な景気後退は、欧州(2011年)と中国(2015年)のさらなる減速と相まって、コモディティ価格を下押しし、トランプ政権時代の「貿易戦争」やそれに続く世界的な製造業の不況、そして原油価格を史上初めてマイナスの領域に送り込んだ悲惨なパンデミックを経て、12年のダウンサイクル(価格下落サイクル)の終わりを告げたと見ている。
パーミアン盆地での石油・天然ガスの生産量はイラクの原油生産量を上回る!?
パーミアン盆地では収益性の高い鉱区の開発が進んでおり、有望な鉱区を有する中堅を大手が買収する動きが相次いでいる。今年10月には民間石油会社として世界最大の米エクソンモービル(XOM)が、米シェール大手パイオニア・ナチュラル・リソーシズ(PXD)を約600億ドルで買収すると発表した。
●エクソンモービル(週足)(ピンク:買いトレンド・シアン:売りトレンド)
エクソンとしては1999年にモービルを買収して以来の大型案件となるだけではなく、米エネルギー業界における企業のM&A(合併・買収)としてもここ数十年で最大規模のものとなる。
こうした大型買収には財務的なリスクがつきものだ。例えば、オクシデンタル・ペトロリアム(OXY)の場合、2019年にアナダルコ・ペトロリアムの買収合戦で米シェブロン(CVX)に勝利し、パーミアン盆地で首位の座を占めるようになった。しかし、この買収は高額だった上にタイミングが最悪だった。買収直後の2020年に原油価格が急落し、一時マイナスに転じることもあるなど、オクシデンタルは多額の負債を背負うことになった。
しかし、過去2年間においては相当なリターンをもたらし始めている。4月10日のウォール・ストリート・ジャーナルの記事「米エクソン、パーミアンで首位の座を狙う」によると、昨年(2022年)、オクシデンタルの投下資本利益率(ROIC)は26.2%とエクソンを上回ったとのこと。さらに今回、エクソンが買収するパイオニアのリターンはオクシデンタルを上回っていたと指摘されている。
パイオニアはパーミアン盆地においてシェブロン(CVX)、コノコフィリップス(COP)に次ぐ生産量を持っている。EIA(米国エネルギー情報局)のデータよると、パーミアン盆地の日量石油生産量は600万バレル近くと北米最大の原油供給地域である。エクソンによるパイオニア買収が実現したことで、パーミアン盆地で大規模に権益を保有する2社が統合する。エクソンモービルは現在トップのオクシデンタルを抜き、このエリアで最大の生産者に躍り出ることになる。
日本経済新聞の10月12日の記事「エクソン、化石燃料に逆張り投資 シェール大手に9兆円」は、買収について2024年前半に完了し、2027年には石油・天然ガスの生産量を現在より約3割多い日量500万バレル(原油換算)まで高めるとしている。達成すれば産油国イラクの原油生産量を上回る規模になると言う。
●米国における主要な原油・ガスの生産地 出所:EIA(米国エネルギー情報局)
●各地域における原油・ガスの生産地
出所:EIA(米国エネルギー情報局)のデータより筆者作成
この買収の背景にあるのは、化石燃料の需要は今後もかなりの期間にわたって底堅いとみる冷静な戦略だと、前述の日本経済新聞の記事(「エクソン、化石燃料に逆張り投資 シェール大手に9兆円」)は論じている。
ここ数年、化石燃料を取り扱う企業からクリーンエネルギーを標榜する業界へと資金が流出する大きなうねりが起きていた。ESG(環境・社会・ガバナンス)投資である。しかし、ここに来てその巻き戻しが起きている。ESGを重視してきた資産運用会社にも方針転換や慎重姿勢に転じてきている。
金融環境が緩和の時代から引き締めの時代へと大きく変化している。手持ちの資金が限られる中、投資家は高いリターンを得るためにはどこに投資すべきなのか、その選別はますます厳しくなってくるだろう。石油メジャー各社は需要が旺盛な化石燃料に見切りをつけるという判断を先送りしたようだ。脱炭素に向けた取り組みはやらなくてはならないが一筋縄ではいかないのが現実のようだ。
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日々の相場動向については、
ブログ『石原順の日々の泡』
https://ishiharajun.wordpress.com/
を参照されたい。
石原順 プロフィール1987年より株式・債券・CB・ワラント等の金融商品のディーリング業務に従事、1994年よりファンド・オブ・ファンズのスキームで海外のヘッジファンドの運用に携わる。為替市場のトレンドの美しさに魅了され、日本において為替取引がまだヘッジ取引しか認められなかった時代からシカゴのIMM通貨先物市場に参入し活躍する。相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や海外情報ネットワークには定評がある。現在は数社の海外ファンドの運用を担当する現役ファンドマネージャーとして活躍中。