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2023年10月23日
石原順
なぜ台湾から世界最大の半導体受託製造企業が誕生したのか?
半導体の設計開発を手がけるソシオネクスト(6526)は18日、英半導体設計会社のアーム(ARM)及びTSMC(TSM)と2ナノメートル世代プロセスのマルチコアCPUチップレット開発で協業すると発表した。2年後を目処にサンプル品の出荷を始め、本格的な収益貢献は2026年以降を見込むとしている。
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のサイトによると、チップレット技術は、CPUやGPU、アクセラレータ等、機能の異なる複数のチップをそれぞれ最適なプロセスを使って製造し、それらを組み合わせて一つのチップとしてパッケージ化する技術で、集積回路を同一プロセスで一つのチップ上で製造する従来の製法と比べて、コスト低減と高性能動作の両立が可能になるとみられている。 半導体チップはこれまで、素子や回路の配線幅を細かくすることで高性能化・多機能化・低消費電力化・低コスト化を図り「ムーアの法則」を実現してきた。微細化というたった1つのアプローチによって、トレードオフを抱えることなくチップの価値向上を果たすことが可能だった。 ところが近年、半導体の微細加工技術が高度化するにつれて、製造時の歩留まりを高めることが困難になってきた。微細加工技術の進歩だけではムーアの法則を維持するが難しくなってきた。チップレットを適用することで、微細化の効果を継続できるだけでなく、チップに新たな価値をもたらすメリットも得られるようになる可能性がある。つまり、ムーアの法則が頭打ちになるという窮地を救う可能性を持っているのがチップレット技術であると言える。
この発表をきっかけにソシオネクストの株価は大きく上昇、前場には1万4000円台だった株価は、1万6000円手前まで上昇して18日の取引を終えた。半導体製造で世界最大手のTSMCとソフトバンクグループ傘下でナスダックに上場したアームとの提携というニュースは好材料として受け取られた。
●ソシオネクスト(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
一時は飛ぶ鳥を落とす勢いだった日本勢が凋落する一方、台湾は国策として半導体政策を推し進めたことによって今や、業界における確固たる地位を築いている。なぜ、TSMCは常に業界のリーダーとして独走を続けることができるのか。その成り立ちから振り返るとヒントが見えてくる。
1980年代のジャパン・アズ・ナンバーワンの時代、日本はビデオデッキやテレビなど民生分野における大きな市場に支えられ、メモリ(DRAM)を主力として、世界の半導体製造シェアの半分以上を握るようになっていた。しかし、1990年代に入り、半導体製品の主流がマイクロプロセッサやロジックへと移行すると、日本メーカーはこの潮流に乗り遅れる。その一方、米国はシェア奪回へ向けて国を挙げて半導体産業の強化に取り組み始めた。
1980年代から1990年代にかけて半導体業界における大きな変化を引き起こした要因は2つ。一つは産業政策の旗振り役として国が積極的に関わったこと、二つ目はビジネスモデルの変化だ。半導体業界の構造が垂直統合型から水平分業型へと大きく転換した。この2つ目の要因がTSMCというファウンドリの雄を生み出すきっかけだった。
半導体業界を日本が席巻していた1980年代までは、半導体の設計開発、ウエーハ製造、組み立てからテスト、そして販売に至るまで、全ての業を社内で完結させる垂直統合型でのビジネス展開が主流であった。ところが1990年代から2000年にかけて巨額の設備投資がかかる半導体業界において水平分業が拡大する。 米国ではエヌビディア(NVDA)やクアルコム(QCOM)など工場を持たないファブレスの半導体メーカーは設計開発に注力し、製造はファウンドリーに委託するスタイルに変わっていった。その流れに乗って一大企業となったのがTSMCである。日本企業はこの水平分業への対応が遅れシェアダウンにつながった。
●エヌビディア(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
TSMCの最大の功績はこのファウンドリーと呼ばれるビジネスモデルを確固たるものにしたことである。これを推進したのが、1987年に国策半導体メーカーとしてTSMCを立ち上げて以来、2018年に引退するまでの31年間トップに君臨してきたモリス・チャン氏である。
いち早くファウンドリービジネスを展開したTSMCには長年にわたる生産技術の蓄積がある。半導体製造は多くの工程を必要とするだけではなく、細心の注意が求められる。設計が正しくても、実際の製造の場面においては、設計通りに製造できるとは限らない。 同じレシピでも素人が作るものと巨匠と言われる料理人が作るものとでは出来栄えに大きな違いが出る。半導体製造にもコツが必要だ。このコツの積み上げがTSMCの持つ製造技術であり、他社との違いを際立たせている要因だ。
今後数年間は厳しくなるとする業界ゴッドファーザーの見立て
TSMCが19日に発表した2023年7-9月期決算は、売上高が前年同期比10.8%減の5467億台湾ドル、純利益は24.9%減の2110億台湾ドルだった。半導体需要の回復が弱く2四半期連続の減収減益となった。
ただし、アップル(AAPL)が発売した新型スマートフォン「iPhone15」シリーズの上位機種向けに、世界最先端の半導体「3ナノ品」の出荷が本格化したことで、4-6月期に比べると13.7%の増収、16.1%の増益となっており、今後、反転傾向が明確になるかどうかが業界の先行きを見通す上でも重要になる。
●TSMCの売上高・営業利益・営業利益率の推移
出所:決算資料より筆者作成
●用途別売上高(2023年第3四半期)
●テクノロジー別売上高の前四半期比較
●TSMC(ADR日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
今四半期はHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)向けやスマートフォン向けが伸びたのに対し、回復が鮮明だった自動車向けは一服といったところだ。なお、通期については売上高が米ドルベースで188億~196億(1米ドル=32台湾ドルを前提)、営業利益率は39.5%から41.5%の間になるとの見通しを示している。
14日台湾北部で開かれたTSMCの社内運動会イベントに創業者であるモリス・チャン氏が出席した。チャン氏はそこで「自由貿易はすでに死んだ。安全保障が国家の最重要事項になり、TSMCは皆が必要とする会社になった」と述べるととともに、「競合他社も(各国による誘致などの)地政学的な流れを利用してTSMCに対抗しており、今後数年間の挑戦は過去より厳しいかもしれない」と述べた。そのうえで「TSMCなら克服できると信じている」と強調したと言う。
チャン氏はあいさつの後に開かれた記者会見において、半導体産業の発展が期待される国として日本とシンガポールを挙げたとのこと。工場を設ける日本の強みについては「土地や水力発電による電力供給が豊富で、仕事文化もよい」と指摘。2018年に経営から退いたチャン氏であるが、現在も業界に与える影響力は大きい。TSMCが建設を検討している熊本の第2工場や冒頭のソシオネクストとの協業も含め、日本と台湾が手を携合う場面が増えるかもしれない。
メガトレンドフォローVer2.0の売買シグナル(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
●日経平均CFD(日足)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
●NYダウCFD(日足)
●S&P500CFD(日足)
●ナスダック100CFD(日足)
●ドル/円(日足)
●ゴールドCFD(日足)
日々の相場動向については、
ブログ『石原順の日々の泡』
https://ishiharajun.wordpress.com/
を参照されたい。
石原順 プロフィール1987年より株式・債券・CB・ワラント等の金融商品のディーリング業務に従事、1994年よりファンド・オブ・ファンズのスキームで海外のヘッジファンドの運用に携わる。為替市場のトレンドの美しさに魅了され、日本において為替取引がまだヘッジ取引しか認められなかった時代からシカゴのIMM通貨先物市場に参入し活躍する。相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や海外情報ネットワークには定評がある。現在は数社の海外ファンドの運用を担当する現役ファンドマネージャーとして活躍中。